令和6年11月定例会 市長提案説明
提案説明に先立ち、一言申し上げます。
三笠宮妃百合子殿下が、さる11月15日に御薨去されました。
妃殿下のありし日のお姿をしのび、ここに市民の皆様とともに謹んで哀悼の意を表します。
それでは、諸般の事項について申し上げます。
最初に、国の動向についてであります。
さる11月11日に、第2次石破内閣が発足し、「地方を守る」など、5つの「守る」を柱とした、基本方針が閣議決定されたところであります。
また、低所得世帯への給付金支給などの物価高騰対策を盛り込んだ、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に関する補正予算を、年内に成立させる方針が示されるとともに、令和7年度に向け、いわゆる「103万円の壁」に係る基礎控除等の引き上げや、ガソリン減税などの税制改正についても、議論が進められております。
一方、我々地方自治体は、人口減少や少子高齢化などに起因する、地域社会の活力低下や労働力人口の減少などの構造的課題を抱える中で、常に社会課題の解決に知恵を絞りつつも、社会保障関係経費をはじめとする、様々な行政経費が増加するなど、困難な状況に置かれており、こうした実情を、国においてもしっかり認識していただきたいと思っております。
その上で、経済対策をはじめとする様々な政策、特に、先の103万円の壁の見直しについては、地方の基幹税である住民税に関わることでもありますので、こうした政策立案の過程において、地方の声にしっかり耳を傾け、対応していただきたいと考えております。
私は、これまで国に対して、市長会や期成同盟会などを通じて、地方創生をはじめとする各種施策について、適切な補正予算の編成や継続的・安定的な予算の確保など、様々な要望を行ってまいりました。
今後も引き続き、国の動向を注視しながら、住民に最も身近な基礎自治体の長として、現場における課題などを国に対し、しっかりと伝え、要望していくとともに、市民生活を支えるため、本年度の補正予算や新年度予算編成に、的確かつ柔軟に対応してまいりたいと考えております。
次に、スポーツ・文化の振興についてであります。
今年も、「スポーツ・文化の秋」を感じる、様々なイベントが市内各所で開催されました。
まず、スポーツについてでありますが、この夏に開催されたパリオリンピックでは、トランポリンやスポーツクライミングなどの様々なアクションスポーツが競技種目に採用され、多くの日本人選手が活躍されたことは、記憶に新しいところであります。
そうした中、本市におきましても、さる9月28日、29日に、昨年度に引き続き、「ぎふアクションスポーツフェスティバル2024」を、開催いたしました。
当日は、トップアスリートによる迫力のパフォーマンスを生で体感できる「PARKOUR PREMIER CUP 2024 in GIFU CITY」の開催と合わせ、パルクールをはじめ、トランポリンやボルダリングの体験会などを催し、前回より3,000人多い、13,000人の方にお越しいただきました。
各体験コーナーでは、子どもたちがプロの選手やインストラクターに教わりながら、トランポリンやボルダリングに夢中になっている姿や、パルクール鬼ごっこ、通称パルオニで、幼い兄弟や親子が楽しそうに追いかけあう様子が、大変印象に残っております。
また、来場者アンケートの結果を見ましても、96%の方がこの体験型イベントに満足されており、子どもからシニアまで気軽に楽しむことができるアクションスポーツの魅力と人気の高さを、改めて実感したところであります。
また、28日には「ぎふeスポーツ交流会」を同時開催し、体を動かすという、従来の概念にとらわれない新たな分野として、世界的に盛り上がりを見せている「eスポーツ」を体験していただきました。
こうした体験を通じ、市民の皆様が日常的にスポーツを楽しむきっかけとなり、本市のスポーツ人口の増加や新たな魅力の創出につながるとともに、若い世代の将来の選択肢が広がることを期待しております。
続いて、文化について申しますと、42日間にわたる国内最大の文化の祭典、「清流の国ぎふ」文化祭2024が、先日、11月24日に盛況のうちに閉幕いたしました。
まずもって、開催にご尽力をいただきました各種文化団体の皆様をはじめ、すべての関係者の方々にこの場をお借りし、厚くお礼を申し上げたいと思います。
天皇、皇后両陛下のご臨席を仰いだ開会式では、岐阜の文化がつまった「オープニングステージ」や、能登地方の復興を誓う、輪島市の「御陣乗太鼓」が披露されたほか、地域の宝物をモチーフとした、行灯型オブジェ「ちーオシスタチュー」が会場を彩りました。
また、開催期間中は、本市の主催事業として、社交ダンスやお香の祭典をはじめ、歴史博物館の特別展「つなぐ」や、私も織田信長役で出演させていただきました「ぎふ市民劇 道三」など、29の事業を市内各所で実施いたしました。
各会場には市民の皆様をはじめ、全国から多くの方々にご参加、ご観覧いただき、年齢や性別、障がいの有無などに関わらず、誰もが参加できる新たな交流が生み出されました。
私も、多くの事業に出席させていただき、幼稚園児とプロの作品が同じ会場に並んだ「華道」や、関係者のご指導のもと、体験させていただいた「お香」など、文化の幅広さと奥深さに触れる貴重な機会となりました。
また、清流文化地域推し活動「ちーオシ」を通じ、岐阜市の「推し」として市民の皆様に選んでいただいた「岐阜城」「長良川」「金華山」「鵜飼」「長良川花火大会」は、本市の誇れる魅力であることを、改めて認識したところであります。
この夏に開催した「全国高等学校総合文化祭」及び秋の本文化祭により、市民の皆様の文化芸術への興味・関心が高まり、地域文化の再発見や新たな魅力の創出につながったものと考えております。
今後は、この機運の高まりを未来につなげ、「文化芸術を楽しみ創造する都市・ぎふ」の実現を目指してまいります。
次に、EBPM、すなわち「証拠に基づく政策立案」の推進についてであります。
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)とは、経験や直感ではなく、データや合理的根拠をもとに政策を立案することであります。
本市では、新年度予算編成にあたり、限られた財源の中で、市民の皆様の多様な価値観やニーズに応え、政策をより効果的、効率的なものにするために、EBPMを推進しているところであります。
本年度からは、EBPMをさらに浸透させた予算編成を実施するため、BIツールを活用したデータ分析や効果測定等に取り組んでまいりたいと考えております。
このBIツールは、これまで蓄積していた様々な行政データを、地域・年代などの属性ごとに、自動的にグラフ化できるものであります。
これにより、データ分析の大幅な効率化が図られるとともに、本市が抱える課題や既存施策の成果などが数値により明確となることで、事業の見直しや新たな施策の立案に、大きく寄与するものと捉えております。
こうしたツールなどを用いて、多様なデータを活用する習慣を職員に意識づけることで、新年度の予算編成においても、限られた財源の中で、ワイズスペンディングを徹底してまいりたいと考えております。
また、先月、本市の若手職員を中心とした「岐阜市の未来を共に考えるワーキンググループ」において、新年度予算に向けた新規事業立案のプレゼンテーションが行われました。
私も講評をさせていただきましたが、EBPMを意識した事業立案に必要なエビデンスについて、数値を用いて明確に示すことができており、若手職員のデータ活用に対する意識の変化と成長を感じたところであります。
こうした取り組みが、本市職員の政策立案能力の向上や若手職員が活躍できる組織風土の醸成につながることを期待しております。
いずれにいたしましても、EBPMの推進にあたっては、職員の意識改革に取り組みながら、客観的なデータに基づく事業の分析を行い、市民の皆様への説明責任を果たすとともに、政策効果の向上やコストの削減を図ってまいりたいと考えております。
それでは、今期定例会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を、御説明申し上げます。
はじめに、第116号議案 令和6年度一般会計補正予算についてであります。
今回の補正予算におきましては、国の補助内示に伴う事業のほか、道路舗装や側溝整備といった市単独の基盤整備事業などを翌年度以降にわたる債務負担行為として措置するなど、所要の補正をいたしております。
まず、ふるさと納税制度を活用した寄附金の増加が見込まれることから、総務費の広報費には、返礼品などの経費、3,600余万円を、民生費の市民協働推進費には、寄附採納に係る事務費及び元気なぎふ応援基金への積立金、1億1,000万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、民生費の障害者総合支援費には、国の補助内示に伴い、障害児通所支援の事務効率化を図るシステム改修及び障害福祉サービス事業所における業務効率化等を推進するためのICT導入に対する助成費、あわせて1,000余万円を、老人福祉費には、介護保険施設等整備費助成について、県補助単価の改定に伴う増額分及び国の補助内示に伴い、防災・減災対策のための非常用自家発電設備等の整備に対する助成費、あわせて4,900余万円を、子ども支援費には、子ども・ひとり親家庭等にかかる医療費助成について、上半期における感染症の流行などに伴い、今後、不足が見込まれる経費、あわせて1億1,500余万円を、それぞれ補正するものであります。
生涯学習推進費には、コミュニティセンター8館における電気料金等の高騰にかかる影響を踏まえ、施設の安定的な運営を図るため、指定管理料の追加分、1,300余万円を、また、柳津地区学習等供用施設について、令和7年度より管理運営を指定管理から市直営に変更するため、第125号議案において関連条例を改正するとともに、所要の施設整備等にかかる経費、320余万円を、それぞれ補正するものであります。
次に、衛生費の環境総務費は、岐阜羽島衛生施設組合の次期ごみ処理施設建設について、インフレスライド条項の適用による事業費増加の一方、組合債の変更に伴う財源更正分をあわせ、施設建設負担金690余万円を、減額補正するものであります。
商工費の歴史博物館費には、所蔵資料として、織田信長公の岐阜城在城時代における朱印状を購入するための経費、450万円を、土木費の土木総務費には、岐阜県が施工する道路等にかかる県営工事費負担金に、1,500余万円を、それぞれ補正するものであります。
このほか、債務負担行為として、早期の対応が必要な長森東公民館ほか3館の空調設備にかかる改修工事費、5,900余万円を、また、公共事業の平準化を図るため、市単独事業の道路舗装及び側溝整備に対し、4億円を、それぞれ補正するものであります。
以上、債務負担行為を除く一般会計の補正総額は、3億5,191万円となり、
財源内訳といたしましては、
国及び県支出金 8,065万6千円
市債 260万円
繰越金その他特定財源 2億6,865万4千円
をもって措置した次第であります。
次に、第117号議案は、競輪事業特別会計補正予算でありまして、債務負担行為として、令和7年4月に予定しております、特別競輪にかかる宣伝広告等に関する委託費、4,300万円を補正するものであります。
次に、第118号議案から第124号議案、第126号議案及び第139号議案は、いずれも条例の制定及び改正でありまして、それぞれ提案理由が付記してありますので、説明を省略させていただきます。
第127号議案は、工事請負契約の締結についてでありまして、北消防署、消防本部整備工場及び北部防災備蓄拠点建築電気設備工事にかかる、請負契約を締結しようとするものであります。
第128号議案及び第129号議案は、鷺山子ども館及び鷺山公民館建築主体工事並びに、文化センター改修工事の請負契約について、それぞれ、インフレスライド条項等の適用により、契約金額を変更しようとするものであります。
第130号議案は、財産の取得についてでありまして、薬科大学新キャンパス整備事業用地の取得契約を締結しようとするものであります。
第131号議案は、財産の無償貸付についてでありまして、本庁舎跡活用事業において、活用事業者が実施する建設工事期間中、当該事業用地を無償で貸し付けようとするものであります。
第132号議案は、道路瑕疵による自転車転倒事故に伴う損害賠償請求の支払を求める訴訟について、裁判所の勧告に基づき和解しようとするものであります。
第133号議案は、開発に伴い、市道路線の認定をするものであります。
第134号議案は、県内21市町との証明書の交付等に関する事務の相互委託を廃止するものであります。
第135号議案から第137号議案は、いずれも薬科大学の岐阜市公立大学法人への移行に関するもので、第135号議案は、三田洞キャンパスの建物を追加出資するため定款を変更するもの、第136号議案は、令和7年度から6年間における同法人の業務運営に関する中期目標を定めるもの、第137号議案は、同法人に承継させる権利を定めるものであります。
第138号議案 水道事業会計補正予算は、公共事業の平準化を図るため、債務負担行為として、配水管布設整備事業に3億5,000万円を補正するものであります。
続きまして、第140号議案は、令和6年度の給与費等にかかる一般会計補正予算であります。
人事異動などに伴う給与及び共済組合負担金などの増減を調整し、6億6,800余万円を減額補正するものであります。
最後に、専決処分事項についてであります。
報第11号は、さる10月27日に投開票されました衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に要する経費を補正したものであります。
以上、補正予算及び関係諸議案を御説明いたしました。
よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。
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