平成30年9月定例会 市長提案説明
提案説明に先立ち、一言申し上げたいと思います。
非常に強い台風21号が、間もなく日本に上陸し、本日、午後3時頃、本市に最も接近する見込みであります。
最大風速45メートルを上回る非常に強い勢力の台風は、25年ぶりのこととなり、気象庁は、暴風や土砂災害、低い土地の浸水、河川の氾濫に対して、厳重な警戒を呼びかけております。
こうした状況の中、本市といたしましては、災害対策本部を速やかに設置できる体制を整えるとともに、現在、自主避難の要請に対して、順次、避難所を開設し、避難者を受け入れております。
市民の皆様には、迅速かつ的確な防災情報の提供と合わせ、早めの避難など「命を守る行動」を呼びかけてまいります。
それでは、諸般の事項について、申し上げます。
自然災害への対応
最初に、自然災害への対応についてであります。
自然災害の多発
本年6月に発生した大阪北部地震に続き、平成に入り最悪の豪雨災害となった「平成30年7月豪雨」、東から西へ逆走する異例のコースを進んだ台風12号、さらには、災害級とも言われる連日の猛暑など、この数カ月の間、地震災害に加え、異常気象による様々な自然災害が相次いで発生しました。
これらの災害で亡くなられた方々と、その御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。
また、被害にあわれたすべての方々に、心からお見舞い申し上げるとともに、いまなお2,000人を超える方々が避難生活を余儀なくされております。
岐阜県内におきましても、「数十年に1度」の災害への警戒を呼び掛ける大雨特別警報が、本市を含む16市町村で初めて発表され、津保川が氾濫した関市や、土砂崩れが相次いだ高山市や飛騨市などにおいて、大きな被害が発生しました。
本市の支援状況
こうした状況を受け、本市におきましては、災害発生後、支援要請に対し迅速に対応できる体制を構築し、給水活動に従事する職員を美濃加茂市及び下呂市へ、災害廃棄物収集運搬に従事する職員を関市へ、それぞれ派遣したほか、中核市市長会の災害時応援協定に基づき、避難所運営業務に従事する職員を倉敷市へ派遣いたしました。
また、市有施設35カ所で広く義援金を募り、多くの心温まる御支援をいただきました。皆様方の御厚志に深く感謝を申し上げます。
今後とも、被災地の早期復興のため、現地の状況に応じた、きめ細やかかつ最大限の支援を続けてまいる所存であります。
本市の被害状況
また、本市におきましても、長良川が避難判断水位に迫る出水となったため、14年ぶりに陸閘を閉鎖するなど、緊張感が高まりました。
国において着実に実施されてきた河道掘削などの効果もあり、結果として越水を免れ、人命にかかわるような大きな被害には至りませんでしたが、住宅の床上・床下浸水が26件発生したほか、道路法面の崩壊、鵜飼観覧船の破損 及び 運行中止による経済損失などの被害が発生したところであります。
強化方針
今回の災害対応においては、地域防災計画に基づき、自主防災組織のほか、水防団や消防団と連携し、速やかに応急対策が実施できた一方、市民の皆様からは防災情報の伝達などに関する様々な御意見、御要望をいただきました。
こうした現実の災害対応で得られた経験を踏まえ、豪雨災害対策をさらに強化するため、一連の対応について検証を行い、過日、岐阜市災害対策検討会議において、9分野26項目からなる強化方針を取りまとめたところであります。
今後、これに基づき、市民の皆様に対する防災情報の提供及び周知や、避難所の充実などに着実に取り組むとともに、内水対策の強化について、河川管理者である国や岐阜県へ要望してまいります。
防災意識の向上
一方、今回の豪雨災害においては、行政からの避難情報が実際の避難行動に結びつかなかったことが、被害を拡大させた一因として、全国的に大きくクローズアップされました。
被害を最小化するためには、行政による情報伝達体制の強化はもとより、「自分の命は自分で守る」という意識のもと、平時からハザードマップや避難所などを確認の上、発災時には、避難情報などを積極的に把握することで危険を察知し、避難行動につなげる「自助」や、住民同士が声をかけ合い、早期避難につなげる「共助」が極めて重要になります。
こうしたことを踏まえ、今後も整備効果の高い治水対策等のハード整備に加え、市民の皆様が、速やかに「命を守る行動」をとっていただけるよう、防災への意識を高めるソフト面を重視した対策強化に努めてまいりたいと考えております。
大阪北部地震
このほか、6月18日には、大阪府北部を震源とする震度6弱の都市直下型地震が発生し、5人の方が亡くなられたほか、交通網やライフラインが寸断し、都市機能に大きな支障を来しました。
さらに、4万件を超える住宅損壊が発生する中、コンクリートブロック塀の倒壊により通学中の児童が死亡するという痛ましい事故が発生したことを受け、安全性に問題があるブロック塀を撤去する動きが全国的に広がりました。
本市の対応
本市におきましても、すべての市有施設におけるブロック塀の安全性について調査を行い、現行の建築基準に適合しない塀は速やかに撤去する方針のもと、学校施設を含む、緊急性の高い塀について、概ね撤去を完了し、残る箇所についても施行中であります。
さらに、道路に面した民有地のブロック塀につきましても、倒壊による被害や、避難の妨げになることを防止するため、7月1日から撤去に対する補助制度を開始し、早期の撤去を促進しております。
特に、次年度までの緊急措置として、通学路又は避難路に面するブロック塀を撤去する場合には、補助率の引き上げを行うことで、速やかに安全・安心な環境を整備してまいりたいと考えております。
まとめ
こうした直下型地震は、いつどこでも起こり得ることに加え、本市においては、近い将来、南海トラフ巨大地震の発生も危惧されております。
また、地球温暖化に伴う気候変動により、豪雨災害等の頻発化、激甚化も懸念されるところであります。
こうした状況の中、災害による被害を低減すること、いわゆる「減災」のため、市民、地域コミュニティ、行政が常に協働して行動することが最も重要であり、今後もあらゆる事態を想定しつつ、さらなる市民の防災意識の向上と防災体制の強化に努めてまいります。
本市の財政運営
次に、本市の財政運営についてであります。
今期定例会に付議しております平成29年度決算を総括して申し上げます。
本市の税収は、法人収益の減少により、前年度に比して微減となったことに加え、高齢化の進展等に伴い、福祉や医療などの社会保障関係経費が引き続き増加する厳しい状況の中、市の借金である普通債残高をさらに縮減するなど、将来負担の軽減に意を用いつつ、引き続き健全財政を堅持できたものと考えております。
市の貯金である基金につきましては、今後の大規模な財政需要に対応するため、庁舎整備基金、鉄道高架事業基金に加え、新たに設置した薬科大学整備基金などに、計23億円を積み立てた一方、財政調整基金の取り崩しなどで、平成29年度末の基金残高は、388億円と、前年度に比べ4億円の減となったところであります。
また、普通債につきましては、平成29年度末残高は689億円となり、ピーク時の平成11年度 1,362億円から金額にして、マイナス 673億円、率にして、49%縮減し、財政運営上の余力を確保しております。
こうした計画的な財政運営の結果、財政健全化法に基づく平成29年度の健全化判断比率につきましては、財政規模に占める借金返済の負担の程度をあらわす実質公債費比率は、前年同率の4.6%と、引き続き、早期健全化基準の25%を大きく下回る健全な水準となっております。
また、将来の負担となる債務の程度をあらわす将来負担比率につきましても、早期健全化基準の数値が350%とされる中、マイナス25%と、引き続き、本市が将来負担すべき実質的な負債がない、健全な状態を示しております。
こうした健全な財政指標の一方で、市税収入が伸び悩んでいることに加え、社会保障関係経費が増加を続けるなど、政策的経費に充てる財源が縮小傾向にあります。
こうした状況を踏まえ、今後におきましては、財政規律の堅持に意を用いつつ、基金や市債を有効に活用し、財政負担の平準化を図るとともに、時代の変化に合わせ、事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底することで、“岐阜を動かす”施策を推進してまいります。
さらに、喫緊の課題となっている公共施設等の老朽化対策や、少子高齢社会への対応など、様々な財政需要に備えるため、引き続き、「行財政改革大綱2015」に基づく、「行財政改革プラン」の着実な推進を図るなど、不断の行財政改革により、健全な財政基盤を維持してまいりたいと考えております。
諸議案の説明
それでは、今期定例会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を、御説明申し上げます。
はじめに、第92号議案、平成30年度一般会計補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、道路舗装や側溝改良など市単独の基盤整備のほか、北西部運動公園のグラウンド改良など、所要の措置をいたしました。
まず、民生費の老人福祉費でありますが、高齢者が住みなれた地域での居宅生活を支援するため、県費を活用し、小規模多機能型 居宅介護事業所などの施設整備への助成費5,200余万円を補正するものであります。
戸籍住民基本台帳費には、国の制度改正に伴い、平成31年11月から可能となります、住民票等への旧姓併記に対応するためのシステム改修費 1,800余万円を、国民年金費には、平成31年度から、産前産後期間における国民年金保険料の免除制度が導入されることに伴うシステム改修費 280余万円を、それぞれ補正するものであります。
また、文化・芸術振興費につきましては、市民会館の空調設備改修に、3,000万円を補正するものであります。
次に、衛生費の塵芥処理費につきましては、岐阜市北部地区産業廃棄物不法投棄事案におきまして、行政代執行費用の第三債務者に対し、当該費用の支払いを求めるため、第102号議案において、訴えを提起するとともに、本補正予算において、これにかかる弁護士費用 250万円を補正するものであります。
次に、土木費につきましては、道路舗装や側溝改良など、市単独の基盤整備事業を中心に補正するものであります。
道路橋梁維持費には、市道の舗装に、2億5,700万円を、道路橋梁新設改良費には、側溝の整備に、3億8,600万円を補正するとともに、河川水路新設改良費には、支線水路の改良に、7,800万円を補正するものであります。
次に、建築指導費でありますが、先に申しましたとおり、本年6月に発生した大阪北部地震の被害状況を踏まえ、7月1日から道路に面したブロック塀の撤去に対する補助事業を開始いたしました。
この間、速やかに対応を図るため、予備費充用により予算措置してまいりましたが、本補正予算において、本年度末までの所要額1,600余万円を補正するものであります。
また、公園整備事業費には、国の補助内示に伴い、岐阜公園及びその周辺エリアにおける公衆トイレの洋式化等の工事費に、880余万円、市単独事業として、公園の諸施設整備に、2,500万円、合わせて3,300余万円を補正するとともに、緑化整備事業費には、北西部運動公園の既設クレーグラウンドを天然芝化する工事費に、1億5,000万円を補正するものであります。
次に、教育費の薬科大学管理費につきましては、教育研究の拡充を図るため、企業からの寄附金を財源とした講座を設置する費用に、950万円、また、国・県・企業等からの受託研究が当初の見込みを上回ることから、これにかかる交付金に、5,000余万円、合わせて5,900余万円を補正するものであります。
以上、一般会計の補正総額は、10億8,758万8千円となり、財源内訳といたしましては、
市債 4億6,610万円
国及び県支出金 7,133万7千円
繰越金その他特定財源 5億5,015万1千円
をもって、措置した次第であります。
次に、第93号議案は、介護保険事業特別会計補正予算であります。
前年度の保険給付費等の精算の結果、支払基金交付金及び国・県支出金が歳入超過となりましたので、これらに対する償還金などに 5億8,400余万円を補正するものであります。
次に、第94号議案から第97号議案は、いずれも条例の改正でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。
第98号議案 及び 第99号議案につきましては、いずれも、工事請負契約の締結についてであり、それぞれ、新庁舎建設事業における立体駐車場の建築工事、長良小学校校舎及び体育館の建築工事にかかる請負契約を締結しようとするものであります。
次に、第100号議案は、財産の取得についてでありまして、すべての指定拠点避難所などに配備する災害用浄水機計51台の取得契約を締結しようとするものであります。
また、第101号議案は、旧大洞幼稚園敷地の売り払いにかかる財産の処分を行おうとするものであります。
第103号議案は、山県市が岐阜市道を山県市道路線として重複認定したことに伴い、山県市との協議により、当該道路の管理にかかる協定を締結しようとするものであります。
次に、第104号議案から第108号議案は、平成29年度の一般会計及び特別会計並びに企業会計の決算認定についてでありまして、決算成果説明書、並びに監査委員の審査意見書を添付してありますので、御参照いただきたいと存じます。
最後に、専決処分事項について御説明いたします。
報第9号及び報第10号は、いずれも、本年8月末に公布されました子ども・子育て支援法施行令等の一部改正に伴い、関係条例の一部を改正したものであります。
その内容は、保育料の額を決定する際に用いる市町村民税 所得割の額の算定にあたり、未婚のひとり親世帯の経済的負担の軽減を図るため、地方税法上の寡婦(夫)控除が適用されたものとみなすとともに、平成30年度から政令指定都市の市民税所得割の税率が6%から8%に変更になったことに伴い、当該市で課税された本市への転入者に不利益が生じることのないよう、旧税率で算定されたものとみなす特例措置を講ずるものであります。
報第9号は、保育所及び認定こども園等について、報第10号は、市立幼稚園について、それぞれ規定の整備を行ったものであります。
以上、補正予算及び関係諸議案をご説明いたしました。
よろしく御審議の上、適切なる御決定を賜りますようお願い申し上げます。
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