令和7年9月定例会 市長提案説明

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ページ番号1035027  更新日 令和7年9月2日

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提案説明に先立ち、諸般の事項について申し上げます。
最初に、平和への取り組みについてであります。
戦後80年という節目の年を迎え、戦争体験者の高齢化が一段と進む中、改めて平和について考え、戦争の記憶とその教訓を社会全体で共有し、未来へ継承していくことが重要であります。
昭和20年7月9日深夜の米軍による岐阜市への空襲、いわゆる岐阜空襲により、旧市街地の約8割が焼失し、約900名の市民が犠牲となりました。
このような悲惨な出来事を風化させないため、本市では様々な平和啓発活動に取り組んでおります。
その一環として、岐阜空襲から80年を機に、空襲体験者の生の声を後世に残し、平和の尊さを伝えていくため、岐阜空襲の概要や9名の方の体験談を収録した「岐阜空襲80年平和動画」を制作しました。
この動画は、市の公式YouTubeで公開され、多くの方の関心を集めるとともに、市内の小中学校の平和学習でも活用されており、本市の未来を担う子どもたちに岐阜空襲の惨禍を継承し、戦争の体験を現代に伝える大変貴重な資料となっております。
平和動画を見た市内の中学生からは、「今の平和な生活を大切にしたい」、「戦争の悲劇を語り継いでいきたい」といった平和を願うメッセージが数多く寄せられました。
同時に、「岐阜空襲について学ぶことで、私たちの住むまちについて深く考えるきっかけになった」との声も多く聞かれ、若い世代に平和の大切さが着実に伝わるとともに、地域の一員としての意識を高めるきっかけにもなっているものと考えております。
また、7月9日に開催しました「平和の鐘」式典では、平和動画にご出演いただいた岐阜空襲体験者の方々にもご出席いただき、空襲体験を語っていただくとともに、岐阜中央中学校の生徒による平和への誓いが行われ、参加者の皆様と共に当時の惨状を知り、平和の尊さを再確認する貴重な機会となりました。
この「平和の鐘」式典は、岐阜空襲のあった7月9日に世界の恒久平和を願い、鐘を鳴らすことで平和への想いを深める取り組みであります。
平成11年から毎年、姉妹都市へ同時に鐘を鳴らして頂くよう呼びかけを行っており、世界平和への願いを象徴する重要な取り組みとなっています。
本市は、昭和63年7月1日に、すべての核兵器と戦争をなくすことを訴え、世界の人々と共に真の恒久平和が達成されることを願う「平和都市宣言」を行い、以来、官民での草の根交流を含めた様々な平和啓発活動を継続的に実施してまいりました。
今後も岐阜空襲体験者の皆様の貴重な体験を後世に伝えつつ、市民の皆様や姉妹都市の皆様と共に、平和への願いを未来へつないでまいります。
次に、自然災害への対応についてであります。
8月6日から12日にかけて九州を中心に、停滞する前線や低気圧の影響により線状降水帯が相次いで発生し、大雨特別警報が発表された鹿児島県や熊本県等において、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な災害が発生しました。
今般の災害で亡くなられた方々に対し、深く哀悼の意を表するとともに、被害に遭われました方々に心よりお見舞いを申し上げます。
近年、私たちの周辺では、これまでの常識を超える自然災害が多発しております。
先に申し上げました、線状降水帯の発生などによる局地的な集中豪雨をはじめ、突風や落雷、そして地球温暖化の影響で大型化する台風などの災害が深刻化しており、都市部や山間部を問わず広範囲にわたって甚大な被害をもたらしています。
本市においても、去る7月14日に竜巻とみられる突風により、住宅や倉庫の屋根などに被害が発生しました。
さらに17日には、1976年の統計開始以来、7月の観測史上最大となる3時間雨量127.5ミリを記録する大雨により、道路の冠水や床上・床下浸水などの被害が発生いたしました。
一方、こうした災害への対策と並行して、活発化する地震活動にも十分な注意を払う必要があります。
鹿児島県トカラ列島近海における群発地震や、ロシア・カムチャツカ半島沖の地震による津波の影響で、日本列島の広範囲において200万人以上を対象に避難指示が発出されたことは、記憶に新しいところであります。
これに先立ち、本年3月には、国において南海トラフ地震における被害想定が見直され、その結果を基に改定された基本計画では、今後10年間で死者数を約8割、全壊・焼失建物数を約5割減らす目標が示されました。
これを踏まえ、本市では国土強靭化地域計画アクションプランの改定を進めるとともに、自助・共助・公助の連携による様々な取り組みを強化しております。
その一例として、土砂災害など災害リスクの高い地域にお住まいで、日常生活の支援が必要な方のために、災害時のケアプランとして「個別避難計画」の作成を進めております。
また、災害時の協力に関する協定を複数の団体と締結し、キッチンカーによる炊き出しや食料品の供給、入浴支援など、避難者の生活を支える体制の強化を図っております。
さらに、「自分たちのまちは自分たちで守る」という意識のもと、各地域の自治会で組織される自主防災組織を中心に、地域防災訓練の実施や、高齢者など支援が必要な方への見守り活動などが行われています。
こうした地域の主体的な取り組みを通じて住民自治が推進され、災害時における被害の軽減はもとより、持続可能な地域コミュニティの形成につながるものと認識しております。
市民一人ひとりの「自助」、地域などによる「共助」、そして行政や関係機関による「公助」を通じた地域防災力の着実な向上こそが、減災への近道であります。
今後も引き続き、いつ発生してもおかしくない自然災害に対し、オール岐阜で備えることで、より一層災害に強い安全・安心なまちの実現を目指してまいります。
次に、本市の財政運営についてであります。
今期定例会に付議しております令和6年度決算を総括して申し上げます。
令和6年度の一般会計決算額は、令和5年度に比べ、歳入は4.8%、歳出は5.8%の増となりました。
エネルギー・食料品価格等の物価高騰対策として、給付金や定額減税などの市民生活への支援策、公共交通事業者への燃料費等高騰分にかかる助成など、様々な対策を実施したところであります。
歳入面では、国の税収増に伴う普通交付税の増加や法人収益の回復による法人市民税の増収があった一方、歳出面では、人件費の引き上げ、物価の高騰、さらに社会保障関係経費の継続的な増加など、厳しい状況が続きました。
こうした状況の中、地方創生臨時交付金などの国の財源を最大限活用するとともに、薬科大学整備事業をはじめとする本市の未来の礎となる事業を推進するため、基金の積み増しを行うなど、計画的な財政運営に意を用いたところであります。
その結果、財政健全化法に基づく健全化判断比率につきましては、財政規模に占める借金返済の負担の程度をあらわす実質公債費比率において、令和5年度と同数値の2.5%を維持するとともに、将来の負担となる債務の程度をあらわす将来負担比率につきましては、マイナス11.4%と、それぞれ早期健全化基準を大きく下回る状況にあり、健全財政を堅持できたものと考えております。
賃金・所得の増加に伴う個人消費の拡大や、コロナ禍後のインバウンド需要により、日本経済は緩やかな回復基調にあるものの、世界情勢に目を向けますと、各地における紛争の長期化やアメリカの関税措置の影響などにより、経済の先行き見通しは依然として不透明な状況が続いています。
こうした中、本市財政を取り巻く環境は、高齢化の進展に伴う社会保障関係経費の増加や人件費、物件費の上昇に加え、金利の上昇に伴う公債費の増加等が見込まれるなど、予断を許さない状況が続いております。
これからも、社会経済情勢の変化に柔軟に対応しつつ、“岐阜を動かす”未来への投資を着実に推進するとともに、行財政改革を継続し、健全な財政運営に努めてまいります。
それでは、今期定例会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を、御説明申し上げます。
はじめに、第94号議案、令和7年度一般会計補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、国等の補助内示に伴うもの及び道路や河川、公園に係る、市単独の基盤整備事業など、所要の補正をいたしております。
総務費の危機管理費につきましては、国のシステム更改に伴うJアラート受信設備の更新に440万円を補正するものであります。
民生費の障害者総合支援費につきましては、国の補助内示に伴い、障害者就労施設が行う生産活動の効率化に資する設備の導入に対する助成費に150万円を、戸籍住民基本台帳費には、出入国管理及び難民認定法等の一部改正に伴い、外国人の在留カード等のICチップに住居地を記録するために必要な端末機器の購入に390万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、衛生費の母子保健衛生費は、妊婦のための支援給付について、国の制度変更に伴い支給対象者が拡大したため、9,500余万円を補正するものであります。
商工費の商工業振興費につきましては、依然として厳しい経営環境に置かれている市内中小事業者や、物価高騰に直面する生活者等を支援するため、キャッシュレス決済を活用した地域経済活性化事業に、1億5,400余万円を補正するものであります。
続いて、土木費の土木総務費につきましては、岐阜県が施工する街路事業にかかる県営工事費負担金に、1,600余万円を、市単独の基盤整備事業として、道路橋梁新設改良費には、児童生徒が安心して通学できるよう、通学路における舗装及び側溝の整備に1億7,400万円を、道路橋梁環境整備費には、その他の市道の舗装及び側溝の整備等に4億400万円を、河川水路新設改良費には、支線水路の整備に、4,800余万円、及び翌年度にわたる債務負担行為として、7,500余万円を、それぞれ補正するものであります。
また、都市建設総務費には、中心市街地におけるレベル4自動運転を実現するため、新たな車両による実証実験を行うための経費及び、LRTの先進都市調査にかかる経費、あわせて、1億1,600余万円を、鉄道高架事業対策費には、名鉄名古屋本線鉄道高架化事業にかかる県営工事費負担金、4,700余万円を、公園整備事業費には、市単独事業として、公園の広場や遊具の整備などに2,500万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、消防費の常備消防費につきましては、救助活動等拠点施設の早期整備を図るため、水路改良工事等にかかる経費、6,300余万円、及び翌年度にわたる債務負担行為として、2,800余万円を、それぞれ補正するものであります。
このほか、過年度の国・県支出金等の確定に伴う償還金として、あわせて4億5,900余万円を、それぞれ所要の費目において補正するものであります。
以上、債務負担行為を除く一般会計の補正総額は、16億1,490万4千円となり、財源内訳といたしましては、
国及び県支出金 1億 76万6千円
市債 4億5,560万円
繰越金その他特定財源 10億5,853万8千円
をもって措置した次第であります。
次に、第95号議案は、介護保険事業特別会計補正予算であります。
前年度の保険給付費等の精算の結果、支払基金交付金及び国・県支出金が歳入超過となりましたので、これらに対する償還金などに3億5,900余万円を補正するものであります。
第96号議案は、後期高齢者医療事業特別会計補正予算で、子ども・子育て支援金の徴収に対応するためのシステム改修に要する経費、400余万円を補正するものであります。
第97号議案は、観光事業特別会計補正予算で、鵜飼観覧船事業における高付加価値化をより一層推進し、「ぎふ長良川の鵜飼」のブランド強化、顧客層の拡大を図るため、第101号議案において関連条例を改正するとともに、新たな高級屋形船の整備にかかる経費、2,800余万円を補正するものであります。
次に、第98号議案から第100号議案、及び第108号議案は、いずれも条例の改正でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。
第102号議案は、工事請負契約の締結についてでありまして、歴史博物館空調設備改修工事に係る請負契約を締結しようとするものであります。
第103号議案から第105号議案は、いずれも工事請負契約の変更についてでありまして、第103号議案の、リサイクルセンター跡地等整備工事及び、第104号議案の、金華橋修繕工事の請負契約については、現場の状況等を踏まえた一部工事の追加により、第105号議案の北消防署、消防本部整備工場及び北部防災備蓄拠点建築工事の請負契約については、インフレスライド条項の適用により、それぞれ、契約金額を変更しようとするものであります。
第106号議案は、柳津地域ものづくり産業等集積地整備事業に伴い、市道路線の認定をするものであります。
第107号議案及び、第109号議案から第112号議案は、令和6年度の一般会計、特別会計及び企業会計の決算認定でありまして、決算成果説明書並びに監査委員の審査意見書を添付してありますので、御参照いただきたいと存じます。
最後に、専決処分事項についてであります。
報第10号は、今月21日に予定されております県議会議員補欠選挙にかかる経費を、補正したものであります。
報第11号は、7月に中央卸売市場において発生した車両接触による電線破断事故を受け、車両の電線接触を防止する鉄骨ゲート等を設置する経費を、補正したものであります。
以上、補正予算及び関係諸議案を御説明いたしました。
よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

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