令和2年3月定例会 市長提案説明

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ページ番号1006440  更新日 令和3年8月31日

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本日、令和2年第1回岐阜市議会定例会が開催され、新年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするにあたり、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。

はじめに

私が市民の皆様の信任を賜り、岐阜市長に就任してから、2年が経過しました。
この間、“オール岐阜のまちづくり”を市政運営の基本方針として掲げ、1年勝負という強い気持ちを持って、職員一丸となり“岐阜を動かす”政策の立案や新たな事業の実施に注力するとともに、これまで懸案となっていた事業の着手に取り組んでまいりました。
併せて、市民の皆様との積極的な対話の実施や広報の工夫などを通じ、本市の取り組みについて“見える化”を図るとともに、市政運営のパートナーとなる市民の皆様に丁寧に情報を届け、ビジョンの共有を心掛けてきた結果、共感や事業に参加したいとの声をいただく機会も増え、少しずつ手応えを実感しているところであります。
さて、新年度は、本市にとって全国から注目が集まり、更なる飛躍が期待できる特別な年を迎えます。
いよいよこの3月20日には、東海環状自動車道岐阜三輪スマートインターチェンジが開通するとともに、開館中の「麒麟がくる 岐阜 大河ドラマ館」をはじめ、エンジン01in岐阜、日本食文化会議2020岐阜、全国健康福祉祭(ねんりんピック岐阜2020)といった大きなイベントの開催が予定されております。
更には、東京オリンピック・パラリンピックの開催やそれに伴う聖火リレーの開催なども控えております。
この特別な機会を通じ、市民の皆様と共に、岐阜を一層輝かせていくとともに、本市への愛着や誇り、いわゆるシビックプライドの更なる醸成にも繋げてまいります。

本市を取り巻く環境、SDGs

それでは、最初に本市を取り巻く環境について申し上げます。
国の経済状況は、直近のGDPの速報値において大幅なマイナス成長が発表されるなど減速感が漂う中、「人口減少・少子高齢化による超高齢社会への突入」や「東京一極集中の加速」、「大規模自然災害の頻発」、「エネルギー・環境制約の高まり」、更には「新型コロナウイルスの感染拡大」など、多くの直面する喫緊の課題を抱え、大きな時代の転換期を迎えております。
また、国の財政状況は、社会保障費の増加などの影響により、いわゆる「国の借金」は過去最高を更新する1,100兆円を超え、国と地方の長期債務残高はGDPの2倍程度に膨らむなど、今後も先行きは予断を許さない状況が続いております。
こうした中、国は、全世代型社会保障への改革と財政健全化を両立させるべく、昨年10月に消費税率を10%に引き上げるとともに、幼児教育・保育無償化などの新たな施策が実施され、直近では、大規模な追加経済対策も打ち出されております。
また、Society5.0時代に向けた人材・技術などへの投資やイノベーションの促進、次世代型行政サービス等の抜本強化といった、生産性の向上に向けた取り組みも進められております。
我々地方自治体としましても、こうした社会経済情勢や国の動向を的確に把握し、柔軟かつ迅速に対応していく必要があります。
本市の人口動態は、自然動態、社会動態とも減少が続いており、総人口は41万人を下回る状況となっております。
人口減少・少子高齢化は、地域経済の縮小や地域社会の担い手不足の進行、コミュニティの維持、ひいてはまちの維持への影響など、様々な問題の顕在化につながるものと懸念されることから、喫緊に取り組むべき最大の課題であると考えております。
これらの課題に立ち向かうには、変化を恐れず、新たな思考でチャレンジすることが必要であり、持続可能な岐阜市の実現に向け、果敢に岐阜を動かすことが私たちの使命であると考えております。
その視点の一つとなるのは、2015年の国連サミットにおいて採択されました「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための国際目標である「SDGs」の推進であり、SDGs達成に向けた取り組みは、持続可能なまちづくり、地方創生の実現に資するものであります。
本市としても、市政運営にSDGsの考え方を取り入れるとともに、SDGs達成に向け市民の皆様や様々な関係者と連携した取り組みを推進していくことが重要であると考えております。

政策のベクトル

こうした認識のもと、新年度におきましては、特に重点を置いて取り組む政策の方向性として、「こどもファースト」「観光振興」「中心市街地活性化&都市基盤整備」「都市内分権推進」「寄り添う福祉&市民の健幸づくり」の5つの「政策のベクトル」を掲げ、市民の皆様とともに全力で取り組んでまいります。

こどもファースト

それでは、これら「政策のベクトル」について、順次申し上げます。
まず、1つ目のベクトルは、「こどもファースト」であります。
次代の岐阜市を担う“子どもへの投資”は、持続可能な岐阜市づくりの最優先事項であり、不変であります。
本市の出生数は減少傾向にあり、令和元年の出生数も3年連続で3,000人を下回る見込みであります。
また、本市の中学校における不登校出現率は3.81%と、全国平均より高い状態にあるほか、生活や子育てに困難を抱えるひとり親家庭も数多い状況にあります。
こうした現状を踏まえ、切れ目のない子育て支援や教育立市の着実な深化を図るため、多胎児家庭やひとり親家庭への支援を強化するとともに、次代を担う子どもたちが安心して生き生きと学び、心身ともに健やかに育つ環境を整えてまいります。

観光振興

2つ目は、「観光振興」であります。
現在、岐阜にゆかりの深い戦国武将・明智光秀公を主人公とした大河ドラマ「麒麟がくる」が放送され、本市の宝であります岐阜城を中心に、本市に注目が集まる貴重な機会が訪れております。
また、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催により、本市が誇る地域資源を国内外へ広くアピールする絶好の機会が訪れます。
この好機を逃すことなく、本市の魅力を高め“本物志向の観光まちづくり”を一層加速させるとともに、地域資源を活用したクアオルト健康ウオーキングやロケツーリズムの推進などの新たな取り組みにより、交流人口の更なる増加や本市の知名度向上を目指してまいります。

中心市街地活性化&都市基盤整備

3つ目は、「中心市街地活性化&(と)都市基盤整備」であります。
本市の中心市街地は、岐阜都市圏の中心として、本市のみならず、岐阜都市圏の発展を推進するエンジンであるとともに、人口のダム機能を果たす重要なエリアであります。
併せて、利便性や快適性の向上に資する都市基盤整備は、市民生活を将来にわたり豊かにする未来への投資であり、これらの活性化は、岐阜が動いているという変化を実感できる本市の発展に必要不可欠なものであります。
そのため、官民一体となり再開発事業やリノベーションまちづくりなどを進めることにより、働き、住む場所の創出を図るとともに、都市公園の整備など“公共空間を活かした魅力あるまちづくり”を図り、都市の顔となるセンターゾーンの更なるにぎわい創出、中心市街地の活性化に向けて取り組んでまいります。
また、リニアインパクトや東海環状自動車道(仮称)岐阜インターチェンジの開通などを見据え、社会インフラ整備や学術研究拠点づくりを進めるとともに、市民の皆様の交通手段としての公共交通の利便性向上も図ってまいります。

都市内分権推進

4つ目のベクトルは、「都市内分権推進」であります。
市内の各地域では、防災、福祉、子どもたちの安全安心など、それぞれに多様な課題を抱えており、これらの解決を図るためには、まずは、地域の皆様がお互いに支えあい、助け合えるコミュニティの形成を図ることが重要であります。
更にその上で、地域が持続的に発展していくためには、地域におけるビジョンを地域の皆様が共有し、行政との協働の中で住民主体のまちづくりを進めていくこと、いわゆる都市内分権の推進が、特に重要であります。
そのため、まちづくり協議会を中心とした地域づくりへのサポートを継続していくとともに、地域の事務所の機能拡充や支援などを行い、住民サービスの更なる向上、住民主体のまちづくりの促進による“満足度の高い地域づくり”を図ってまいります。

寄り添う福祉&市民の健幸づくり

最後に、5つ目は、「寄り添う福祉&市民の健幸づくり」であります。
少子高齢化が進展する中で、社会の多様化や複雑化も相まって、家庭や生活に様々な課題を抱えている方が増えてきております。
このような課題を抱えられた市民の皆様にしっかりと寄り添い、誰もが安心して暮らせるまちづくりに取り組むことは、我々地方自治体の責務であるとの認識のもと、きめ細やかな支援を図ってまいります。
併せて、その暮らしの安心を支えるためには、いつまでも元気で楽しく過ごせる“健幸づくり”が重要となってまいります。医療や福祉の充実とともに、スポーツとの連携や生涯学習などの充実も図り、健やかで幸せを実感しながら暮らせるまちづくりを目指してまいります。
以上、これら5つのベクトルに加え、これまでも推進しております「広域連携」や「シティプロモーション」、「災害に対する備え」にも引き続き取り組んでまいります。

組織改編

一方、これらの施策を機動的・効果的に推進していくため、

  • 地域に更なるにぎわいを創出し、交流人口の拡大に向け施策を推進する「ぎふ魅力づくり推進部」の新設
  • 地域産業の一体的振興に向け「農林部」と「商工観光部」を統合した「経済部」の新設
  • 社会教育の更なる振興、地域コミュニティの持続的発展による協働のまちづくりの促進に向け、公民館、図書館など社会教育施設の市長部局への移管

など、組織再編を行なってまいります。

新年度予算

続きまして、新年度予算案について申し上げます。
まず、市税収入などの歳入についてであります。
歳入の根幹である市税収入につきましては、固定資産税及び都市計画税が、家屋の新増築などの増加により6億円の増、個人市民税が個人所得の増加などにより4億円の増となる一方で、法人市民税が、法人収益の減少及び税率の引き下げの影響などにより14億円の減となる結果、全体で、前年度と比較し3億円、率にして0.4%減の666億円を見込んでおります。
また、税外収入につきましては、地方消費税交付金が昨年の消費税率の引き上げなどの影響により16億円の増、新設された法人事業税交付金6億円などを見込む一方で、財政調整基金の繰入金を5億円減とするなど、これらを合わせた一般財源は、前年度に比べ11億円の増となる見込みであります。
一方、歳出につきましては、プレミアム付商品券事業の終了や公債費における借換債が減となる一方、扶助費において、幼児教育・保育無償化の通年化の影響による増加などに加え、投資的経費における新庁舎建設や東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設の建設などにより、大きく増加いたします。
この結果、令和2年度の予算規模は、
一般会計1,790億1,000万円、
特別会計1,119億520万円、
企業会計512億4,524万3千円、
総計3,421億6,044万3千円となり、
これを令和元年度当初予算と比較いたしますと、
一般会計で69億6,000万円、4.0%の増、
特別会計で27億5,050万円、2.5%の増、
企業会計で3,068万3千円、0.06%の減、
全体では96億7,981万7千円、2.9%の増となったところであります。
それでは、当初予算案の主要な施策の大要につきまして、「ぎふし未来地図」に掲げる「都市づくりの方向性」に沿って、順次ご説明いたします。

教育や子育てが充実し、人々が育まれるまち

最初に、「教育や子育てが充実し、人々が育まれるまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

子育て世代が安心できる支援の充実

まず、子育て支援の充実についてであります。
本市におきましては、「こどもファースト」の理念に基づき、安心して子どもを生み、育て、子ども自らが健やかに育つことができるよう、本年度策定した「子ども・子育て支援プラン」の着実な推進を図り、様々な子育て支援の充実に努めてまいります。
保育環境の充実につきましては、病気中や病気の回復期における児童を医療機関で保育する“病児・病後児保育施設”について、現在の5施設に加え新たに2施設開設することとし、安心して子供を預けることが出来る環境整備を図ることで、保護者の仕事と育児の両立支援に努めてまいります。
また、私立保育園等における業務のICT化を推進し、保育士の業務負担の軽減を図るとともに、保育士が働きやすい環境を整備してまいります。
更には、多様な保育サービスに対応し、将来に向け良質な保育環境を整備・確保していくため、第三次となる公立保育所民営化に着手してまいります。
一方、双子等の多胎児を抱える家庭やひとり親家庭における子育ては、大きな社会課題となっており、新年度は、支援の更なる充実を図ってまいります。
多胎児を抱える家庭への支援につきましては、本年度から始めております多胎児家庭サポート事業による相談事業を引き続き実施していくとともに、ファミリー・サポート・センターを利用する際の助成制度を新たに創設することにより、外出困難による孤立防止や育児負担の軽減に努めてまいります。
また、ひとり親家庭の支援につきましては、医療費助成や給付型奨学金などの経済的支援を引き続き実施していくとともに、一人一人に寄り添ったきめ細やかな相談支援を行うため、ひとり親家庭等総合相談会を開催するほか、ひとり親家庭等就業・自立支援センターにおいて、看護学校受験支援事業、就職面接用スーツ貸し出し事業を新たに実施してまいります。
加えて、心身ともに不安定に陥りやすい妊産婦へのサポートの充実も重要であることから、母子健康包括支援センターにおいて引き続き様々な相談に対応していくとともに、出産後間もない時期の産婦への支援として、産後うつの予防や新生児への虐待予防を図るための「産婦健康診査」や、産婦の歯科健診の機会を確保し歯周疾患等の改善を図るための「産婦歯科健康診査」を新たに実施するとともに、「新生児聴覚検査」の助成制度の創設により、より多くの新生児が検査を受けることができるよう環境整備を図ってまいります。
また、全小学校に開設しております「放課後児童クラブ」につきましては、市内全46カ所で対象学年を6年生まで拡充するとともに、38カ所において利用時間を午後7時まで延長するなど、放課後の安全・安心な居場所づくりに努めてまいります。
これらの取り組みを含め、今後も切れ目のない子育て支援を実施してまいります。

学校教育の充実

次に、学校教育の充実について申し上げます。
本市におきましては、未来を担う人材を育む“教育”を重要施策に位置付け、複雑化していく現代社会に的確に対応し、予測が困難といわれる新しい時代においても、夢や希望の実現に向けて果敢に挑戦できる子どもたちを育むことに努めてまいりましたが、昨年7月、いじめによって将来ある尊い命が失われる痛ましい事案が起こりました。
このような悲しい事案を二度と起こしてはならないという決意のもと、可能なことから直ちに再発防止策を実行しておりますが、新年度においても、いじめの未然防止や早期対応のための施策に引き続き全力で取り組んでまいります。
その大きな柱として、市立の全学校70校にいじめ等の危機管理対策に傾注し中核的な役割として従事する「いじめ対策監」を配置することとし、その人的サポートとして、常勤講師を配置し、教科授業等をサポートしてまいります。
加えて、悩みを抱える子どもや保護者のカウンセリングの実施、教職員のカウンセリングマインドの更なる醸成を図るため、臨床心理士による「スクールカウンセラー」を、市単独により5名追加配置し、サポート体制の充実を図ってまいります。
また、タブレットの活用により、子どもの内面を分析し、エビデンスに基づいた解決方法が提案されるシステムの運用や、教職員間の情報共有を適切かつ素早く図ることを目的とした、実証実験なども実施してまいります。
この他、岐阜県と連携、協力しながら、学校の管理職に対して、組織マネジメント力を高める研修や、管理職以外の教職員に対して、いじめ関連法令や教育相談等に関する研修や演習を体系的に実施してまいります。
また、不登校生徒を対象に、多様な個性を受け入れ、一人一人に個別最適化された新たな学びの場としての特例校「草潤(そうじゅん)中学校」につきましては、令和3年度の開校を目指し、施設の整備に着手してまいります。
以上の取り組みに合わせて、子どもたちが安心して生き生きと学び、健やかに育つ教育の実現に向けて「岐阜市公教育検討会議」を引き続き開催するとともに、私と教育委員会で構成する総合教育会議において議論を深めてまいります。
一方、幼児期における学びの充実につきましては、本年度策定した幼児教育の総合的な方針「幼児教育推進プラン」の推進を図るとともに、小学校との円滑な接続を目指した教員・保育士の研修や実践公開の実施、更には、保護者等の家庭教育などの相談を行うカウンセラーの派遣など、子どもたちの“学びに向かう力の芽生えや育ち”を支えてまいります。
一方、体育館の空調設備の整備をはじめとする、学習環境の改善などにも取り組んでまいります。

高等教育機関の充実

次に、高等教育機関の充実について申し上げます。
岐阜薬科大学につきましては、建学以来、人の健康と福祉に貢献できる人材の育成に努めるとともに、基礎研究を通じて産業の発展に貢献してきました。
現在、本部キャンパス近接地へのキャンパス統合整備に向け、基本構想・基本計画の策定を進めており、新年度はこの計画を踏まえ、PPP/PFI導入可能性調査を実施してまいります。
今後も、東海環状自動車道(仮称)岐阜インターチェンジの開通も見据えながら、着実な整備の推進とともに、学術研究拠点の中核としての更なる発展に向け、教育・研究の質の向上に取り組んでまいります。
一方、新年度からは「高等教育の修学支援新制度」いわゆる高等教育無償化が始まることから、岐阜薬科大学をはじめ岐阜市立女子短期大学、岐阜市看護専門学校において、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生に対し入学料及び授業料の減免を行うことにより、学びの機会を応援するとともに子育て家庭の経済的負担軽減を図ってまいります。

生涯を通じた生きがいづくりの推進

次に、生涯を通じた生きがいづくりの推進について申し上げます。
人生の各ステージにおいて、どんなことにも常に関心を持ち、学びを続け、またそれを活動に繋げていくことや文化芸術に親しみ楽しむことは、人生100年時代ともいわれる超長寿社会が到来する中、生涯にわたり豊かな人生を送るうえで重要であります。
市民の皆様の学びを支える「知の拠点」である中央図書館におきましては、市民に身近な「滞在型図書館」として、図書館サービスの更なる向上に努め、楽しさ溢れる読書環境を提供するとともに、著名な文化人が選書した本や、岐阜の過去の生活文化、記憶を集積した貴重な書籍を集めた、シビックプライドの醸成にフォーカスした空間を整備し、ワークショップなどを開催してまいります。
また、第3次生涯学習基本計画に基づき、長良川大学の更なる活用を促進するとともに、地域づくり・まちづくり活動に参画・活躍する人々の拡大にも繋げてまいります。
一方、文化芸術の推進につきましては、「岐阜市文化芸術指針」に掲げる目指す都市像「文化芸術を楽しみ創造する都市・ぎふ」の実現に向け、総合的な推進計画の策定に着手するとともに、引き続き、「市民文化祭」や「長良川薪能」など、市民の皆様誰もが楽しみ、参加することができる事業を推進してまいります。
また、歴史に育まれ、受け継がれてきた本市固有の文化芸術は、岐阜というまちの個性、岐阜らしさを形づくるとともに、市民の皆様のまちに対する誇り、いわゆるシビックプライドの醸成に寄与するものであり、今後も、本市独自の文化芸術や伝統の継承を図ってまいります。

福祉や医療が充実し、生涯を健康に暮らせるまち

次に、福祉や医療が充実し、生涯を健康に暮らせるまちづくりに係る施策について申し上げます。

高齢者・障がいのある方の支援

まず、高齢者、障がいのある方、生活に困窮している方への支援についてであります。
本市においても、人口に占める65歳以上の高齢者の割合、いわゆる高齢化率は年々上昇しており、昨年10月1日現在において28.5%と4人に1人以上が高齢者となっております。
こうした中、認知症である高齢者の方も増加しており、厚生労働省の推計では、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるとも言われており、認知症の方及びその家族への対策は喫緊の課題となっております。
新年度は、認知症の方の行方が分からなくなった際の迅速な発見のため、家族の方と連絡を取ることのできるQRコードのついた見守りシールの配付を新たに実施するとともに、認知症の方が偶然の事故により他の方へ損害を与えた際に、その損害を賠償する保険に本市が加入し、万一の際に備える制度も併せて創設してまいります。
また、令和元年版高齢社会白書によりますと、平成29年度において、65歳以上の方がみえる世帯のうち26.4%が単身世帯となっており、一人暮らし高齢者の方が増加していることについても、対策が必要であります。
一人暮らしの高齢者の方は、相談相手がいないなど不安を抱える方が多く、情報の収集手段も限定されるなどの課題もあることから、新年度は、ひとり暮らし高齢者の方が相談、利用できる窓口やサービスを紹介するガイドブックを、民間の協力を得て、予算をかけることなく作成・発行してまいります。
また、高齢者の方が自分らしくどう生き、また人生の終わりをどう過ごしたいかなどを身近な人と考えるきっかけとし、治療、介護、葬祭などご自身の希望を記しておく「岐阜市エンディングノート」も、同様に民間の協力を得て作成・発行いたします。
次に、障がいのある方に対する施策については、第4次岐阜市障害者計画の基本理念に掲げる「誰もが自立してともに暮らすまち」を目指し、「障がいのある人が参画するまちづくり」、「障がいのある人が自ら望む場所で生活するためのまちづくり」といった基本目標に基づいた施策を展開するとともに、障がい福祉サービスの提供や相談体制の強化を図ってまいりました。
新年度は、新たに重度訪問介護利用者の大学修学支援として、その方の通学や大学敷地内での身体介護等の支援を行うほか、令和3年度から3年間の障がい福祉サービスの事業量を定める障害福祉計画並びに障害児福祉計画を策定いたします。
一方、緊急時の119番通報では、聴覚や言語に障がいのある方の不便を解消するため、スマートフォンなどを活用した“Net119システム”の導入を図ってまいります。
続いて、生活に困窮する方への施策であります。
生活に困窮する方への自立相談支援については、平成27年度から「生活・就労サポートセンター」を中心に事業を展開しているところですが、それぞれの家庭における背景や取り巻く環境がますます複雑・深刻化しており、これらの課題も含め、より適切に対応していく必要性が高まっております。
そのため、様々な部署・機関に関わる対応が必要となることから、社会福祉士など専門性の高い相談支援包括化推進員をトータル・コーディネーターとして新たに配置し、庁内庁外の関係機関による、専門機関同士のネットワークづくりや連携を図るとともに、情報の一元化などによる総合的・包括的な支援体制を構築し、生活困窮からの早期自立の強化を図ってまいります。

健康づくりの推進、医療環境の充実

次に、健康づくりの推進及び医療環境の充実について申し上げます。
本市におきましては、“市民誰もが心も体も健康に暮らせるまちづくり”を推進するため、“歩く”を基本とした健康づくりを中心に、超高齢社会における健康寿命の延伸を図る様々な取り組みを実施しております。
新年度は、都市型クアオルトとして評価を受け、昨年10月に公式認定を受けました「クアの道」において、定期的にクアオルト健康ウオーキング講座を開催するとともに、医療機関や保険会社、従業員の健康増進に取り組む企業と連携した取り組みを本格的に進めてまいります。
併せて、ウオーキングコース周辺の自然や歴史、食、温泉などを活かしたクアオルト(健康保養地)の魅力を「体験型観光資源」として発信するとともに、レクリエーションや保養のために本市に来訪する団体等の誘致などの取り組みを試行してまいります。
また、10月31日から11月3日まで、60歳以上の方々を中心としたスポーツ、文化、健康と福祉の総合的な祭典「第33回全国健康福祉祭 ねんりんピック岐阜2020」が県内で開催され、テニス、弓道、水泳など7種目が市内で開催されます。
この開催を通じ、市民の皆様のスポーツ等による心身の健康づくりへの意識向上を改めて図っていくとともに、参加者の方々に対して、本市の魅力を十分知っていただけるようPRや運営にも努めてまいります。
一方、こころの健康づくりにおける、ひきこもりに関する対策も喫緊の課題であることから、現在、ひきこもり総合相談窓口において各種取り組みを継続的に実施しておりますが、新年度は、ご家族がひきこもりの方への理解を深め、適切な対応を行えるよう“(仮称)ひきこもり親の会”を新たに開催し、ご家族の孤立防止を図るなど、支援の充実を図ってまいります。
次に、医療環境の充実についてであります。
本市におきましては、市内各医療機関での受診に加え、岐阜市民病院の「小児夜間急病センター」「休日急病センター」などにより、休日や夜間の時間帯においても安心して受診していただける体制を整えております。
また、岐阜市民病院においては、市民の皆様の命と健康を守る公的病院として、医療環境の変化に迅速かつ機動的に対応した、将来にわたり健全で安定した経営基盤の確立が必要不可欠であります。
こうした中、新年度は、高齢化に伴い増加する救急搬送患者などの重症患者の受け入れ体制の強化や、がんゲノム医療など先進的な医療の提供、体制の整備を整え、更なる地域の医療提供体制の向上にも努めてまいります。

伝統や革新を活かした産業があり、働く場があるまち

次に、「伝統や革新を活かした産業があり、働く場があるまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

産業の活性化、雇用環境の充実

まず、産業の活性化及び雇用環境の充実についてであります。
本市経済を支えております企業の多くは、中小企業であり、景気、雇用の面においても依然として厳しい状況にあります。
そのため、岐阜市信用保証協会を設置している強みを活かし、信用保証料の補填などにより継続して中小企業等の資金繰りの円滑化を支援するとともに、新たに女性の起業に特化したメニューを拡充するなど、制度の充実を図ってまいります。
また、雇用の面においては、生産年齢人口の減少などの影響に伴い、人手不足の状況が続いており、その解消は大きな課題となっております。
新年度は、引き続き、求職者と求人企業等とのマッチングを図る合同企業説明会を継続していくとともに、女性、高齢者、障がい者、外国人、兼業・副業希望者など多様な人材の確保をテーマとした経営者向けのセミナーを新たに開催してまいります。
併せて、将来における人材育成や人材確保の視点も踏まえ、地域の企業の魅力を広く知るための機会として、小学生向け企業見学会を新たに開催してまいります。
一方、昨年12月にオープンした岐阜市リモートオフィス“Neo work-Gifu”では、新たなオフィス需要を開拓するとともに、多様な働き方のモデルを提示するほか、企業間交流の促進や経営上の相談に対応することにより、新たな事業やサービスの創出を目指してまいります。

農林水産業の活性化

次に、農林水産業の活性化について申し上げます。
全国的な農業従事者の高齢化や後継者不足、それに伴う耕作放棄地増大への懸念は、本市においても同様であり、地域営農の担い手となる農業生産者の育成・確保、農地の集積・集約化は喫緊の課題であります。
このような中、新年度は、本年度実施しました基礎調査の結果を踏まえ、市街化区域で盛んな園芸農業と、郊外の市街化調整区域における水田農業など様々な形での農業が、バランスよく発展していくための指針となる「農業振興ビジョン」を策定してまいります。
また、本市の特産農産物の認知度向上を目指して取り組んでおります「ぎふベジ」の更なるブランド化に向け、日本食文化会議2020岐阜の開催を契機とした連携事業を新たに実施してまいります。
併せて、包括連携協定に基づくカラフルタウン岐阜におけるPRイベントなどにより、“地産地消”の継続を図るとともに、“地産外商”の強化として、首都圏の有名店を誘致した「いちご(濃姫)」の加工品の期間限定イベントや、首都圏でのぎふベジPRイベントの開催により、認知度向上に努めてまいります。
一方で、老朽化が進む用水路や揚水機場、ため池などの農業用施設につきましては、継続的な改修を行い、良好な営農環境を整えることで、農地の集積・集約を図り、新たな農業の担い手確保に向けて、新規就農者支援を図るとともに、収益力向上や生産基盤となる農業用機械・施設の整備支援を実施いたします。
そのほか、中央卸売市場においては、再整備事業の基本計画の策定を行うとともに、民間資金や経営能力、技術力を活用するPPP/PFI手法導入の可能性について、調査・検討を進めてまいります。
また、食肉地方卸売市場においては、食品衛生法等の一部改正に伴い、衛生管理対策のための改修工事を実施するとともに、CSF、いわゆる“豚熱”の防疫対策として、交差汚染防止を目的とした消毒作業を継続してまいります。

観光・交流の活性化

次に、観光・交流の活性化について申し上げます。
冒頭にも申し上げましたが、今年は、多くの特別なイベントの開催が予定されております。
この機会を契機とし、市民の皆様のシビックプライドの更なる醸成を図るとともに、本年度策定の「観光ビジョン」に基づき、地域の活性化を目指し戦略的な取り組みを進めてまいります。
その核となります「麒麟がくる 岐阜 大河ドラマ館」では、ふるさと岐阜の魅力を再認識する絶好の機会として、中高校生のボランティアによる展示解説などを行う「われらも麒麟!!!プロジェクト」を推進するとともに、民間企業等の積極的な協力により新たに開発された土産品の販売や市内飲食店における地元の特産物を食材とした「戦国武将ゆかりの地・岐阜グルメメニュー“戦国ぎふーど”」の提供など、オール岐阜により様々な取り組みを進めております。
今後も、更なる誘客に努めるとともに、こうした官民一体の取り組みを観光振興の仕組みの一つとして、将来に繋げていきたいと考えております。
また、大河ドラマ館への注目とともに、岐阜城にも更なる注目が期待されるところです。
国史跡岐阜城跡におきましては、信長期の可能性がある天守台石垣を初めて発見するなど大きな成果がありました。これは安土城で完成したとされる天守の起源を考えるうえで重要な発見であり、全国的にも大きく報道されたところです。一般公開には全国から見学に来ていただき、5日間で3,500人もの方に、本物という最高の価値に触れていただきました。
成果が出るたびに岐阜城の価値は高まり続けます。新年度も引き続き天守周辺も含めて調査を行うなど、道三公、信長公の城として、岐阜城の全容解明に取り組むとともに、調査の過程も観光資源として活用することで、“本物志向の観光まちづくり”にも繋げてまいります。
一方、鵜飼観覧船事業につきましては、台風等の影響により2年連続で乗船客が10万人を下回る状況であり、天候等の影響を少しでも受けにくい船の係留方法やドックの形状など、今後も引き続き、関係機関と連携し検討してまいります。
加えて、鵜飼観覧の方法につきましては、昨年、民間事業者が主体となり桟敷からの観覧も試行されましたが、新年度も、お客様に満足いただけるよう、様々な手法を模索しながら、鵜飼の更なる魅力向上に取り組んでまいりたいと考えています。
また、鵜飼のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みとして、「人と動物の無形文化遺産」という新たな切り口で鵜飼の魅力を発信するフォーラムを開催し、人と動物の共存の未来と夢を、市民の皆様とともに描くことで、更なる機運の醸成を図ってまいります。
また、SNSを活用したフォトツーリズム事業の実施や、ロケツーリズムの推進により、新たな観光資源の掘り起こしや情報発信、更には、映画等のロケ地に選定されるよう誘致活動にも積極的に取り組んでまいります。

多くの人々が集まりにぎわう、活気に満ちたまち

次に、「多くの人々が集まりにぎわう、活気に満ちたまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

中心市街地の活性化

まず、中心市街地の活性化についてであります。
中心市街地を形成する岐阜駅周辺から柳ケ瀬、つかさのまちに至る区域につきましては、国の認定を受けた中心市街地活性化基本計画に基づき、様々な取り組みを進めてまいります。
新年度は、引き続き柳ケ瀬エリアにおいて、「リノベーションスクール」を開催し、遊休不動産の利活用のための新たな担い手の創出に繋げるとともに、岐阜市にぎわいまち公社が行うリノベーションまちづくりの拠点整備に対し支援を行ってまいります。
また、新たなにぎわいを創出し、次代の岐阜を牽引するまちづくりを目指す高島屋南地区の市街地再開発事業においては、昨年10月に起工式が行われ、本格的に再開発ビルの建築工事が開始されており、これらを両輪とした、柳ケ瀬エリアの価値向上を図ってまいります。
併せて、高島屋南地区公共施設整備における健康・運動施設、子育て支援施設につきましては、保留床の取得のほか、施設の管理・運営に係る具体的な計画を策定してまいります。
一方、将来にわたりにぎわいを創出するためには、交流人口の拡大とともに定住人口の拡大も必須であります。引き続き、子育て世帯や、市外からの移住に重点を置いた新築住宅取得に対する支援や、はじめて就職する若者の市内へのUターンや定住に対する支援を継続することで、地域コミュニティの維持とともに、商店街の日常の消費の下支えにも繋げてまいります。
併せて、商店街の魅力向上につながる支援や集客に向けたイベント支援などを継続して実施していくとともに、トランジットモールによる新たな公共空間の活用検討や、市民の憩い・安らぎ空間づくりと新たなにぎわい創出の拠点として、金公園のリニューアルに着手するなど、更なる魅力向上に向けた環境整備にも取り組んでまいります。
さらに、岐阜駅周辺エリアにつきましては、飲食店街として多くの市民や観光客でにぎわう玉宮町周辺において無電柱化を推進するとともに、2027年のリニア中央新幹線開業を見据え、岐阜都市圏の玄関口にふさわしい市街地再開発事業の実現を目指す準備組合の活動を支援してまいります。
一方、つかさのまちエリアにつきましては、「知・絆・文化」の拠点として多くの方に利用されております「みんなの森 ぎふメディアコスモス」とともに、令和3年春に開庁を控えた新庁舎により、更なるにぎわい創出に期待が膨らむところであります。
新年度も、魅力向上やにぎわい創出に寄与する様々な事業を展開し、施設の魅力を更なる高みへ押し上げてまいります。

市民参画と市民協働によるまちづくりの推進

次に、市民参画と市民協働によるまちづくりの推進について申し上げます。
人口減少・少子高齢化の進展、さらには人々の価値観の多様化などに伴い、社会課題や地域課題は、複雑・多様化しております。
こうした課題に、柔軟かつきめ細やかに対応し、活力ある持続可能なまちづくりを進めていくためには、自治会やまちづくり協議会といった地域コミュニティや、NPO・ボランティア団体など市民と行政が、それぞれの特性を活かして、協働で取り組むことが必要であります。
新年度は、引き続き、まちづくり協議会の機能強化による都市内分権の推進を図るため、地域住民が主体となり、まちづくりの方向性を示す「地域まちづくりビジョン」の策定に対する支援を推進するとともに、策定したビジョンに基づく活動に対しても支援を行い、地域の力を高めてまいります。
また、引き続き「市民活動支援事業」を実施していくとともに、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用し、地域社会の課題解決を目的として活動するNPO法人等のプロジェクトを応援する制度を新たに創設するなど、市民の主体的な活動を支援してまいります。

多文化共生と国際交流の推進

次に、多文化共生と国際交流の推進について申し上げます。
本市の外国人住民数は、昨年11月、平成19年以来12年ぶりに過去最高を更新し、約9,900人の方が現在本市に暮らしており、地域社会における外国人との共生は、今後のまちづくりの取り組みに欠かせないものとなっております。
このような中、本年度策定した「岐阜市多文化共生推進基本計画」に基づき、昨年4月に施行された改正入管法に対応した多文化共生の取り組みを拡充するとともに、外国人市民は、ともに地域のまちづくりを担う一員であるという意識啓発の一層の推進を図り、自治会をはじめとする地域コミュニティや学校、企業等との連携により、更なる多文化共生社会の実現を図ってまいります。

また、56年ぶりとなる東京オリンピック・パラリンピックの開催に際して、昨年12月、パラリンピアンとの交流を行う「共生社会ホストタウン」にも登録をされ、いよいよホストタウン交流が佳境となってまいります。
本市におきましては、スロバキア共和国、カナダ、コートジボワール共和国の3か国の直前合宿の受け入れや交流など、引き続き実施してまいります。多様な文化に直接触れる絶好の機会として、共生社会の一層の促進、更には心のバリアフリーが進む機会に繋げてまいります。

暮らしを守り支える、安全・安心なまち

次に、「暮らしを守り支える、安全・安心なまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

防災・消防の充実

まず、防災・消防の充実についてであります。
国内においては、近年大規模な自然災害が頻発しており、昨年も台風第15号や、台風第19号など、東日本の広範囲において記録的な被害を受けたことは記憶に新しいところであります。
本市では、速やかに岐阜市緊急支援本部を設置し、物資の提供とともに、63人の職員を派遣するなど、全庁を挙げて被災地の支援を行ってまいりました。
今後は、これらの経験や教訓を本市の防災対策に活かし、将来発生が危惧される南海トラフ巨大地震や、風水害、土砂災害などあらゆる災害に備え、市民の皆様とともに災害に強いまちづくりを進めてまいります。
新年度は、市民の命を守る砦として、あらゆる災害を想定した防災拠点となる新庁舎整備において、災害対策本部を常設するための準備に着手するほか、防災業務を支援する防災情報システムの再構築を継続して行ってまいります。
更には、市民の皆様に迅速かつ確実に情報を伝達する同報系防災行政無線などの重要な通信機器の移設、更新を進め、新庁舎における防災機能の強化を図ってまいります。
一方、災害から身を守るには「自助」や「共助」が重要になります。
「自助」においては、市民一人一人の防災意識の向上を目指し、日頃から「個人備蓄」や「積極的な避難行動のための情報収集」などに心掛けていただけるよう、あらゆる機会をとらえて意識啓発に努めるとともに、家具固定や耐震シェルターの設置、民間建築物の耐震化に対する支援を継続的に実施してまいります。
また、「共助」においては、その中心となる自主防災組織を支援するため、引き続き防災士の育成や資機材の購入、研修会、防災訓練などへの支援により、地域との顔の見える関係を築きながら、地域防災力の強化を図るなど、「自助」、「共助」、「公助」が一体となった総合防災体制の充実強化に努めてまいります。
一方、社会インフラにつきましては、大規模地震等の災害発生時の交通確保に重要な施設である橋梁について、引き続き耐震化を図るとともに、法に基づく定期点検を着実に行い、計画的な補修・更新を進めてまいります。
また、内水対策としまして、これまでの浸水被害状況を踏まえ、引き続き、水路改良などを推進するとともに、特に境川流域における公園内の雨水貯留施設の整備を計画的に進めるとともに、浸水実績のある小中学校においても、校庭への雨水貯留施設の整備に取り組んでまいります。
更に、市内各所にある排水機場を計画的に補修・更新するほか、アンダーパスの冠水表示装置の改修など、水害に対する多面的な対策を進めてまいります。
また、消防の充実といたしましては、無人航空機ドローンの導入により、上空から災害現場周辺の状況が把握できる体制を整え、効率的かつ効果的な活動につなげてまいります。
併せて、高齢化の進展に伴い増加する救急需要に対応するため、医療機関との連携等により、引き続き救急車の適正利用の啓発に努めてまいります。

防犯・交通安全の充実

次に、防犯・交通安全の充実について申し上げます。
近年、犯罪の認知件数は減少傾向にありますが、市民の皆様が日常をより安全・安心に暮らせることは、市民生活の充実に欠かせないものであります。そのため、犯罪防止策として、防犯灯や防犯カメラの設置促進や、通話録音装置の普及などを引き続き実施していくとともに、地域のパトロール活動など市民の自主的な防犯活動の支援にも継続して取り組んでまいります。
また、岐阜駅北地区においては、飲食店のにぎわいに伴い、客引き行為によるトラブルも発生していることから、客引き行為等を規制する条例の制定を視野に検討を進め、地域や来街者の方々が、安全で安心できるまちづくりを推進してまいります。
一方、交通安全につきましては、近年、高齢運転者の自動車の誤操作による交通事故が各地で発生しており、高齢者の交通安全対策の充実が喫緊の課題となっております。
新年度は、国による安全運転サポート車購入支援制度が創設されることに伴い、安全運転サポート車の体験会を開催するほか、県と協調し、安全装置等の取り付けに係る費用の支援を新たに実施いたします。加えて、運転免許証の自主返納者への支援を引き続き行うなど交通事故の防止に努めてまいります。

快適な都市環境のある、住みやすいまち

次に、「快適な都市環境のある、住みやすいまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

良好な都市空間と持続可能な都市基盤づくりの推進

まず、良好な都市空間と持続可能な都市基盤づくりの推進についてであります。
人口減少・少子高齢化の進展に伴い、若者や子育て世帯、高齢者などが安心して暮らすことができる住環境の整備や、空き家を含めた住宅ストックの有効活用が求められております。
こうした状況を踏まえ、本市におきましては、これまで空家等対策計画に基づき、空き家総合窓口の設置、管理不全な空き家に対し適切に対応する体制の整備のほか、空き家の所有者と利用希望者とのマッチングを行う「空き家バンク」を活用したモデル事業の実施や、市外からの転入者等が取得した空き家の改修費用にかかる助成制度の創設などにより、空き家の適正管理や流通・活用を促進してまいりました。
新年度は、早期に危険性を解消し、市民の生命財産を守るため、著しく危険な状態にある、いわゆる特定空家等やそのまま放置すれば特定空家等となりうる家屋について、新たに除却費用にかかる助成制度を創設するとともに、これらの危険な空き家に対し所有者が必要な措置を履行しないときは、従来の空き家の緊急安全代行措置に加え、特定空家等に対する代執行を行ってまいります。
一方、都市の活力を維持し、持続的な成長を実現するためには、成長の礎となる都市基盤の構築が重要であり、その根幹となるのが道路などの社会インフラであります。
東海環状自動車道岐阜三輪スマートインターチェンジが3月20日に、さらに2024年度には、(仮称)岐阜インターチェンジの開通が予定され、これにより、様々な経済効果が期待されることから、引き続き、事業進捗に合わせ、アクセス道路の整備を進めてまいります。
また、本市の中心市街地から各務原市を連絡する金町那加岩地線ほか1路線の整備を進めるとともに、加えて、本市と本巣市の広域連携に資する長良糸貫線の整備に着手するなど、周辺市町との連携強化や交流人口の拡大を図るため、広域ネットワークを形成する道路等の整備に着実に取り組んでまいります。
一方、都市に潤いや憩いをもたらす公園の整備につきましては、岐阜ファミリーパークにおいて、岐阜三輪スマートインターチェンジの開通に伴い、広域圏からの来園者の増加が見込まれることから、引き続き、公園としての魅力を高める再整備を進め、併せて、総合スポーツ公園化に向けた検討に取り組んでまいります。
また、岐阜公園につきましては、信長公居館跡等の歴史的価値を活かした本格的な歴史公園として再整備するため、引き続き用地取得等の進捗を図るとともに、公園機能の充実を図るための調査・検討を進めてまいります。
加えて、畜産センター公園につきましては、再整備に向けて検討を行ってまいります。
一方、市民生活に欠かせない上下水道事業につきましては、“水”を通じて、当たり前の暮らしを未来まで支えるために、水道事業において、方県配水区の水源地を加圧施設化するなど施設の統廃合を進めるとともに、配水管の布設替や施設の更新を行い、良質な水道水を安定的に供給してまいります。
また、下水道事業につきましても、ストックマネジメント計画に基づき、下水道管や施設の改築、更新を行い、衛生的で快適な生活環境の実現に努めてまいります。

自然・地球環境保全の推進

次に、自然・地球環境保全の推進について申し上げます。
本年1月から地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」の運用が開始され、温室効果ガスの排出削減に向けた行動がより一層強く求められております。
こうした状況を踏まえ、岐阜市地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガス削減対策を推進するため、ゼロエネルギー住宅、家庭用燃料電池などの省エネ設備の整備にかかる支援を継続するとともに、新たに定置用リチウムイオン蓄電池の設置にかかる支援を行うなど、地球温暖化対策に資する市民の取り組みを後押ししてまいります。
さらに、海洋プラスチックごみ問題についても、世界的に問題となっていることを受け、AIシステムを活用した街中におけるポイ捨てごみ状況マップの作成や、監視カメラの設置による行動検証などを新たに実施し、更なる啓発や対策に繋げることで、街中からプラごみなどの河川、海洋への流出抑制に取り組んでまいります。
加えて、美しい生活環境や都市景観を次世代に継承していくため、ごみの発生抑制、資源を有効利用する循環型社会を構築することが重要であります。
本市におきましては、「ごみ減量・資源化指針」に基づき、「ごみ1月3日減量大作戦」市民運動を展開しており、引き続き、雑がみの回収や、手軽に生ごみの堆肥化が実践できるダンボールコンポストの普及促進に取り組むとともに、令和4年度から実施する「プラスチック製容器包装」の資源化につきまして、分別への理解を深める啓発や体験事業を拡大してまいります。
併せて、市民の衛生的で快適な暮らしを維持向上していくため、廃棄物の適正処理を着実に推進してまいります。
新年度は、今まで直営で実施してきたカン収集を委託化するなど効率的かつ安定的なごみ・し尿の処理に努める一方で、将来にわたり持続可能な一般廃棄物処理体制を確保するため、ビン・カン・ペットボトルなど資源ごみの中間処理を行う新リサイクルセンター及び東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設について、着実に建設工事の進捗を図ってまいります。
また、岐阜羽島衛生センター次期ごみ処理施設整備につきましても、引き続き、組合構成市町と連携しながら着実に事業を推進し、ごみの広域処理体制の再構築にも努めてまいります。

交通環境づくりの推進

次に、交通環境づくりの推進について申し上げます。
本市では、“公共交通を軸にコンパクトにまとまった、いつまでも住み続けられるまち”の実現に向け、急速な人口減少や深刻化する運転手不足など、公共交通を取り巻く新たな課題の中にあっても、持続可能で利便性の高い公共交通の実現を目指し、継続した取り組みに加え、ICTを活用したスマートシティぎふの推進に向けた取り組みを加速してまいります。
まず、日常生活の足となるコミュニティバスでございますが、新年度は、市内19地区におけるコミュニティバスの運行に加えて、コミュニティバスサポート便の拡大、更には、方県・網代地区において、新たにオンデマンドによる運行を導入することで、サービスの向上を図ってまいります。
スマートシティぎふ推進事業につきましては、産学官一体となったコンソーシアムにおいて、交通と健康を軸とした施策展開の研究、協議を進めるとともに、公共交通への自動運転技術の導入を目指し、中心市街地の循環路線において小型バス車両を使用した自動運転の実証実験を行ってまいります。
そのほか、JR岐阜駅のバリアフリー化に対する支援や、名鉄岐阜駅の南側に新たに自転車駐車場を整備するなど、鉄道利用者の利便性の向上を図ってまいります。
一方、名鉄名古屋本線鉄道高架化事業につきましては、13カ所の踏切を除却し、渋滞を解消するとともに、鉄道沿線の一体的なまちづくりに資するものとして、早期事業化への期待が高まるなか、現在、都市計画決定に向けて手続きを進めているところであり、引き続き、県、名古屋鉄道株式会社と連携し、早期事業化に向け鋭意取り組んでまいります。

都市づくりを支え推進する行財政運営

最後に、「都市づくりを支え推進する行財政運営」について申し上げます。

行政連携の推進と市政参画の促進

まず、行政連携の推進と市政参画の促進についてであります。
少子高齢化と東京圏への一極集中による人口減少や経済の縮小が地方自治体にとって最大の課題となる中、スケールメリットを活かした基礎自治体同士の連携や、地域や地域の人々と多様に関わる「関係人口」の創出、更には地域住民による市政への参画促進により、地域全体の活力と持続性を高めることが必要となってきます。
本市では、近隣する3市3町と「岐阜連携都市圏」を構成し、「岐阜連携都市圏ビジョン」に基づく様々な連携事業を展開しており、新年度も、圏域の更なる深化を目指し取り組みを推進してまいります。
また、本年度から実施しております「ふるさと岐阜市活躍人財バンク」においては、本市にゆかりがあり三大都市圏で活躍している29名の方に登録をいただいており、それらの方の経験や能力を施策立案に活かしていくとともに、次世代を担う若い世代との交流を図るなど、本市で活躍いただくことで、本市への更なる愛着を醸成するとともに、本事業を契機とした兼業・副業の普及に努めてまいります。
一方、市民の市政への参画促進につきましては、まずは、「市民に開かれた行政運営」により、互いに信頼しあい良好な関係を作ることが不可欠であり、新年度においても、市政の取り組みを直接伝えるとともに、地域への思いや課題を意見交換するための機会として、地域との懇談会を開催してまいります。
また、教育委員会が所管する公民館を市長部局に移管し、これまでの公民館活動に加え、まちづくり協議会や自治会活動の拠点施設として活用することで、地域まちづくり活動の一層の促進を図ってまいります。

時代に合わせた行財政運営の推進、行政サービスの充実

次に、時代に合わせた行財政運営の推進及び行政サービスの充実についてであります。
人口減少社会を迎え、将来の労働力不足の懸念が拡大する中、多様化・高度化する市民ニーズに対応し、将来にわたって持続可能な行財政運営を行うには、「効率的な行政経営の推進」や「民間活力の活用」など、これまでの取り組みを継続するとともに、新たにAIやRPAといったICTを活用したスマート自治体への転換、組織マネジメントの強化による働き方改革などに取り組む必要があります。
AIやRPAなどICTの活用につきましては、本年度の実証実験の結果を踏まえ、新年度において本格運用を開始するほか、新庁舎におけるワンストップ総合窓口の設置に向けたシステムの構築を進めるなど、本年度策定する「岐阜市ICT活用推進計画」を着実に推進し、市民の皆様の利便性の向上や事務処理の適正化・効率化に繋げてまいります。
なお、ワンストップ総合窓口につきましては、窓口業務の委託事業者の選定や事前研修など、万全に準備を進めてまいります。
一方、地域の事務所につきましては、福祉や健康に関する事務手続きの拡充とともに、待合スペースの拡大、車いす対応のカウンターの設置、照明のLED化といったリノベーションを行い、高齢者や障がい者、子育て世代に優しい事務所として、利便性や快適性の向上を図ってまいります。
また、組織マネジメントの強化につきましては、適材適所の人材配置と働きやすい職場づくりに向け、管理職を対象にした新たなマネジメント研修の実施や「がんばる公務員表彰」、「グッジョブカード」などの推進により、職員のモチベーションの向上を図るとともに、職員同士が互いに助け合い、支え合う職場風土を醸成し、働きやすい職場づくりに努めてまいります。
また、法令遵守の徹底や不祥事の再発防止のため、引き続き職員の危機管理能力の向上を図るとともに、職員等の公益通報の外部窓口を設置するなど、組織内のガバナンスを強化いたします。

公共施設等の最適な管理及び運営

また、公共施設等の最適な管理及び運営につきましては、今後見込まれる公共施設等の更新等にかかる膨大な財政需要や、人口減少など社会環境の変化に伴う利用動向に対応し、市民の皆様に将来にわたりよりよい公共サービスが提供できるよう、引き続き公共施設等マネジメントに取り組んでまいります。
新年度は、本年度実施した公共施設劣化度調査を踏まえ、建築物系施設全体の保全のあり方を示す「(仮称)岐阜市公共施設保全計画」の策定に取り組んでまいります。

シティプロモーションの推進

最後に、シティプロモーションについてであります。
これまで新年度の主要な施策につきまして、順次ご説明を申し上げてきましたが、それぞれの目的を達成し、持続可能な“住む人・来る人・働く人を増やす成長都市”の実現を図るためには、市内外の方々から選ばれる都市となるための情報発信を併せて行っていくことが重要であります。
本市におきましては、本年度策定の「岐阜市シティプロモーション戦略」に基づき、「交流人口・定住人口の増加」及び「シビックプライドの醸成」を図るため、伝えたい対象の層に向け、本市への関心の度合いに応じた効果的な情報発信や、人から人へ「共感の輪」が広がる情報発信を、多様な媒体を活用して展開してまいります。
新年度は、とりわけ、名古屋都市圏へのプロモーションを引き続き推進することとし、新たに、映画館などでプロモーション映像を放映するほか、フリーペーパーの更なる活用を図ってまいります。
また、包括連携協定に基づきカラフルタウン岐阜内において、本市での暮らしに関する細やかな相談ができる窓口を設置し、併せて本市の魅力発信にも努めてまいります。
更には、市民の皆様や企業の皆様に加え、市外在住で本市と様々な関わりを持つ、いわゆる「関係人口」の方々との連携を推進するなど、「オール岐阜」による情報発信の取り組みを一層強化してまいります。

おわりに

以上をもちまして、市政に対する所信の一端と令和2年度の主な施策の大要を申し述べました。
スピード感をもって全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、予算に関係いたします条例なども提案いたしておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

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