令和5年3月定例会 市長提案説明

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ページ番号1020050  更新日 令和5年3月3日

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提案説明に先立ち、一言申し上げます。

本市の水路維持管理業務における、支払い遅延等の不適正な事務執行により、受注者の皆様に多大なご迷惑をおかけするとともに、市民の皆様の市政に対する信頼を失墜させる事態となったことに対しまして、心からおわびを申し上げます。
今般の事案につきましては、法令を遵守の上、貴重な公金を取り扱うという公務員として当然の規範意識が希薄であったこと、また、職員間の業務偏在などへの組織的な対処が、十分なされなかったことが大きな原因であると考えております。
このような事態を二度と繰り返さないよう、事案を全職員が共有するとともに、管理職に対し、部下の業務遂行上の異変を見逃すことなく、組織マネジメントに万全を期するよう指示したところであります。
今後、「互いに助け合う」職場風土のさらなる醸成を図るとともに、市民の皆様の信頼回復に向け、私をはじめ、職員一丸となって職務に全力を尽くしてまいります。

それでは、ただいま上程になりました議案につきましてご説明いたします。

本日、令和5年第1回岐阜市議会定例会が開催され、新年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするにあたり、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。

はじめに

人口減少の加速や、ウクライナ情勢に象徴されるように、社会情勢が劇的に変化する中、私は、市民の皆様が、このまちで幸せに暮らす未来を思い描けるよう、市政運営に邁進してまいりました。
その第一歩として、皆様と、まちの未来像を共有するため、「未来のまちづくり構想」や、「センターゾーンの未来風景」において、具体的な方向性やイメージをお示しした上で、皆様に まちの変化を実感いただくことにより、まちづくりに共に関わる意識の醸成につながるよう、“岐阜を動かす”様々な施策に全力で取り組んでおります。
こうした中、中心市街地においては、いよいよ明日、セントラルパークとして再整備を進めてきた金公園と、柳ケ瀬の新たなランドマーク「柳ケ瀬グラッスル35」の完成式典を迎え、2つの拠点の誕生により、まちの様相が大きく変化します。
4月30日にオープンする、健康運動施設「ウゴクテ」及び子育て支援施設「ツナグテ」、さらには5月8日に移転する中保健センターの利用者を含めた 多くの皆様が、憩い、にぎわう空間が生まれることで、駅周辺エリアと柳ケ瀬エリア相互の回遊性が大いに高まるものと期待しております。
あわせて、エリアの価値向上の両輪として官民連携により取り組んでいる、リノベーションまちづくりなどの活動を通じ、柳ケ瀬に関わろうとする意識の広がりとともに、出店やイベントの開催など、民間主導による新たな動きが生まれてきております。
こうしたまちの変化が、新たなまちづくりの担い手を呼び込むきっかけとなり、さらなる活性化への好循環につながるものと考えております。
また、8月には、官民一体の“オール岐阜”による象徴的な取り組みとして、「ぎふ長良川花火大会」が、4年ぶりに開催されます。
戦後まもなく、復興と鎮魂の思いを込め開始された、歴史ある長良川の花火は、市民意識調査において、本市の魅力として常に上位に挙げられるなど、まさに地域や市民の誇り、財産であります。
復活を望む多くの皆様の声を受け、岐阜商工会議所、中日新聞社、岐阜新聞社及び本市の4者が中心となり、地元や観光関連団体も一体となった実行委員会を立ち上げ、開催に向けたスタートを切ることができました。
大会の休止期間中に、「次世代へつなぐ」思いで花火を打ち上げていただいた地元の有志の皆様を含め、関係者のご尽力に改めて感謝申し上げます。
新たな花火大会を、未来にわたり持続可能なものとするため、実行委員会関係者はもとより、市民の皆様が、ボランティアなど様々な形で関わりを持てる「みんなで支える」大会として、さらなる愛着や誇りが生まれるよう、準備を進めてまいります。
令和5年度は、コロナ禍で影響を受けてきた、人と人、人とまちとのつながりを一層高めることにより、まちづくりの原動力となる、シビックプライドのさらなる醸成につながるよう、引き続き、政策のベクトルを中心とした各種施策の推進に全力を挙げてまいります。

本市を取り巻く環境

それでは、最初に本市を取り巻く環境について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の発生から3年あまりが経過し、この間、感染拡大状況に応じた、行動制限や医療体制の確保などの様々な対策が実施され、社会経済活動や、国・地方の行財政運営などに多大な影響が及んでまいりました。
こうした中、国において、ウイルスの変異に伴う重症度の低下などの状況に鑑み、5月8日から当該感染症を、法令上、季節性インフルエンザ等と同分類の5類感染症に位置付けるとの方向性が示され、ウィズコロナからポストコロナへの大きな転換期を迎えております。
一方、依然として先の見通せないウクライナ情勢や、円安等の影響によるエネルギー価格及び物価の高騰が続いており、国において、これらの影響への対処や先の新型コロナウイルス対策などにかかる、大規模かつ累次の補正予算が編成されてまいりました。
その結果、いわゆる「国の借金」は、令和4年12月末時点で、約 1,250兆円と、この3年間で、約 150兆円増加し、過去最大を更新しております。
さらに、加速する少子化への対応や、世界情勢の不安定化などを背景とした安全保障対策の大幅な拡充が議論されており、社会保障費のさらなる増加もあいまって、国の財政状況は、引き続き予断を許さない状況が続くものと考えられます。
こうした中、国は令和4年10月に、「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」を重点とし、難局を打開しつつ、経済を持続可能な成長軌道に乗せることを目指した総合経済対策を打ち出すとともに、12月には、これまでの「まち・ひと・しごと創生 総合戦略」を抜本的に改訂し、デジタルの力を活用した地方創生の加速、深化に取り組む「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を、閣議決定したところであります。
我々基礎自治体にとりましても、直面する多様な課題を一つひとつ前に進める上で、これら社会経済情勢や国の動向を的確に把握し、柔軟かつ迅速に対応していく事が求められております。

予算編成におけるキーワード

こうした状況のもと、新年度当初予算を編成するにあたり、3つのキーワードを掲げて取り組んだところであります。
1つ目は、「EBPM」、いわゆる証拠に基づく政策立案であります。
人口減少や少子高齢化に伴う税収や社会保障費への影響、さらには自然災害の発生など、将来にわたる様々なリスクが想定される中、限られた財源で最大の効果を発揮する、ワイズスペンディングの考え方が一層重要となってまいります。
そのため、各部局における政策立案にあたり、その背景にある様々なデータについて、本年度導入したビッグデータ分析ツールの活用などにより、課題や成果を的確に把握するとともに、効率性、効果性をより重視するよう、意を用いたところであります。
2つ目は、「DX、デジタル・トランスフォーメーション」であります。
コロナ禍で影響を受けた、社会経済活動や人と人とのコミュニケーションの回復に加え、労働生産性の向上など、様々な社会課題の解決を図るためには、デジタルのさらなる活用が不可欠であります。
そこで、集中的かつ大胆に市役所業務のデジタル化を進める「Gifu DX-P(プロモーション)」を全庁あげて実施し、原則、全ての行政手続のオンライン対応を目指すなど、市民サービスの向上や、職員の働き方改革などを推進してまいります。
3つ目は、「GX、グリーン・トランスフォーメーション」であります。
地球温暖化の進行に伴う自然災害の発生など、世界中において、生活環境への様々な影響が顕在化する中、脱炭素社会の実現は地球規模で取り組むべき、喫緊の共通課題であります。
市のあらゆる施策の中で、SDGsを一層推進し、持続可能な社会の構築を目指すとともに、市民の皆様のライフスタイルの転換と行動変容を促すことで、地域の脱炭素化を さらに加速してまいります。

政策のベクトル及び主要事業

令和5年度は、これら「EBPM」「DX」「GX」の考え方を基本に据え、特に重点を置いて取り組む政策の方向性として掲げる「こどもファースト」、「ワークダイバーシティ」、「中心市街地活性化&社会基盤整備」、「共助・共生社会&環境」、「寄り添う福祉&健幸」の5つのベクトルを着実に進化させながら、未来のまちづくり構想に掲げる将来像「人がつながる創造が生まれる しなやかさのあるまち」の実現に向けた、様々な施策の推進により、市民の皆様の幸せに貢献してまいります。

子どもファースト

それでは、政策のベクトル及びそれぞれの主要事業につきまして順次申し上げます。
まず、1つ目は、市政における不変の方針と位置付けております「こどもファースト」であります。
いじめ問題や不登校への取り組みなど、子どもたちを取り巻く様々な課題に着実に対応することが、その先にある、いわゆる8050問題や、地域社会の担い手確保など、多様な社会課題を解決する突破口になると考えております。
そのため、次世代を担う子どもたちへの投資を最優先事項とし、教育大綱の具現化に向けた「第4期教育振興基本計画」に基づき、本市に育つ全ての子どもたちに、希望あふれる未来を自ら拓く力を育む教育を推進してまいります。
また、子どもを取り巻くあらゆる環境において、健やかな成長を支える取り組みや、ライフステージに応じた切れ目のないサポートの充実を図るなど、安心して、子どもを産み育てたくなる社会の実現に向け、施策を展開してまいります。
まず、教育についてでありますが、いじめの未然防止については、いじめ対策監の配置などの総合的な取り組みにより、認知件数が減少傾向にあります。
こうした中、令和5年度には、子どもの心身のSOSや小さな変化を見逃すことなく、早期発見、早期対応のさらなる充実を図るため、ICTを活用した「子どもの健康サポート」を、全市立小中学校で本格運用してまいります。
また、不登校への取り組みについては、拠点となる中学校の教育相談室等を、草潤中学校の分教室ともいうべき校内フリースペースとして整備するとともに、オンライン自立支援教室とあわせ、個々の実情に応じた きめ細かな支援を図ってまいります。
さらに、子どもと地域との関わりが希薄化する中、本市の歴史や伝統を知り、地域で活躍する方々の生き方に主体的に関わることで、自己の生き方を切り拓く力を培う、「ぎふMIRAI's(ミライ)」推進事業を展開するほか、9年間を見通した柔軟な教育課程の編成や、日常的な異学年交流を通じた社会性の育成などにより、切れ目のない学びと成長に資する、施設一体型の義務教育学校設置に向けた準備に着手してまいります。
このほか、小規模校による合同遠隔授業や、定期テストの採点支援システム導入など、学びの充実や教職員の働き方改革に資する教育DXを推進するとともに、通学路安全対策については、新たに、車両走行データを活用しながら、地域等とのワークショップを開催することにより、危険個所等を効率的に選定し、重点的な整備を図る取り組みに着手してまいります。
次に、子育てにおいては、安心して出産、子育てが迎えられるよう、母子健康包括支援センターにおいて、妊娠届出時から、妊婦や子育て世帯に寄り添い、必要な支援につなげる伴走型相談支援の充実を図りつつ、出産・子育て応援ギフトによる経済的支援を一体的に実施してまいります。
さらに、子どもが健やかに成長できるよう、「エールぎふ」を中心に、ヤングケアラーや児童虐待等の課題に対し、関係機関と緊密に連携し、支援を継続してまいります。
また、子育て支援施設「ツナグテ」では、子どもの育ちに資する遊び場とともに、中央図書館との連携コーナーを設け、親子で絵本の読み聞かせができるスペースや、子育て相談スペースなどを備え、親子が集い、ふれあう拠点として運営してまいります。
あわせて、市立図書館においては、新たに、図書館利用カードを作成した乳幼児に絵本をプレゼントいたします。
乳幼児期から親子一緒に本に触れ合い、コミュニケーションを高めることで、温かい親子関係の構築や子どもの読書習慣、図書館利用の促進につなげてまいります。
一方、高等教育につきましては、少子化が進展し、大学を取り巻く環境が変化する中、新たに設置する大学改革推進室と市立大学の連携のもと、薬科大学について、研究力のさらなる深化を図るため、より機動的かつ弾力的な組織運営が可能となる公立大学法人への移行準備に着手するとともに、女子短期大学については、学科改編後の中長期的な視点に立った将来構想を検討してまいります

ワークダイバーシティ

2つ目は、「ワークダイバーシティ」であります。
市民の皆様が、日々の生活において幸せを実感していただくためには、自身の居場所や出番があることが大変重要であります。
その居場所や出番の機会のひとつが「働く」ことであり、働きづらさや生きづらさを抱える方々が、持てる力を発揮できる多様な働き方を創出することで、「働く」幸福感と新たな担い手が生まれ、ひいては地域経済の活性化につながるものと考えております。
あわせて、働く場の選択肢がさらに広がるよう、スタートアップ支援をはじめ、地域経済と産業の活性化に向けた各種施策を展開してまいります。
まず、多様な働き方の推進については、障がいがあるなど、長時間働くことが困難な方々に向けた雇用を開拓し、就労先とのマッチングを図る「超短時間ワーク応援センター」のほか、公益財団法人 日本財団のモデル事業を活用した、ひきこもりなど様々な働きづらさを抱える方に対する就労支援、さらには民間企業との連携による、短時間テレワーク形式という新しい働き方推進の3つを柱として、それぞれの事業における実績や課題を踏まえ、さらなる充実を図ってまいります。
また、生活が不安定で、周囲から孤立する恐れのある若者や学生を対象に、新たに、コミュニケーション講座や企業でのインターンシップ体験などのプログラムを提供し、働きづらさを抱える若年層の就労を支援してまいります。
加えて、就労先としての市内企業の魅力を高める観点から、岐阜商工会議所等と連携し、ワークショップの開催等を通じて、女性活躍の推進や柔軟な働き方など、雇用・就労環境の向上に関する企業の意識醸成を図るとともに、ワークダイバーシティの推進に官民合同で取り組む協議体の設置に向け、準備を進めてまいります。
このほか、融資制度について、コロナ関連融資の借り換えなど、企業の資金繰り需要に引き続き適切に対応するほか、「ネオワーク・ギフ」を拠点としたスタートアップ支援について、専門家等と連携した相談体制や、地域イノベーション創出に向けた交流の場の提供など、多面的なアプローチにより、さらなる起業の促進に努めてまいります。
また、企業立地の推進に向け、三輪地域の農業6次産業化にかかる地権者、企業との合意形成を引き続き進めるほか、柳津地域への立地希望の高まりを受け、集積地整備の基本計画を策定するとともに、本市の地価や立地特性等を踏まえた支援制度の拡充を図ってまいります。

中心市街地活性化&社会基盤整備

3つ目は、「中心市街地活性化&社会基盤整備」であります。
本市の中心市街地は、岐阜都市圏全体の発展を推進するエンジンであるとともに、人口のダム機能を果たす重要なエリアであり、岐阜公園エリアを加えたセンターゾーンの活性化は、本市の持続的発展に不可欠であります。
あわせて、都市の付加価値を高め、市民生活の利便性や快適性の向上に資する社会基盤整備を、未来への投資として着実に進めていく必要があると考えております。
そのため、センターゾーンにおいて、市街地再開発とリノベーションまちづくりを両輪とし、公共空間の有効活用を含め、官民が連携したまちづくりを推進するとともに、多様で魅力的な地域資源を活用した本物志向の観光まちづくり、未来を見据えた交通環境づくりなど、多面的に施策を展開してまいります。
令和5年度は、駅周辺エリアにおいて、岐阜駅北中央東地区、中央西地区市街地再開発事業の実施設計に着手するなど、早期の完成に向け、大きく前進することとなります。
引き続き、両地区の取り組みを支援するとともに、駅周辺の利便性や回遊性を一層高めるため、再開発にあわせた歩行者用デッキ整備の検討を進めてまいります。
また、柳ケ瀬エリアにおいては、柳ケ瀬グラッスル35が完成し、新たなにぎわいが生まれる中、エリアの価値のさらなる向上を図るため、交流やイベント開催などのまちづくり活動の拠点となる柳ケ瀬広場について、用地取得や建物補償を進めてまいります。
さらに、柳ケ瀬エリアとつかさのまちエリアの中間に位置する本庁舎跡について、旧庁舎の解体後、可能な限り早期の活用を図るため、活用事業者の選定を進めるなど、両エリアをつなぐ新たなにぎわいの創出に向け取り組んでまいります。
加えて、センターゾーン全体における「居心地がよく、歩きたくなる まちなか」の創出を目指し、道路空間の活用にかかる基本計画の策定に向けた検討を進めてまいります。
観光においては、令和4年、全国の注目を集めた、ぎふ信長まつりのレガシーを活かし、令和5年度は、NHK大河ドラマ「どうする家康」を活用したプロモーションなど、戦国城下町ブランドの発信等による誘客を図るほか、「観光ビジョン」に基づき、観光まちづくりの舵取り役となる地域DMOの設立に向け、組織体制などを検討してまいります。
また、岐阜公園周辺エリアにおいて、岐阜城天守閣の耐震化や歴史博物館のリニューアルのほか、山上部の発掘調査や石垣の保全、及び山麓庭園の整備とともに、これらの歴史的価値を活かした岐阜公園の再整備、さらには周辺道路の無電柱化などを、一体的に進めてまいります。
社会基盤整備については、名鉄名古屋本線鉄道高架化事業及び加納・茶所 統合駅周辺 土地区画整理事業において、用地取得に着手するなど、県との連携の下、着実に事業を推進してまいります。
このほか、長森地域の交通結節機能強化にかかるJR長森駅周辺整備や、黒野地域のライフサイエンス拠点形成を促進する、薬科大学新キャンパスの整備、さらには、三輪地域における岐阜ファミリーパークの総合スポーツ公園化など、地域のまちづくりに資する各種事業の進捗を図るとともに、周辺市町との交流人口の拡大等につながる広域道路の整備を引き続き推進してまいります。
あわせて、橋梁の長寿命化、重点的かつ効率的な上下水道管の更新など、社会インフラの計画的な維持管理を図ってまいります。
さらに、公共交通への自動運転技術の導入については、これまでの実証実験の成果を踏まえ、中心市街地や川原町、岐阜公園を周遊する自動運転バスを5年間継続して運行し、段階的にインフラ整備を進めるとともに、社会受容性の向上を図りながら、国が示す「レベル4」での無人自動運転の実現を目指してまいります。

共助・共生社会&環境

4つ目は、「共助・共生社会&環境」であります。
人口減少、少子高齢化が一層進展するとともに、自然災害が頻発する中、個々の多様性を尊重し、日々の暮らしの中で、互いにつながり、助け合うことがますます重要となってまいります。
こうした、地域で安心して生き生きと暮らせる協働のまちづくりの推進に向け、持続可能な地域コミュニティの形成や、多文化共生の促進など、様々な施策を展開してまいります。
加えて、脱炭素化の取り組みを加速するなど、良好な生活環境を次世代へ継承し、誰もが居心地の良い地域づくりを進めてまいります。
令和5年度は、地域コミュニティ活動における、担い手不足や、コロナ禍での活動の停滞などの課題を踏まえ、DXの推進による負担軽減を図るため、各地域において、DX講座の開催に加え、新たにタブレット端末を導入し、情報共有などの効率化を進めるほか、引き続き、まちづくり協議会などへの支援を行ってまいります。
加えて、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用し、地域社会の課題解決を目指すNPO法人等を支援するなど、民間の創意工夫による活動を下支えし、地域の活力につなげてまいります。
また、誰もが互いを尊重し、個性と能力を発揮できるよう、性別に関する無意識の思い込み「アンコンシャス・バイアス」への気づきを幼少期から促すほか、外国人市民が過去最多となる中、皆様に必要な情報が確実に届くよう、利用率の高いアプリを活用した双方向の情報発信に取り組んでまいります。
さらに、災害時における高齢者や障がい者などの要配慮者について、新たに、3か所のコミュニティセンターを福祉避難所に指定し、受け入れ環境の充実を図るほか、自力避難が困難な、避難行動要支援者について、災害危険度の高いエリアに居住する方を的確に把握し地域等と連携できるよう、ハザードマップを取り込んだ 支援システムの更新を行うなど、避難体制の整備に努めてまいります。
環境については、国が示す「2050年カーボンニュートラル」に向け、令和4年度に改定する「地球温暖化対策 実行計画」に基づき、市民や事業者の皆様とともに、多様な取り組みを実行していく必要があります。
令和4年4月から実施しているプラスチック製容器包装の分別収集は、市民の皆様のご協力により 想定以上の収集量となり、ごみ減量に大きく寄与する中で、さらなる脱炭素化を進めるため、令和5年度には、シンポジウムの開催や啓発動画の制作など、本市の方針や具体的な取り組みを 広く周知するとともに、引き続き、太陽光発電システムや蓄電池といった省エネ設備にかかる支援などを継続してまいります。

寄り添う福祉&健幸

最後に、5つ目は、「寄り添う福祉&健幸」であります。
市民の皆様が抱える課題が、複雑化・複合化する中、長期にわたるコロナ禍の影響もあいまって、こうした課題に丁寧に寄り添う支援の必要性は、ますます高まっております。
そのため、様々な制度の狭間にある支援ニーズを的確に把握し、誰一人取り残されることなく、安心して暮らせるまちを構築するとともに、人生100年時代における、健康寿命の延伸や生きがいづくりなど、一人ひとりが幸せに生きられる社会の実現に向けた施策を展開してまいります。
まず、複数の生活課題を抱える事例に対する重層的支援の推進については、支援機関による通常の対応では解決が困難なケースに対処するため、福祉まるごと支援員が、関係機関との連携・調整を図り、支援につなげております。
令和5年度には、多様化かつ長期化する支援ニーズに対し、より綿密に様々な関係機関との調整を図るため、福祉まるごと支援員を統括するスーパーバイザーを増員し、課題への対応を強化してまいります。
さらに、ひきこもりに対する支援の充実を図るため、業務を福祉部に移管の上、新たに、ひきこもり相談室を設置し、必要な支援が届いていない方や、相談することに心理的な抵抗がある方などとの、信頼関係の構築やつながりの形成に向け、重層的支援推進室との連携の下、取り組んでまいります。
また、地域の身近な行政窓口である事務所においては、新年度、南部西事務所に福祉窓口を開設することにより、すべての事務所で福祉機能の拡充が完了いたします。
今後も「福祉窓口アテンダント」を中心に、丁寧かつきめ細かな窓口サービスの提供に努めてまいります。
健康寿命の延伸については、これまで、国保データベースシステムの各種データを活用・分析し、高齢者の健康課題の把握や対象者を特定した支援など、後期高齢者及び国民健康保険の保健事業と、介護保険の地域支援事業との一体的な実施に取り組んでおります。
令和5年度には、対象地域を拡大し、分析データを積み重ねるとともに、より効果的な支援方法等を検証した上で、事業を進めてまいります。
また、自身の健康状態に満足している市民が約半数にとどまっていることを踏まえ、健康運動施設「ウゴクテ」において、身体活動や運動の習慣づくりを支援するとともに、「歩く」を基本とした健康づくり「クアオルト健康ウオーキング」について、新たに「ウゴクテ」を起点としたコースを設定するなど、都市型クアオルトに取り組んでまいります。
このほか、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国において、5類感染症への位置付けに伴う今後の対応について、議論が進められております。
引き続き、手指消毒や密の回避などの基本的な感染防止対策を講ずる一方、入院や検査費用の公費負担、ワクチン接種などへの対応については、新たな制度への移行に向け必要な体制を確保し、県との連携の下、国の方針変更に迅速に対応してまいります。

令和5年度予算及び行財政運営

次に、令和5年度予算案における総括について申し上げます。
まず、歳入についてであります。
歳入の根幹である市税収入につきましては、個人市民税が給与所得等の増加により9億円、固定資産税及び都市計画税が、家屋の新増築などに伴いあわせて8億円の増となる結果、市税全体で前年度と比較し、18億円、率にして2.7%増の671億円を見込んでおります。
また、税外収入では、地方消費税交付金について、個人消費の増加などにより9億円の増を見込んだほか、財政調整基金繰入金を10億円の増とするなど、これらを合わせた一般財源の総額は、前年度に比べ22億円の増となる見込みであります。
一方、歳出につきましては、定年引き上げに伴う退職手当の減により、人件費が減少する一方で、社会保障関係経費が引き続き増加するとともに、投資的経費における、柳ケ瀬広場や薬科大学新キャンパス整備などの事業進捗に伴う増などの結果、総額として令和4年度より増加しております。
この結果、令和5年度の予算規模は、
一般会計1,798億9,000万円、
特別会計1,202億6,230万円、
企業会計577億7,856万6千円、
総計3,579億3,086万6千円となり、
これを令和4年度当初予算と比較いたしますと、
一般会計で46億6,000万円、2.7%の増、
特別会計で45億7,560万円、4.0%の増、
企業会計で32億2,960万2千円、5.9%の増、
全体では124億6,520万2千円、3.6%の増、
となったところであります。
人口減少・少子高齢化が加速する中、今後、社会保障関係経費のさらなる増加や、公共施設等マネジメントなど、様々な財政需要に対応するためには、財政規律の堅持に意を用いつつ、“岐阜を動かす”未来への投資やシティプロモーションなど、本市の魅力を高め、その魅力を発信する取り組みを推進し、自主財源の確保につなげていくことが重要であります。
今後におきましても、中長期の視点に立ち、中期財政計画や行財政改革大綱2020に基づき、DXの活用なども含めた様々な改革を積極的に進めるとともに、EBPMに意を用いた施策の構築を常に意識しながら、持続可能なまちづくりに資する行財政運営に取り組んでまいります。

以上をもちまして、市政に対する所信の一端と令和5年度に重点を置いて取り組む施策の大要を申し述べました。議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、予算に関係いたします条例なども提案いたしておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

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