令和6年3月定例会 市長提案説明

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ページ番号1025247  更新日 令和6年2月29日

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提案説明に先立ち一言申し上げます。
年初に発生した能登半島地震により、亡くなられた方々とそのご遺族に対し、深く哀悼の意を表するとともに、負傷された方や、いまだ避難生活を余儀なくされている方をはじめ、被災されたすべての方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
能登地方では、数年前から地震活動が活発になっており、特に震源地周辺の能登半島北部では、家屋の倒壊や道路の寸断などの被害が顕著となったため、初期の救助活動や、ライフラインの復旧、避難所への物資運搬などの対応が、大変困難な状況となりました。
こうした中、本市としましては、発災直後に緊急支援本部を設置し、緊急消防援助隊や医療チームの派遣をはじめ、医薬品の供給、災害廃棄物処理や支援物資の搬送など、被災地のニーズに可能な限り柔軟に応えるべく、様々な支援に取り組んできたところであります。
今後も、被災地の1日も早い復興に向け支援を継続するとともに、今般の地震における教訓を活かし、令和6年度、建築物の耐震化や家具固定等の地震対策について、集中的に推進を図るなど、支援に従事した本市職員の知見等も踏まえ、防災対策に万全を期してまいります。

それでは、ただいま上程になりました議案につきまして御説明いたします。

本日、令和6年第1回岐阜市議会定例会が開催され、令和6年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするにあたり、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。

はじめに

私は、市長就任以来、積極的な対話の実施により市民の皆様の声に耳を傾けるとともに、様々な社会課題の解決をはじめとする市政運営における基本方針として、「オール岐阜」のまちづくりを掲げております。
市政に関わる様々な立場の皆様との間でそれぞれの方向性や思いを共有し、目標に向け「つながり、連帯」し課題に取り組むことにより、一体感が醸成されるとともに、相互のノウハウや特性を活かした相乗効果が生まれるなど、市政運営において大きな原動力となるものと考えております。
とりわけ、新型コロナウイルス感染症対策では、保健所を管轄する本市と岐阜県とが緊密に連携することで、機動的に対応できたと実感しておりますし、令和5年、4年ぶりに多くの笑顔をもたらした長良川花火大会の開催は、官民連携の賜物であります。
さらに、市街地再開発をはじめとした民間投資の呼び込みや、リノベーションまちづくりなど、民間主導の活動への支援を含め、今後も様々な関係者の皆様と「つながり」、共に本市の未来を思い描きながら、あらゆる社会課題解決に全力で取り組んでまいります。
さて、令和6年度は、多くの皆様が完成を待ち望んでいた、市内の東海環状自動車道未開通区間がいよいよ「つながる」予定であります。
開通により、名神高速道路と直結することで、関西圏からのアクセスが大きく向上するため、広域からの交流人口の増加や、インターチェンジ周辺のさらなる発展に大いに期待をしております。
さらに、令和6年は、夏の全国高等学校総合文化祭を皮切りに、秋には国民文化祭及び全国障害者芸術・文化祭が岐阜県で開催される、まさに「文化の年」でもあります。
続く令和7年度に開催予定の「ねんりんピック」も含め、全国から訪れる皆様に本市の魅力に触れていただく絶好の機会となることから、歴史や伝統が息づく「岐阜のおもてなし文化」を体感いただけるよう、関係者一丸となって準備を進めてまいります。

本市を取り巻く環境

それでは、最初に本市を取り巻く環境について申し上げます。
我が国の景気動向は、コロナ禍における社会経済活動の制約がほぼ解消し緩やかな回復基調にあるものの、世界情勢が、各地での紛争の継続や中国経済の失速等により依然として不安定であることに加え、長期にわたる円安の影響などから物価が高止まり状態にあるなど、その先行きは不透明であります。
一方、新型コロナウイルス感染症発生時からの様々な対策や、物価高への対応にかかる大規模な財政出動に伴い、国債や借入金等のいわゆる「国の借金」は、令和5年末時点で約1,290兆円と過去最大を更新しており、今後の能登半島地震への復興対応や、防衛費の大幅な増加などを勘案しますと、国の財政運営は引き続き予断を許さない状況が続くものと考えられます。
こうした中、国は、令和5年11月「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び関連補正予算を閣議決定し、定額減税等による国民の可処分所得の下支えや、中小企業を含めた持続的賃上げなどに向けた取り組みを進めるとともに、12月に策定した「こども未来戦略」においては、児童手当の拡充や高等教育費の負担軽減など、「こども・子育て支援加速化プラン」に掲げる施策を集中的に推進し、少子化対策・こども政策の抜本的な強化を目指すとしております。
基礎自治体である本市としましても、これら国や社会経済情勢の動向を的確に把握しながら、直面する様々な課題を着実に解決していくため、柔軟かつ迅速に対応していく事が求められております。

予算編成におけるキーワード

こうした状況のもと、令和6年度当初予算の編成にあたっては、基本方針として3つのキーワードを掲げたところであります。
1つ目は、「EBPM」であります。
人口減少による税収減や、少子化対策の強化及び高齢化の進展等に伴う社会保障費の増加などにより、今後も厳しい財政状況が続くと予想される中、本市の将来を見据えた未来への投資を着実に推進するためには、限られた財源を効率的かつ効果的に活用するワイズスペンディングの考え方に基づく持続可能な行財政運営が肝要であります。
そのため、様々なデータ等のエビデンスに基づき、課題や成果指標の設定を行い、事業効果及び効率性を重視した施策の立案に努めるとともに、継続的に既存事業の見直しを図ってまいります。
2つ目は、「オープンイノベーション」であります。
社会課題が高度化、複雑、多様化する現状において、本市の限られた財源や人的資源だけで全ての課題解決を図ることには一定の限界があります。
そこで、庁内における部局間の連携はもとより、自治体間での広域連携、官民連携や市民との協働など、あらゆる連携を強化することで、それぞれのアイデア・ノウハウを共有し、施策・事業の相乗効果及び新たな付加価値を創出するなど、財源や人的資源の有効活用を図ってまいります。
3つ目は、「適正な事務執行」であります。
市民の皆様の信頼を得ながら、ともに本市の未来を築いていく上で、適正な事務執行の確保は不可欠であります。
このため、事務処理履歴等が明確となる発注管理システムの導入のほか、業務管理及びコミュニケーションツールによる職場内の情報共有推進など、デジタル技術を活用した業務進捗の「見える化」を図るとともに、事務マニュアルの管理徹底や契約事務のチェック機能強化も含め、様々なリスクの排除に向け継続的に取り組んでまいります。

政策のベクトル及び主要事業

令和6年度は、これら3つの考え方を軸に、特に重点を置いて取り組む政策の方向性として、「こどもファースト」、「経済活性化」、「岐阜を動かす社会基盤整備」、「幸せで豊かな市民生活」、「持続可能な社会づくり」という5つのベクトルを掲げ、市民の皆様とともに、未来のまちづくり構想に掲げる本市の将来像「人がつながる 創造が生まれる しなやかさのあるまち」の実現を目指してまいります。

こどもファースト

それでは、政策のベクトル及びそれぞれの主要事業につきまして順次申し上げます。
まず1つ目は、市長就任以来、市政運営の柱に位置付けております「こどもファースト」であります。
これまで一貫して申しておりますとおり、子どもたちを取り巻く様々な課題に光を当て、解決していくことが、あらゆる世代における多様な社会課題の突破口になると考えております。
そのため、本市の未来を担う子どもたちへの投資を最優先とし、子どもたちが希望あふれる未来を自ら拓く力を育む、教育大綱の具現化を図るとともに、保護者が子どもの健全な育成に力を注げるよう、仕事と育児の両立や、親子の居場所づくりなど、社会全体で子育てを支える各種施策を展開してまいります。
まず、教育についてでありますが、いじめ対策については、いじめ対策監等の配置などの総合的な取り組みにより、いじめの認知件数は、引き続き減少傾向にあります。
令和6年度も、教職員及び児童生徒間の日常的な情報共有や、子どもの健康サポートアプリ「ここタン」の活用などにより、子どもの心身のSOSや小さな変化を見逃すことなく、いじめの未然防止及び早期発見、早期対応を図ってまいります。
また、不登校への取り組みについては、草潤中学校の分教室ともいうべき校内フリースペースを、令和6年度、さらに中学校5校に設置するとともに、家庭にいながら周囲とつながり相談支援が可能なオンラインフリースペースを整備するなど、個々の実情に応じたきめ細かい支援を行ってまいります。
さらに、多様な学びに対応した教育環境向上などの観点から、施設一体型として整備する義務教育学校「藍川北学園」について、令和7年度の開校に向け、施設改修を進めるほか、市立学校のトイレについては、児童生徒の年齢や利用状況などに鑑み、必要性の高い箇所を順次洋式化してまいります。
このほか、小規模校による合同遠隔授業の実施や、採点支援システムの活用など、学びの充実や教職員の働き方改革に資する教育DXを推進するとともに、通学路安全対策については、本年度先行実施した住民主体のワークショップを、順次各地区へと展開し、ビッグデータの活用などにより選定した危険個所等の安全対策を推進してまいります。
次に、子育て支援については、安心して出産、育児に臨んでいただけるよう、引き続き、保健センターにおいて、家庭訪問や乳幼児健康診査を通じた妊産婦等への伴走型支援に努めてまいります。
さらに、様々な関係機関と連携し、子ども・若者や保護者が抱えるあらゆる悩みや相談などに対応する「エールぎふ」において、新たに「こども家庭センター」を設置し、特定妊婦や要支援児童など、児童福祉及び母子保健双方からの支援が必要なケースに一体的に対応してまいります。
また、子育てと仕事の両立にかかる環境の充実については、放課後児童クラブにおける支援員確保が課題となる中、保護者の利用希望に応え、教室数の増加を図るべく、令和7年度から運営の一部を民間委託するため準備を進めるほか、本市の計画に基づき民営化した保育園に対する園舎建替支援などを通じ、さらなる保育環境の向上及び保育定員の拡充を図ってまいります。
親子が集い、ふれあう拠点「柳ケ瀬子育て支援施設ツナグテ」は、まもなくオープン
1周年を迎える中、入場を制限する日もあるなど、大変多くの皆様にご利用いただいております。
令和6年度は、入場の円滑化のため、オンラインによる案内システムを導入するほか、引き続き、市立図書館と連携した親子の絵本の読み聞かせをはじめとする、子どもの育ちに資するプログラムを提供してまいります。
また、親子が集う地域の拠点である児童館・児童センターでは、令和6年度、絵本コーナーの設置や幼児室の内装改修などのリノベーションを実施し、明るい雰囲気のもと、地域でも親子の読み聞かせの輪が広がるよう取り組んでまいります。
一方、高等教育につきましては、少子化が進展するなど大学を取り巻く環境が変化する中、薬科大学について、公立大学法人への令和7年度移行に向け所要の準備を進めるとともに、女子短期大学については、有識者による審議会の答申を踏まえ策定予定の将来構想に基づき、今後のあり方の具体化を図ってまいります。

経済活性化

2つ目は、「経済活性化」であります。
人口減少が加速する中、本市の持続可能性を確保するためには、地域経済の活性化が不可欠であり、その基盤となる本市企業の活力を高めることが必要であります。
このため、企業立地やスタートアップ支援などにより、働く「場」を創出するとともに、市民の皆様が、「働く」ことを通じ、自身の居場所と出番を得て、日々の生活において幸せを実感していただけるよう、多様な働き方を創出するワークダイバーシティの推進に力を注いでまいります。
あわせて、コロナ禍からの社会経済活動の回復を絶好のチャンスと捉え、インバウンドをはじめとする、戦略的な観光振興策の構築を図ってまいります。
まず、働く「場」を創出する企業立地については、サプライチェーンの強化や脱炭素化への対応などにより、企業の設備投資意欲が高まる中、「ものづくり産業等集積地」において、企業自らが用地の取得・造成を行う、いわゆる民間主導の手法を用いた立地を目指してまいります。
令和6年度は、三輪地域において、農業6次産業化を図る企業と地権者との相互調整や、集積地周辺のインフラ整備を推進するとともに、柳津地域においては、製造業や物流業の集積を目指す計画区域に、複数の企業が立地を希望していることから、速やかに区域内道路等の整備を進めてまいります。
また、スタートアップ支援については、引き続き、ネオワークギフにおける専門的サポートや異業種交流等の促進を柱とし、新たに、成長の可能性を秘める新興企業を名古屋圏から誘致するなど、多面的な取り組みを展開してまいります。
さらに、労働生産性向上のため市内中小企業等のDX推進を図るほか、物価高騰の影響などを受け、依然として厳しい状況にある企業の資金繰り円滑化に対し、引き続き適切に対応してまいります。
ワークダイバーシティの推進については、東京大学と連携して取り組む「超短時間ワーク応援センター」や、公益財団法人日本財団のモデル事業を活用した、様々な働きづらさを抱える方に対する就労支援をはじめ、未就業の若者に対するインターンシップ体験など、個々の状況に応じた多様な働き方の創出に努めてまいります。
また、働き手に選ばれる魅力的な労働環境の醸成を図るため、官民連携の協議体により、ワークダイバーシティの取り組みや、働きがいを高める等の好事例を発信する場を設け、市内企業の意識醸成を図るとともに、採用力向上の観点から、企業が自社の魅力をブランド化し、情報発信する取り組みを支援してまいります。
観光については、公益財団法人岐阜観光コンベンション協会と連携を図り、本年1月、同協会が国に対し、観光地域づくりの舵取り役となる地域DMO候補法人の登録を申請したところであります。
令和6年度は、協会の組織体制強化を支援するとともに、観光事業者等と連携し、マーケティングに基づく戦略的な観光施策の構築に取り組んでまいります。
加えて、インバウンド需要をより効果的に取り込むため、新たに、インバウンド推進室を設置し、外国人観光客の消費動向調査や、中国の旅行会社と連携した情報発信などに取り組み、さらなる誘客促進を図ってまいります。

岐阜を動かす社会基盤整備

3つ目は、「岐阜を動かす社会基盤整備」であります。
本市が将来にわたり魅力あるまちであり続けるためには、未来への投資として、エリアの価値や、市民生活の利便性・快適性を高める社会基盤整備が重要となります。
積年の課題であった名鉄名古屋本線鉄道高架化事業や岐阜駅北エリアの市街地再開発事業などが動き出す中、これら市中心部の活性化策とともに、地域の付加価値を高め、多様な地域課題の解決に資する社会基盤整備を着実に推進し、市民の皆様に、まちの変化を実感いただけるよう取り組んでまいります。
あわせて、幅広い世代が集うセントラルパーク金公園のように、多様なニーズに応えられる新たな公共空間の活用に向けた各種施策を展開してまいります。
令和6年度は、名鉄名古屋本線鉄道高架化事業について、県との連携の下、用地取得を進めるなど着実に事業進捗を図ってまいります。
また、岐阜駅北中央東地区、中央西地区の市街地再開発事業については、令和7年度の除却工事着手を目指し、両地区の組合が行う建物補償に対し支援するほか、駅周辺の利便性や回遊性の向上を図るため、再開発とあわせて整備する歩行者用デッキの設計を進めてまいります。
地域のまちづくりに資する社会基盤整備については、長森地域の交通結節機能強化にかかるJR長森駅周辺整備において、近く北口交通広場の利用が可能となり、利便性が大きく高まる中、引き続きトイレの整備を進めるほか、三輪地域においても、本年度、用地取得が完了した岐阜ファミリーパークの総合スポーツ公園化に向けた再整備に取り組んでまいります。
また、黒野地域のライフサイエンス拠点形成を促進する薬科大学新キャンパスの用地取得を進めるとともに、引き続き、周辺市町との交流人口の拡大等につながる広域道路の整備を推進してまいります。
あわせて、災害時の緊急輸送道路となる金華橋通りにおいて、無電柱化の推進とともに金華橋の長寿命化にかかる大規模修繕工事に着手するほか、重点的かつ効率的な上下水道管の更新など、社会インフラの計画的な維持管理を図ってまいります。
公共空間の新たな活用については、歴史公園として再整備を進める岐阜公園において、民間の資金やノウハウを活かすPark-PFI制度を採用し、飲食・物販施設を設置するなど、官民連携によるにぎわい創出を図ってまいります。
また、多様なまちづくり活動の拠点となる柳ケ瀬広場の設計を進めるとともに、センターゾーンにおける道路空間を活用し、「居心地が良く、歩きたくなるまちなか」の創出を目指すため、引き続き関係機関との調整を図りながら、さらなる機運の醸成に向けた社会実験を実施してまいります。
さらに、公共交通への自動運転技術の導入については、中心市街地における自動運転バスの5年間の継続運行を開始し、大変多くの反響や期待の声をいただいており、引き続き、技術の検証と社会受容性の向上を図りながら、いわゆる「レベル4」での無人自動運転の実現を目指してまいります。

幸せで豊かな市民生活

4つ目は、「幸せで豊かな市民生活」であります。
近年、核家族化の進展やデジタル化の加速など、様々な要因により個々の価値観が多様化しておりますが、自身や大切な人の幸せを願うことは、いかなる時代においても不変であります。
コロナ禍を経て、市民の皆様が抱える課題が、より複雑化・複合化する中、様々な制度の垣根を越え、これらの課題に丁寧に寄り添う支援に努めるとともに、健康寿命の延伸や、文化・スポーツ等を通じた生きがいづくりなどにより、誰もが、豊かな気持ちで日々を過ごせる「ウェルビーイング」を実感できる社会の実現を目指してまいります。
まず、複数の生活課題を抱える方々への重層的支援については、引き続き、様々な関係機関と密に連携し、福祉まるごと支援員を中心に、個々の事例に寄り添ったきめ細かい対応を図ってまいります。
とりわけ、いわゆる8050問題などにつながる、ひきこもりへの対応については、本年度、専門部署の設置に伴い相談件数が大きく増加するなど、支援の手が徐々に届きつつあります。
令和6年度も、様々な困難に直面する方々との間で、丁寧に信頼関係を構築しながら、支援が届いていない方々へのアプローチも含めたつながりの形成を図り、分野横断的な支援に努めてまいります。
また、生産年齢人口の減少が続く中、高齢者人口がピークを迎える、いわゆる2040年問題を念頭に、高齢者が安心して日常生活を送ることができるよう、介護人材の確保をはじめ、認知症やひとり暮らしの方の見守りなど、各種対策を進めてまいります。
健康寿命の延伸については、「柳ケ瀬健康運動施設ウゴクテ」において、健康保険の保険者への周知啓発などを通じ、より多くの皆様に対する運動習慣づくりの支援を図るほか、親子で楽しめるクアオルト健康ウオーキングを開催するなど、幅広い世代の健康づくりに取り組んでまいります。
あわせて、各種データの分析・活用による効果的な健康づくりを目指す、後期高齢者及び国民健康保険の保健事業と、介護保険の地域支援事業の一体的な実施については、令和6年度、対象地域を市内全域に拡大し、さらなるデータの蓄積に加え、エビデンスに基づいた支援等を推進してまいります。
一方、人々が生きる糧となるものは個々多様でありますが、中でも、スポーツや文化芸術、生涯学習は、生きがいづくりに大きな役割を果たすものであります。
このため、スポーツの振興について、引き続き、運動に親しむ機会の提供や、将来のトップアスリートを目指す選手の支援などに取り組むとともに、スポーツの既成概念にとらわれないアクティビティとして若者を中心に人気の高い、アクションスポーツやeスポーツを体験できるイベントの開催などを通じ、一層の普及促進に努めてまいります。
さらに、文化芸術に関しては、令和6年度、国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を一体とした、「清流の国ぎふ」文化祭2024が、県内全域で開催されます。
本市においても、先行して開催される高校生の総合文化祭とあわせ、全国から来訪者を迎え、様々な発表会、展示会等を実施するなど、誰もが気軽に文化芸術に触れ、表現し、交流を図る機会を創出してまいります。
また、生涯学習は、あらゆる世代において、学びへの探求心や他者との交流、地域貢献など、自身の生きがいづくりに大きく寄与するものであります。
令和6年度は、市民の皆様に学びを提供する長良川大学の充実に向け、ニーズに応じ体系的に学べるプログラムや、運営方法等にかかる調査検討を進めてまいります。

持続可能な社会づくり

最後に、5つ目は、「持続可能な社会づくり」であります。
人口減少・少子高齢化の進展等により、日々の暮らしや災害発生時などにおいて互いにつながり助け合う基盤となる、地域コミュニティを支える担い手の確保が一層困難になると見込まれます。
また、地球温暖化の進行に伴う気候変動の影響により、記録的な猛暑や豪雨災害が頻発するなど、我々の社会は、持続可能性が脅かされる事態に直面しております。
このため、将来にわたり、誰もが地域で安心して生き生きと暮らせるよう、防災への備えをはじめ、様々な地域コミュニティ活動を支援するとともに、令和5年5月に表明した「ゼロカーボンシティ宣言」や、本市の地球温暖化対策実行計画に基づき、良好な生活環境を未来へと継承するため、脱炭素化の取り組みを推進してまいります。
令和6年度は、地域コミュニティ活動支援について、地域の連携・合意形成のもと課題解決を図るまちづくり協議会をはじめ、様々な地域活動に対する助成を継続するとともに、新たに地区公民館を巡回する担当職員を配置し、地域活動の担い手不足や、デジタル化の推進などの諸課題に、伴走型で対応してまいります。
また、自然災害への備えについては、家屋の倒壊が被害拡大の一因となった能登半島地震の状況を踏まえ、新たに木造住宅の耐震化や、高齢者世帯等、支援を要する方々の家具固定にかかる助成制度を時限的に拡充するとともに、プッシュ型による制度案内を実施するなど、地震対策を強化してまいります。
さらに、災害発生時の要配慮者について、新たに5か所のコミュニティセンターを福祉避難所に指定し、受け入れ環境の充実を図るほか、地域防災の砦となる消防団及び水防団と連携し、団員確保に向けた啓発に取り組むなど、防災力の強化に向けた各種対策を進めてまいります。
地球温暖化対策については、本市はもとより、市民や事業者の皆様と一体となり、ライフスタイルの転換や、再生可能エネルギーの利用促進など、多面的な取り組みを実行していく必要があります。
令和6年度は、市有施設等の省エネ化・再生可能エネルギー導入の推進を図るため、太陽光発電設備の導入可能性調査や、公用車の電気自動車への切り替えとともに、リース契約によるモデル事業の実施を含めた照明LED化などの取り組みを進めてまいります。
あわせて、市民や事業者の脱炭素化支援として、家庭用太陽光発電設備や蓄電池の導入にかかる助成を継続するほか、新たに、企業活動により生ずる温室効果ガス排出量の「見える化」を支援し、脱炭素経営への転換を後押しするとともに、「ゼロカーボンフェスタ」の開催などを通じ、幅広く行動変容を呼びかけてまいります。

令和6年度予算及び行財政運営

次に、令和6年度予算案の総括について申し上げます。
まず、歳入についてであります。
歳入の根幹である市税収入については、個人市民税において、税制改正に伴い、全額が地方特例交付金で措置される定額減税影響分18億円を見込むほか、法人市民税が法人収益の減により5億円の減となるなど、市税全体で前年度と比較し、22億円、率にして3.4%減の649億円を計上しております。
一方、地方交付税及び臨時財政対策債については、本年度の決算見込み及び地方財政計画等を勘案し、あわせて13億円の増を見込むほか、財政調整基金繰入金を15億円の増とするなど、これら一般財源の総額は、前年度に比べ16億円の増となる見込みであります。
歳出については、予防接種や中小企業融資にかかる貸付金などの新型コロナウイルス感染症対策経費が減となる一方で、給与改定等に伴う人件費の増のほか、社会保障関係経費が引き続き増加してまいります。
さらに、投資的経費は、市街地再開発や薬科大学新キャンパス整備の事業進捗や、北消防署及び消防本部整備工場の移転建設、長良川国際会議場の大規模改修などにより、大きく増加しております。
この結果、令和6年度の予算規模は、
一般会計 1,860億4,000万円
特別会計 1,322億6,580万円
企業会計 581億8,928万9千円
総計 3,764億9,508万9千円 となり、
これを令和5年度当初予算と比較いたしますと、
一般会計で 61億5,000万円、3.4%の増
特別会計で 120億 350万円、10.0%の増
企業会計で 4億1,072万3千円、0.7%の増
全体では 185億6,422万3千円、5.2%の増
となったところであります。
人口減少社会の中、本市が圏域の中心として、活力あふれる「選ばれるまち」であり続けるためには、様々な社会課題を的確に捉え、その解決を図るとともに、中長期の視点に立った未来への投資を着実に推進することが重要であります。
その裏付けとなる持続可能な財政基盤を堅持するため、中期財政計画における見通しを踏まえつつ、行財政改革大綱2020に基づく様々な改革やDXによる事務等の合理化・効率化を一層進めるとともに、EBPMやオープンイノベーションの推進により、限りある資源の効率的かつ効果的な活用を図るなど、堅実な行財政運営の確保に向けたあらゆる取り組みを進めてまいります。

以上をもちまして、市政に対する所信の一端と令和6年度に重点を置いて取り組む施策の大要を申し述べました。議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、予算に関係いたします条例なども提案いたしておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

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