令和7年6月定例会 市長提案説明
提案説明に先立ち、諸般の事項について申し上げます。
近年、高齢化の進展やライフスタイルの多様化を背景に、地域コミュニティの機能低下や活動の縮小が進み、地域福祉や防災などの分野において、社会の根幹に関わる様々な課題が生じております。
これらの課題に対応するため、新たな地域活動の拠点づくりを通じて「地域力」の向上を図り、超高齢社会における地域コミュニティの持続可能性を高める取り組みを進めております。
その一環として、さる4月2日に、本市初となる公民館と子ども館を合築した地域活動拠点施設「鷺山公民館・鷺山子ども館」が開館いたしました。
この両施設の合築にあたっては、地域の皆様からの提案を受け、土砂災害特別警戒区域にあった旧鷺山公民館と鷺山中洙地区の土地区画整理事業に伴う子ども館の移転・建替えについて、意見交換やワークショップ等を重ねてまいりました。
これらのワークショップでは、世代を超えた幅広い交流の拠点づくりや安全・安心な子どもの居場所づくりなどについて、地域の各種団体の方々を中心に建設的な議論が行われました。
本施設は、こうした住民自治による活発な議論を踏まえ、地域と行政の合意形成を経て建設に至ったものであります。
開館から2か月が経過し、公民館では、従来行うことが難しかった大規模な集会などが、充実した設備を活用して開催できるようになり、住民ニーズに応えた施設となりました。
また、子ども館においても5月末時点で延べ762人、1日平均15人と多くの小学生に利用されており、利用者からは、新しくなって安心して遊べる、にぎやかで楽しいといったご好評の声が寄せられております。
夏休みには、老人クラブの方々と子どもたちが一緒に楽しむボードゲーム大会が計画されているなど、本施設が小学生から高齢者まで幅広い世代の地域活動の拠点となり、多世代交流を促進することで、新たなまちづくりの芽が生まれていくことを期待しております。
今後、この住民合意のもとに関係施設を統合した「鷺山モデル」の成果を、鷺山地区と同様に防災上の課題がある芥見東・芥見南地区にも展開し、関係者との対話を重ねながら地域活動の拠点となる施設整備を進めることで、住民自治の充実と持続可能な地域コミュニティの形成につなげてまいります。
また、このような地域との協働の取り組みを、教育の分野においても進めております。
本年(令和7年)4月7日に、藍川小学校と藍川北中学校を統合した、岐阜市立初の施設一体型義務教育学校「藍川北学園」が開校いたしました。
開校にあたっては、「地域とともにある学校」、地域に愛される「未来の学校」を目指し、児童生徒や保護者、そして地域の皆様の意見を伺い、学校と地域を結ぶ学校運営協議会と共に準備を進めてまいりました。
そして、この藍川北学園は、小学校・中学校9年間を見通した系統的な教育活動と、児童生徒一人ひとりの切れ目のない学びと成長を保障する「小中一貫教育」のさらなる充実を目指し、多様な学習環境を整備するとともに、義務教育学校としての特色を生かした教育課程を編成しております。
その一例として、岐阜市をフィールドとして地域の一員であることを学ぶ、「ぎふMIRAI's(ミライ)」推進事業を深化させたとも言える、独自教科「わかあゆ学」を導入しております。
子どもたちが一つのテーマと9年間向き合い、地域の豊かな自然や人々と交流しながら、将来社会で必要とされる能力を育んでいます。
一方、1年生から9年生までが一堂に会することができる「わかあゆルーム」では、上級生と下級生が隣り合って座り、会話を楽しみながら給食を食べる姿が見られるほか、休み時間や放課後など、学校生活の様々な場面で異年齢の交流が日常的に行われております。
また、校舎内には、地域と学校のふれあいの場として設置した「わくわく広場」があります。
子どもたちからは、この広場を活用し、「合唱団を作って地域の人たちに聴いてもらいたい!」といった声が上がっていると聞いており、「地域とともにある学校」という思いが強くなっていると感じております。
本年度(令和7年度)は、芥見東小学校と藍川東中学校を統合し、2校目の施設一体型義務教育学校「藍東学園」の開校に向けて準備を進めておりますが、藍川北学園から得られる知見も活用しながら、子どもたちが意欲的に学び、やってみたいことに挑戦できる「未来の学校」を、地域の皆様と一緒に実現してまいります。
さらに、地域のにぎわいを創出する観光分野においても、地域の各種団体や民間事業者と連携しながら新たな取り組みを進めております。
ゴールデンウィーク初日の4月26日には、岐阜公園内に、本市初となるPark-PFI制度を活用した「岐阜城楽市」がオープンいたしました。
この岐阜城楽市は、本市が進める岐阜公園再整備事業と連携し、名古屋鉄道株式会社をはじめとする法人グループが飲食物販施設を整備・運営する、官民連携で実現したプロジェクトであります。
様々なメディアで紹介されました飲食物販施設には、「岐阜らしさ」を掲げた地産地消のメニューや食べ歩きが楽しめる飲食店など、多彩な11店舗が出店し、今もなお多くの人々の注目を集めております。
ゴールデンウィーク期間中は、和太鼓演奏や武将隊による戦国体験などのイベントも開催され、昨年(令和6年)の1.5倍となる約12万人の方々にご来園いただき、子どもから大人まで多くの方々に、楽しみながら岐阜の歴史や文化に触れていただける機会となりました。
また、ビッグデータの分析によりますと、岐阜城楽市の集客効果は川原町の古いまちなみにも広がり、昨年(令和6年)の約1.3倍の人出となるなど、岐阜公園周辺にも大きな波及効果が見られました。
さらに5月末には、岐阜公園を中心とするエリアのさらなる魅力向上とリピーターの確保に向けて、Park-PFI事業者や金華自治会連合会、川原町などのまちづくり団体、そして学識経験者からなる「岐阜公園エリア連携会議」を立ち上げました。
今後、本連携会議を通じて地域の課題や施策の方向性を共有し、岐阜公園エリア全体の連携を促進することで、エリア全体の活性化と回遊性を高め、より一層のにぎわいを創出してまいります。
この岐阜城楽市のオープンをはじめ、鷺山公民館・鷺山子ども館の開館、藍川北学園の開校にあたり、御尽力をいただきました地域の皆様や自治会、民間事業者の方々を含むすべての関係者に、心から感謝申し上げますとともに、今後も引き続き、皆様との連携を図りながら「人とまちがつながり支え合う地域コミュニティ」の形成と「官民連携によるまちづくり」を推進してまいりたいと考えております。
それでは、今期定例会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を、御説明申し上げます。
はじめに、第71号議案、令和7年度一般会計補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、道路や橋梁、公園等の社会基盤整備事業など、国・県の補助内示に伴う事業を中心に、所要の補正をいたしております。
まず、総務費の参議院議員選挙費及び市長選挙費には、国における選挙執行経費の基準の改定に伴い、第74号議案、第75号議案及び第78号議案において関連条例を改正するとともに、立会人の報酬など、あわせて110余万円を補正するものであります。
危機管理費には、一般財団法人自治総合センターからの助成を受け、自主防災隊の活動に必要な資機材整備に対する助成費140万円を、また、北消防署、消防本部整備工場及び北部防災備蓄拠点建設工事にかかるインフレスライド条項の適用に伴う増額分について、消防費の常備消防費とあわせて、3,400余万円を補正するものであります。
次に、民生費の援護費には、昨年度(令和6年度)実施された、国の物価高騰対策における定額減税及び補足給付について、令和6年分の所得税及び定額減税の実績額の確定に伴い、定額減税補足給付金の額に差額が生じた方などを対象に不足額を給付するため、13億6,100万円を補正するものであります。
市民協働生活費には、一般財団法人自治総合センターからの助成を受け、地域におけるコミュニティ活動用の備品整備に対する助成費130万円を、また、戸籍住民基本台帳費には、戸籍の氏名の振り仮名法制化対応を円滑に行うため、戸籍システム等の改修にかかる経費1,500余万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、衛生費の感染症対策費には、主に65歳以上の方を対象とした新型コロナウイルスワクチンの定期予防接種について、国の助成金の終了及び接種率の実績を勘案した委託料の減により、3億4,600余万円を減額するものであります。
次に、農林水産業費は、いずれも県の補助内示に伴うものであります。
まず、農業振興費には、新規就農者育成及び産地の構造改革などへの取り組みに必要となる機械等の導入経費に対する助成費、3,400余万円を、園芸振興費には、安定生産に向けた高温対策等への取り組みに必要な施設整備に対する助成費、100余万円を、畜産業振興費には、飼料価格高騰対策として、自給飼料生産基盤拡大への取り組みに必要な機械の導入経費に対する助成費、100余万円を、土地改良費には、農業用施設の改良工事費、4,700余万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、商工費の商工業振興費には、国の補助内示に伴い、柳津地域ものづくり産業等集積地における区画道路の歩道整備に、4,000万円及び翌年度にわたる債務負担行為について、限度額を1,500万円増額するものであります。
観光振興費には、SNS等を活用し本市の魅力を発信する観光プロモーション動画の制作に要する経費、300余万円を補正するものであります。
続いて、土木費は、国・県の補助内示に伴い、道路や橋梁、公園等の社会基盤整備について、補正するものであります。
はじめに、土木総務費には、土地の境界など、権利関係の明確化を図るための地籍調査に620余万円を補正するものであります。
道路橋梁新設改良費には、金町那加岩地線ほか1路線などの幹線道路整備や、通学路安全対策などに、4億3,600余万円を、道路橋梁環境整備費には、道路の無電柱化推進のほか、橋梁の長寿命化などに、4億3,000余万円を、河川水路環境整備費には、急傾斜地の安全対策に、4,100余万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、都市建設総務費には、岐阜市鷺山中洙土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業への助成費4,200余万円を、鉄道高架事業対策費には、名鉄名古屋本線鉄道高架化事業にかかる用地取得に3億5,000万円を、公園整備事業費には、畜産センター公園の再整備や、市内各所の公園施設長寿命化対策などに、2億6,400余万円を、緑化整備事業費には、老朽化した街路樹の更新に、2,200万円を、住宅管理費には、市営住宅の長寿命化対策に、5,200万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、教育費の事務局費には、国の補助内示に伴い、岐阜県域で利用する次期校務支援システムの共同調達にかかる経費、650余万円及び翌年度にわたる債務負担行為として、180余万円を、それぞれ補正するものであります。
公立大学法人費には、岐阜薬科大学が実施する次世代研究者育成事業に対する国の機関からの助成金を、公立大学法人へ交付するため、運営費交付金、6,000余万円を補正するものであります。
また、本市のごみ処理の現状や地域の課題等を総合的に勘案し、さらなるごみの減量・資源化や地域コミュニティの支援の充実を図るため、家庭系及び事業系普通ごみの処理手数料を導入したいと考えております。
そのため、第82号議案において関連条例を改正するとともに、有料指定ごみ袋の製造や保管、配送等に要する経費を、令和11年度にわたる債務負担行為として、12億1,600万円を補正するものであります。
以上、債務負担行為を除く一般会計の補正総額は、
29億 887万1千円となり、
財源内訳としましては、
国及び県支出金 7億 6,937万7千円
市債 5億 8,550万円
繰越金その他特定財源 15億 5,399万4千円
をもって措置した次第であります。
次に、第72号議案、後期高齢者医療事業特別会計補正予算は、マイナ保険証の導入に伴う資格確認書の暫定運用期間が、令和8年7月まで延長されることに伴い、資格確認書の郵送にかかる経費、610余万円を補正するものであります。
第73号議案、土地区画整理事業特別会計補正予算は、国の補助内示に伴い、名鉄名古屋本線加納・茶所統合駅周辺の土地区画整理事業にかかる建物補償に、2億7,600余万円を補正するものであります。
次に、第76号議案、第77号議案、第79号議案から第81号議案、第83号議案及び第91号議案は、いずれも条例の改正及び廃止でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。
第84号議案は、製作委託契約の締結についてでありまして、歴史博物館展示物等製作に係る請負契約を締結しようとするものであります。
第85号議案は、工事請負契約の締結についてでありまして、芥見東小学校校舎改修建築主体工事に係る請負契約を締結しようとするものであります。
第86号議案から第88号議案は、いずれも財産の取得についてでありまして、高規格救急車3台及び消防団用消防ポンプ自動車2台、並びに消防訓練用模擬家屋1棟の取得契約を、それぞれ締結しようとするものであります。
第89号議案は、開発などに伴い、市道路線の認定及び廃止をするものであります。
第90号議案は、住居表示の整備に伴い、鏡島東地区の町・字の名称及び区域の変更をしようとするものであります。
第92号議案、水道事業会計補正予算は、国の補助内示に伴い、災害対策拠点など重要施設に接続する配水管の耐震化工事費に、920万円を補正するものであります。
第93号議案、下水道事業会計補正予算は、国の補助内示に伴い、本年(令和7年)1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、国からの実施要請に基づく、下水管路の全国特別重点調査にかかる経費に、1,700余万円を補正するものであります。
最後に、専決処分事項についてであります。
報第5号は、定額減税補足給付金不足額給付にかかる事務費について、補正したものであります。
以上、補正予算及び関係諸議案を御説明いたしました。
よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。
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