平成31年3月定例会 市長提案説明

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ページ番号1006447  更新日 令和3年8月31日

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本日、平成31年第1回岐阜市議会定例会が開催され、新年度の予算案を中心に諸議案の御審議をお願いするにあたり、市政に臨む所信の一端と施策の大要を申し上げます。

はじめに

私が市民の皆様の御信任を賜り、岐阜市長に就任してから、はや1年が経過いたしました。
就任当時、私はこの場で5つの「市政運営の基本方針」を申し上げました。
改めて申し上げますと、「オールぎふのまちづくり」「対話による合意形成」「1年勝負」「こどもファースト」「働きがいのある職場づくり」であります。
この「市政運営の基本方針」を土台とし、この間、「政策総点検」や「『岐阜を動かす』若手職員プロジェクト会議」、さらには、6月補正予算に計上しました「未来への種まき」となる事業に、スピード感を持って全力で取り組んでまいりました。
加えて、直面する様々な課題に対しましては、一つ一つ丁寧に取り組み、今を生きる我々の責任として、将来世代に先送りすることなく、解決の道を決断し、岐阜市政を前進させてまいりました。
こうした中、来たる新年度は、改元という新時代の幕開けの年であると同時に、岐阜市におきましても市制130周年を迎えます。
また、2020年には、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送や、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるなど、岐阜の“躍動”に向けた大きなチャンスが訪れます。
さらに、東海環状自動車道西回りルートの開通や、リニア中央新幹線の開業が予定されているなど、本市のまちづくりへの追い風となるインフラ整備が続いてまいります。
こうした本市を取り巻く大きな変化を捉え、新年度におきましては、5つの「政策のベクトル」を「岐阜を動かす」政策の柱に据え、「住む人・来る人・働く人を増やす成長都市」の実現に向け、岐阜が大きく“躍動”していくよう、市民の皆様とともに総力を挙げて取り組んでまいります。

本市を取り巻く環境

それでは最初に、本市を取り巻く環境について申し上げます。
我が国経済は、息の長い緩やかな回復基調が続いており、景気回復期間は戦後最長を更新した可能性が高いと言われております。
しかし、雇用・所得環境が改善した一方、依然として個人消費は力強さを欠いており、景気回復の実感が乏しく、世界経済の減速懸念が強まる中で、その先行きは楽観できない状況にあります。
一方、国の財政状況に目を向けますと、高齢化の進展に伴う社会保障費の増加などの影響で、いわゆる「国の借金」は昨年12月末現在で約1,100兆円と過去最高を更新しており、その先行きは予断を許さない状況が続いております。
こうした中、全世代型社会保障への改革と財政健全化を両立させるべく、本年10月に消費税率が10%に引き上げられ、景気に影響を及ぼさないよう、軽減税率の導入やプレミアム付商品券をはじめとする経済対策のほか、全世代型社会保障の一環として、子育て家庭の負担を軽減する幼児教育・保育無償化などが実施されることとなっております。
我々地方自治体といたしましても、こうした社会経済情勢や国の動向を的確に把握し、柔軟かつ迅速に対応していく必要があります。
また、2025年には団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、その後、2040年頃には高齢者人口がピークを迎える一方で、現役世代の減少が加速するものと予測されております。
こうした状況を受け、昨年12月、国において「出入国管理及び難民認定法」、いわゆる「入管難民法」が改正され、本年4月から新たな在留資格による外国人材の受け入れが始まります。
我々地方におきましても、岐阜県では昨年の推計人口が35年ぶりに200万人を割り込み、本市でもこの1年間で約1,500人が減少し、このまま減少が続けば、2040年には現在の人口よりも約20%減の34万人程度になるものと推測しております。
人口減少・少子高齢化の急速な進展は、地域経済を縮小させ、地域社会の担い手不足、地方財政の圧迫など、様々な問題の顕在化につながるものと懸念されます。
さらに、こうした問題への対応の遅れは、まちの活力や都市機能の維持に深刻な影響を及ぼしかねず、全国の自治体と同様に本市にとりましても、喫緊に取り組むべき最大の課題であると考えております。

政策のベクトル

こうした認識のもと、人口減少・少子高齢化という最大の課題に対し速やかに対応を図るべく、本市では、特に重要な政策の方向性として、「こどもファースト」「観光振興」「中心市街地活性化&都市基盤整備」「広域連携」「シティプロモーション」の5つの「政策のベクトル」を掲げ、市民の皆様とともに全力で取り組んでまいります。

こどもファースト

それでは、これら「政策のベクトル」について、順次申し上げます。
まず、1つ目のベクトルは、「こどもファースト」であります。
日本国内における平成30年の推計出生数は、前年より約2万5,000人少ない約92万1,000人となり、3年連続で100万人を下回る見通しが示されております。
本市におきましても、平成29年の出生数は、前年より約240人減の約2,900人となり、少子化対策は喫緊の課題となっております。
こうした状況を踏まえ、新年度は、「子育て」「教育」を中心に、子どもが社会に羽ばたくまでの切れ目のない支援を充実させてまいります。
さらに、深刻化する児童虐待や、子どもが巻き込まれる痛ましい事件や事故を未然に防止するため、子どもたちの安全・安心を確保する取り組みを強化してまいります。

観光振興

2つ目は、「観光振興」であります。
昨年の訪日外国人旅行者は3,000万人を超え、国が掲げる「2020年に4,000万人」の目標達成も視野に入ってまいりました。
こうした中、来たる2020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催に加え、岐阜にゆかりの深い戦国武将・明智光秀公を主人公とした大河ドラマ「麒麟がくる」が放送されるほか、県内で「ねんりんピック岐阜2020」が開催されるなど、本市が誇る地域資源を国内外へ広くアピールする絶好の機会が訪れます。
本市といたしましては、この好機を逃すことなく、「本物志向の観光まちづくり」に総力を挙げて取り組み、交流人口のさらなる増加を目指してまいります。

中心市街地活性化&都市基盤整備

3つ目は、「中心市街地活性化&都市基盤整備」であります。
新年度中に開通が予定されている東海環状自動車道の(仮称)岐阜三輪スマートインターチェンジに続き、(仮称)岐阜インターチェンジの開通、さらに、2027年にはリニア中央新幹線の開業が予定されるなど、今後、本市を取り巻く環境は大きく変化してまいります。
本市におきましては、これを大きなチャンスと捉え、新たなインフラによる波及効果をまちの活力として取り込むべく、投資効果を重視しながら、中心市街地の活性化や成長都市の基盤づくりに全力で取り組んでまいります。
とりわけ、本市の中心市街地は、岐阜都市圏の中心との認識のもと、その活性化を図ることで、本市のみならず、岐阜都市圏が発展するためのエンジンとしていく必要があります。
これまで本市におきましては、本年1月に完成した岐阜駅東地区の再開発ビル「岐阜イーストライジング24」に続き、この2月に動き始めた高島屋南地区の市街地再開発事業など、民間活力を活かしたまちづくりを推進してまいりました。
新年度も引き続き、民間との連携を深めながら、岐阜駅周辺の市街地再開発事業や、リノベーションによるまちづくりなど、民間が主体となった取り組みを促進し、活力ある中心市街地の実現を目指してまいります。

広域連携

4つ目のベクトルは、「広域連携」であります。
人口減少・少子高齢化が加速する中、基礎自治体として様々な施策や事業を効率的かつ効果的に推進していくためには、圏域、あるいは個別の自治体間で連携し、互いの個性を尊重しながら都市経営を行っていくことが重要であります。
現在、国においては、首相の諮問機関である地方制度調査会におきまして、圏域における地方行政のあり方について議論が続けられております。
また、本市は昨年12月、国において、地域の経済や住民生活を支える拠点となる「中枢中核都市」に選定され、同月、閣議決定された国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略2018改訂版」におきましては、その機能を強化する方針が示されております。
こうした国の動向を注視しつつ、岐阜連携都市圏のさらなる深化を図るとともに、岐阜県や近隣自治体とも緊密な連携を図ることで、岐阜都市圏全体の発展を目指してまいります。

シティプロモーション

最後に、5つ目は、「シティプロモーション」であります。
本市が将来にわたってまちの活力を維持し、安定した都市経営を行っていくためには、市内外の人々から選ばれる都市となる必要があります。
まず、市民の皆様に「岐阜市にずっと住み続けたい」と思われるまちになるためには、本市への愛着や誇り、いわゆるシビックプライドの醸成が重要になると考えております。
このため、市民の皆様に本市の魅力を理解し、共感していただけるよう、全庁挙げて、伝える、伝わるシティプロモーションに力を注いでまいります。
さらに、市外に向けましては、定住・交流人口の増加に向け、ターゲットを絞った効果的なプロモーションを展開してまいります。
また、こうした取り組みの結果、市外の方々から本市が高い評価を受けることで、市民の皆様のシビックプライドが一層高まるものと考えております。
これら5つのベクトルに沿って“岐阜を動かす”施策を推進し、人口減少社会にあっても持続可能な「住む人・来る人・働く人を増やす成長都市」を実現してまいります。

政策総点検、若手プロジェクト

あわせて、新年度予算編成にあたりましては、若手職員の新たな発想で事業を立案する「岐阜を動かす」若手職員プロジェクト会議からの提案と既存の事務事業の見直しを検討する政策総点検の結果を反映いたしました。
まず、「岐阜を動かす」若手職員プロジェクト会議につきましては、「こどもファースト」及び「観光振興」をテーマに検討された結果を受け、5施策8事業について予算化したところであります。
また、政策総点検におきましては、「ニーズの変化に対応」「予算の有効活用」「職員の意識改革」の観点から、「成果」をあげる方法を幅広く検討した結果、計160件の事務事業を見直すことといたしました。
さらに、新年度予算の編成過程におきましても、政策総点検の考え方を踏まえ、限られた財源を有効活用すべく「成果」を重視するとともに、「対話による合意形成」を積み重ねてまいりました。
こうして編成した新年度予算は、若手職員のフレッシュなアイデアを随所に取り入れるとともに、市民ニーズや社会の変化を踏まえ、より高い「成果」が得られるものにブラッシュアップできたと考えております。

新年度予算

続きまして、新年度予算案について申し上げます。
まず、市税収入などの歳入についてであります。
歳入の根幹である市税収入につきましては、法人市民税が、法人収益の増加などにより7億円の増、固定資産税が、家屋の新増築の増加により5億円の増となる結果、全体で、前年度と比較し15億円、率にして2.3%増の669億円を見込んでおります。
また、地方交付税に臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税につきましては、本年度の決算見込み及び地方財政計画などを勘案し、本年度当初予算と比べ3億円の減を見込んでおります。
そのほか、財政調整基金からの繰入金が10億円の増となり、これらを合わせた一般財源は、前年度に比べ26億円の増となる見込みであります。
一方、歳出につきましては、社会保障費において、高齢化の進展等に伴う増加に加え、本年10月から実施される幼児教育・保育無償化にかかる費用が増加いたします。
さらに、消費税率引き上げに伴う経済対策として、プレミアム付商品券事業の費用が増加することに加え、ハード整備費につきましても、新庁舎建設の本格化などにより大きく増加してまいります。
この結果、平成31年度の予算規模は、
一般会計は、1,720億5,000万円
特別会計は1,091億5,470万円
企業会計は512億7,592万6千円
総計は3,324億8,062万6千円
となり、これを骨格予算として編成しました、平成30年度当初予算と比較いたしますと、
一般会計で158億2,000万円、10.1%の増
特別会計で2億8,920万円、0.3%の増
企業会計で7億8,846万9千円、1.6%の増
全体では168億9,766万9千円、5.4%の増
となったところであります。
本市財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますが、先に申しました「政策のベクトル」に沿った投資効果の高い施策を展開し、1日も早く市民の皆様に、“動き始めた岐阜”を実感していただきたいとの思いで、新年度予算の編成にあたりました。
それでは、予算案の主要な施策の大要につきまして、「ぎふし未来地図」に掲げる「都市づくりの方向性」の体系別に、順次御説明いたします。

教育や子育てが充実し、人々が育まれるまち

最初に、「教育や子育てが充実し、人々が育まれるまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

子育て支援の充実

まず、子育て支援の充実についてであります。
本市におきましては、「こどもファースト」の理念に基づき、安心して子どもを生み、育て、子ども自らが健やかに育つことができるよう、様々な子育て支援の充実に努めております。
新年度は、総合的かつ効果的に施策を展開し、さらなる子育て支援の充実につなげるため、「次世代育成支援対策行動計画」及び「子ども・子育て支援事業計画」を統合した「子ども・子育て支援プラン」を策定してまいります。
また、保育環境の充実につきましては、女性就業率の高まりに伴い、3歳未満児の保育ニーズが年々増加傾向にあることを受け、これに対応する新たな受け皿として、私立幼稚園における2歳児預かり事業を実施してまいります。
さらに、保育所や幼稚園等において、子どもが病気などで体調不良となり、保護者がすぐに迎えに行くことが困難な場合に、看護師による病児・病後児保育施設への送迎を行うなど、安心して子どもを預けることができる環境整備に全力で取り組んでまいります。
加えて、本年10月からの消費税率引き上げにあわせ実施される、幼児教育・保育無償化につきましては、子育て家庭の負担軽減を図るべく、国の方針を踏まえ適切に対応してまいります。
一方、高島屋南地区市街地再開発ビル内に整備する子育て支援施設につきましては、子育て家庭にとって魅力にあふれ、かつ、にぎわいの創出につながる拠点施設として、整備に着手してまいります。
また、近年、女性の社会進出が進む中、第2子の出産をためらう「2人目の壁」の一因として、子育てを母親だけで行う「ワンオペ育児」の問題が指摘されております。
このため、男性の育児参画に対する意識を変革し、実践的なスキルを習得するための総合的な取り組みとして、「ぎふし共育都市プロジェクト」を新たに実施してまいります。
一方、子育てや就労などに様々な悩みを抱えるひとり親家庭の支援につきましては、本年度、給付型奨学金や生活・学習支援事業など、様々な支援情報を集約したガイドブックを作成し、大変好評を得ております。
新年度は、両親の離婚等により離れて暮らす親と子の面会交流に対する支援を新たに開始するなど、さらなる支援の充実を図ってまいります。
子ども・若者総合支援センター「エールぎふ」におきましては、全国的に児童虐待による痛ましい事件が後を絶たない中、虐待の通告を受けた場合には、職員が速やかに児童の安否確認を行うなど、虐待の根絶に向け、総力を挙げて取り組んでおります。
新年度には、「エールぎふ」内に「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、心理担当専門員等による専門的支援を実施するなど、児童虐待にかかる相談体制を強化してまいります。
また、全小学校に開設しております「放課後児童クラブ」につきましては、子育て世代のさらなる支援を行うため、新年度は、保護者の就労実態や利用希望に応じて、新たに16カ所、計45カ所で対象学年を6年生まで拡充するとともに、引き続き、35カ所において利用時間を午後7時まで延長するなど、放課後の安全・安心な居場所づくりに努めてまいります。

学校教育の充実

次に、学校教育の充実について申し上げます。
本市におきましては、まちの未来を担う人材を育む「教育」を重要施策に位置付け、複雑化していく現代社会に的確に対応しつつ、予測が困難といわれる新しい時代においても、夢や希望の実現に向けて果敢に挑戦できる子どもたちを育んでまいります。
まず、「英語教育」につきましては、その質をさらに高めるため、民間の教育シンクタンクとの共同研究で得られた成果に基づき、新たに「英語力アップ“岐阜モデル”推進事業」に取り組んでまいります。
具体的には、中学校3年生を対象に「読む・聞く・話す・書く」の4技能が測定できる評価テストを実施し、その結果をもとに授業改善を進めることで、英語運用能力と学習意欲を高めるとともに、教員の指導力向上を図ってまいります。
さらに、小学校5・6年への外国語指導助手・ALTの派遣時間数を年間18時間から35時間へと拡大するとともに、市立幼稚園にも新たにALTを派遣することで、幼児期から英語に親しめる環境を整備してまいります。
人型ロボット・Pepperを活用した「プログラミング教育」につきましては、論理的・創造的な思考を駆使して課題を解決する力を育むため、本年度から全小中学校で実施しております。
また、その成果を発表するプログラミングコンテストにおきましては、子どもたちが身近な課題を解決するプログラムを考え、表現力豊かなプレゼンテーションを行うなど、成果が目に見える形であらわれてきており、引き続き、さらなる取り組みの進化を図ってまいります。
さらに、これら学校教育で培った課題解決力を地域の現場で実践することで、学校での学びが地域社会でも活かされるとともに、得られた経験を通して、子どもたち自身の自己肯定感が高まることが期待されます。
そこで、新年度は、中高生を対象に地域や身の回りにある課題や関心事をテーマに、それぞれがプロジェクトを立ち上げ、実践する「岐阜未来人財育成事業 ~マイプロジェクト in 岐阜~」に取り組んでまいります。
また、新学習指導要領におきましては、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」が、新しい時代に必要な資質・能力として位置付けられております。
これらの基礎は幼児期の教育で育まれることから、幼稚園、保育所及び認定こども園における学びの充実が重要になります。
このため、新年度は、幼児期における学びの充実に向け、教育委員会に幼児教育課を新設するとともに、幼児教育の総合的な方針となる「幼児教育推進プラン」を策定してまいります。
幼児教育課におきましては、小学校との円滑な接続にかかる取り組みや、家庭教育の支援などを行い、子どもたちの“学びに向かう力の芽生えや育ち”を支えてまいります。
一方、特別支援教育におきましては、障がいのある人が差別されることなく、障がいのない人とともに生活し、学ぶ「インクルーシブ教育」を一層推進してまいります。
新年度には、発達障がいの可能性のある子どもが抱える様々な問題や課題に対し、きめ細かく対応していくため、医療関係者との連携を強化し、教育と医療が一体となった支援体制を整備してまいります。
加えて、包括連携協定を締結している高等教育機関の協力を得て、特別支援教育にかかる「教員免許法認定講習会」を開催し、教職員の特別支援学校教諭免許保有率を高めることで、一人ひとりのニーズに応じた指導や支援を充実させてまいります。
また、昨年5月に新潟市で下校中の児童が被害に遭った痛ましい事件が発生したことを受け、全国的に子どもの安全・安心を守る取り組みの強化を求める声が高まっております。
このため、新たにGPS位置情報サービスを活用した子どもの見守りサービスを導入し、登下校時における子どもの安全・安心を確保するとともに、犯罪の抑止効果を高めてまいります。
あわせて、学校や警察等と連携して通学路の安全点検を行い、きめ細やかな交通安全対策を実施してまいります。
一方、ハード面につきましては、長良小学校及び長良公民館改築を着実に進めるとともに、今後も快適な学習環境を創出するため、施設の老朽化対策やトイレ改修をはじめとする環境改善などに取り組んでまいります。

高等教育機関の充実

次に、高等教育機関の充実について申し上げます。
岐阜薬科大学につきましては、昭和7年の岐阜薬学専門学校としての建学以来、人の健康と福祉に貢献できる人材の育成に努めてまいりました。
しかしながら、現状において、本部キャンパス研究室の狭隘化や、三田洞キャンパスの老朽化などの課題に直面しております。
こうした課題の解決を図るため、本年度、岐阜大学に隣接する本部キャンパスの近接地にキャンパスを整備・統合する方針を固めたところであり、新年度には、基本構想・基本計画の策定に着手してまいります。
このキャンパス整備に伴い、東海環状自動車道の(仮称)岐阜インターチェンジに近い交通の要衝に、岐阜大学の「医学」「工学」「獣医学」と、岐阜薬科大学の「薬学」が連携する全国屈指の学術研究拠点が形成されることとなります。
こうした最先端の教育研究環境の中で、今後も地域産業の発展と地域医療に貢献できる高度な人材を輩出していくことで、公立大学としての使命を果たしてまいります。

生涯を通じた生きがいづくりの推進

次に、生涯を通じた生きがいづくりの推進について申し上げます。
まず、生涯学習の推進についてであります。
「人生100年時代」ともいわれる超長寿社会が到来する中、引き続き、だれもが学びを通じて生きがいを持ち、活躍することができる、「生涯活躍社会」の構築を目指し、地域におけるまちづくりや人づくりにつながる人材の養成に努めてまいります。
新年度は、昨年度策定いたしました第3次生涯学習基本計画に基づき、長良川大学のさらなる活用を促進し、人生の各ステージにおける学びを支援してまいります。
一方、市民の皆様の「学び」を支える「知の拠点」である中央図書館におきましては、市民に身近な「滞在型図書館」として、図書館サービスのさらなる向上に努め、楽しさあふれる読書環境を提供してまいります。
新年度は、市民の皆様が多様な活動を行うための新たな交流・対話の場として、「集いのワークスペース」を整備するなど、本を中心に人が繋がる図書館の魅力を高めてまいります。
また、引き続き、中央図書館が有する先進的イメージを全国に発信するため、魅力あるオリジナルグッズを作製するなど、図書館ブランディングを推進してまいります。
そのほか、2020年に日本を代表する文化人等で構成される「エンジン01文化戦略会議」のオープンカレッジを岐阜市で開催すべく、岐阜県、岐阜大学、岐阜商工会議所等と共同して取り組んでまいります。
オープンカレッジでは、当会議の会員約150名が講師となり、市民の皆様との「知」の交流を行う各種講座やシンポジウム等を実施してまいります。
次に、スポーツの推進につきましては、スポーツ推進計画に基づき、市民だれもが元気で健康な生活を営めるよう、スポーツに気軽に親しむことができる環境づくりを進めてまいります。
新年度は、生涯スポーツとして子どもから高齢者まで幅広く楽しめる「グラウンド・ゴルフ」の専用コースを南部スポーツセンターに整備してまいります。
また、FC岐阜のクラブハウス機能を有するスポーツ交流センターにおきましては、施設を増築することで、市民に夢と感動を与え、シビックプライドの醸成にもつながるプロスポーツチームの活動を支え育むとともに、市民の皆様とのスポーツ交流を推進し、本市のスポーツ振興につなげてまいります。
次に、文化芸術の推進についてであります。
歴史に育まれ、受け継がれてきた様々な本市固有の文化芸術は、まちの個性を形成し、岐阜らしさを醸成します。
昨年度策定いたしました「文化芸術指針」に掲げる「文化芸術を楽しみ創造する都市・ぎふ」を実現するためには、まちづくり、教育などの多様な分野との連携を図りつつ、本市独自の文化芸術や伝統を継承していくとともに、市民の皆様に楽しんでいただきながら、シビックプライドを高めていくことが重要になります。
こうした観点から、引き続き、岐阜市の伝統文化を再発見する「岐阜文化再発見 ~民話ライブ~」、誰もが楽しめる「市民文化祭」や「長良川薪能」など、市民の皆様が愛着を感じる文化芸術事業を推進してまいります。

福祉や医療が充実し、生涯を健康に暮らせるまち

次に、「福祉や医療が充実し、生涯を健康に暮らせるまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

高齢者・障がいのある人の支援

まず、高齢者・障がいのある人の支援についてであります。
本市におきましては、人口に占める65歳以上の高齢者の割合である高齢化率が28%と、4人に1人以上が高齢者となっており、高齢者世帯が年々増加しております。
こうした中、高齢者の多くの方々は、できる限り住み慣れた地域での生活を望んでおられることから、引き続き、地域における総合相談窓口である地域包括支援センターが中心となり、高齢者やその家族に対する包括的な支援を推進してまいります。
さらに、判断能力に不安を抱えた場合にも、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、成年後見制度の利用促進体制を構築するため、2021年度に開設を予定している「成年後見センター」の設置準備に着手してまいります。
一方、2020年度には、60歳以上の方々を中心としたスポーツ、文化、健康と福祉の総合的な祭典である「全国健康福祉祭」、いわゆる「ねんりんピック」が岐阜県内で開催されます。
本市におきましては、テニス、弓道、水泳など7種目が実施されることから、新年度には実行委員会を組織し、競技運営が円滑に行えるよう準備を進めてまいります。
次に、障がいのある方に対する施策といたしましては、本年度からの第4次障害者計画に基づき、障がいの有無にかかわらず「誰もが自立してともに暮らすまち」を目指してまいります。
とりわけ、障害福祉サービスの提供や相談体制の強化を図ることで、地域での暮らしをきめ細かく支援するとともに、「障がい」や「障がいのある方」に対する理解や配慮を一層促す取り組みを推進してまいります。

健康づくりの推進、医療環境の充実

次に、健康づくりの推進及び医療環境の充実について申し上げます。
本市におきましては、市民だれもが心も体も健康に暮らせるまちづくりを推進するため、「歩く」を基本とした健康づくりを中心に、健康寿命の延伸を図る様々な取り組みを実施しております。
こうした中、昨年11月、自然を活用した健康づくりなどに取り組む自治体を表彰する「クアオルト健康ウオーキングアワード2018」におきまして、本市が優秀賞を受賞いたしました。
これを受け、新たな健康づくりの柱として、自然の冷気や風、傾斜地形などを活用して安全で効果的に歩く「クアオルト健康ウオーキング」に取り組み、市民の皆様や本市を訪れる方々の健康づくりに寄与してまいりたいと考えております。
新年度は、自然豊かな金華山や百々ヶ峰を活用したウオーキングコースの整備や、指導者の養成等を行うなど、クアオルト施策の立ち上げを行ってまいります。
また、高島屋南地区市街地再開発ビル内に整備する健康・運動施設につきましては、施設内に中市民健康センターを移設することで、体力づくりから健康相談、各種健診まで幅広いサービスを提供するとともに、にぎわいの創出につながる拠点施設として、整備に着手してまいります。
一方、少子化・核家族化の進行や、地域のつながりの希薄化などに伴い、子育てをめぐる地域や家庭の状況は大きく変化しております。
こうした状況を踏まえ、本年度設置した「母子健康包括支援センター」におきまして、双子、三つ子などの多胎児を養育している家庭に対し、育児アドバイスや子育て相談などを行う「多胎児家庭サポート事業」を新たに実施してまいります。
また、安心して子どもを産み育てることができる環境整備を一層推進するため、引き続き、妊産婦からの相談対応や、産後の母親への「産後ケア」などを実施し、母子の健康づくりを推進してまいります。
加えて、こころの健康づくりにつきましては、「ひきこもり」への理解を深め、適切な対応につなげるため、「ひきこもり講演会」を新たに開催するとともに、本年度中に策定いたします「自殺対策計画」に基づき、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聴き、必要な支援につなげるゲートキーパーの育成を図るなど、心の健康の保持増進に取り組んでまいります。
次に、医療環境の充実についてであります。
本市におきましては、市内各医療機関での受診に加え、休日や夜間の時間帯においても岐阜市民病院の「小児夜間急病センター」「休日急病センター」などで、安心して受診していただける体制を整えております。
また、岐阜市民病院におきましては、新年度から、経営形態をこれまでの地方公営企業法の一部適用から、より自主・自律的な経営が可能となる全部適用へ移行いたします。
このことに伴い、運営責任者となる事業管理者のもと、医療環境の変化に迅速かつ機動的に対応できる体制を構築し、将来にわたり健全で安定した経営基盤を確立してまいります。
さらに、高齢化に伴い増加する救急搬送患者などの重症患者の受け入れ体制を強化するため、引き続き、重症患者管理病床の整備を進めてまいります。
今後におきましても、地域の医療提供体制の向上に努め、市民の命と健康を守る「最後の砦」として、機能の強化を図ってまいります。

伝統や革新を活かした産業があり、働く場があるまち

次に、「伝統や革新を活かした産業があり、働く場があるまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

産業の活性化、雇用環境の充実

まず、産業の活性化及び雇用環境の充実についてであります。
我が国経済は、息の長い景気回復局面が続いており、雇用・所得環境が着実に改善するなど、大企業を中心に経済の好循環がみられるものの、本市経済を支える中小企業や小規模事業者には、依然として、その効果が十分に及んでいない状況であります。
こうした中、市内中小企業者の資金繰りの円滑化を支援するため、新年度は、岐阜市信用保証協会を活用した融資制度を拡充するとともに、信用保証料の補填を継続してまいります。
一方、少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少する中、地方では若者を中心に東京圏への転出が続いており、本市も転出超過の状況にあります。
そこで新年度から、東京一極集中の是正、地方の担い手不足への対処、移住の促進を図るため、国・県と連携し、市内に移住して就業または起業した方に対する支援金の給付を実施してまいります。
また、ICTの進化などに伴い、場所や時間にとらわれず、多様なライフスタイルに柔軟に対応できる労働環境の提供が望まれています。
このため、新年度には、本年1月に完成した「岐阜イーストライジング24」にリモートオフィスを設置いたします。
名古屋まで約20分というポテンシャルを活かせる岐阜駅周辺に、こうしたオフィス形態を整備することで、市内外の新たなオフィス需要を開拓するとともに、雇用の創出や多様な働き方のモデルを提示してまいります。
さらに、コワーキングスペースを併設することにより、同種・異業種にかかわらず、市内外の企業間交流を促進し、新たな事業やサービスの創出を目指してまいります。

農林水産業の活性化

次に、農林水産業の活性化について申し上げます。
国においては、TPP協定やEUとの経済連携協定を中心に自由貿易を推進する中、本市におきましては、持続可能で力強い農業の実現に向け、「攻め」と「守り」の両面から農業振興に取り組んでまいります。
まず、「攻め」の施策といたしましては、引き続き、薬用作物の生産拡大や販路開拓を進めるとともに、これまでの取り組みを総括し、産地化に向けた今後の展開について検討してまいります。
また、「ぎふベジ」の認知度やブランド力を高め、販路拡大につなげるため、引き続き、市内外へのプロモーションを戦略的に展開してまいります。
加えて、市街化区域内に特産農産物の産地が形成されている本市農業の特徴を踏まえ、市域全域で営まれる農業がバランスよく発展していくことを目指す「農業振興ビジョン」を新たに策定してまいります。
一方、「守り」の施策といたしましては、新たな担い手確保のため、新規就農者への支援を継続するとともに、用水路など農業用基盤施設の整備を計画的に進めてまいります。
さらに、新年度より国から新たに交付される森林環境譲与税を活用し、適正な森林整備を促進するため、行政を介して森林所有者と林業経営者をつなぐシステムを構築してまいります。
そのほか、昨年9月に市内で発生した豚コレラを教訓に、職員一人ひとりが家畜伝染病などの防疫の必要性を認識し、緊急時に組織として適切な対応ができるよう、県など関係機関と連携のもと、防疫対応マニュアル等の整備を進めてまいります。

観光・交流の活性化

次に、観光・交流の活性化について申し上げます。
国は、2020年に訪日外国人旅行者数4,000万人、消費額8兆円を目標に掲げ、県においても観光の基幹産業化を打ち出すなど、地方創生の柱として様々な観光振興施策が進められております。
こうした中、本市におきましても、誇るべき歴史・自然を中心とした地域資源にさらに磨きをかけるとともに、戦略的な誘客を進めていく必要があります。
このため、新年度には、市民・事業者・行政が一体となり、観光に取り組む必要性を示すとともに、本市の中長期的な観光戦略の指針となる「観光ビジョン」を策定してまいります。
また、2020年は本市にビッグチャンスが到来する年であります。
世界各国の方々が日本を訪れる東京オリンピック・パラリンピックが開催されるとともに、大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が予定されております。
ドラマでは、主人公の明智光秀公とともに、本市ゆかりの武将、斎藤道三公や織田信長公が重要な登場人物として描かれると聞いております。
この放送を契機とし、本市の魅力を市内外の方々に感じていただくとともに、さらなる観光振興を図るため、去る1月、官民連携による「大河ドラマ『麒麟がくる』岐阜実行委員会」を立ち上げました。
新年度には、歴史博物館内に大河ドラマ館を開設するとともに、岐阜公園・金華山一帯の整備を進め、誘客を図るほか、中学・高校生を館内の案内ボランティアとして養成することで、シビックプライドの醸成を図るなど、放送に向け機運を高めてまいります。
さらに、県及び県内8市町で構成する協議会において、ドラマに関連した、広域での地域活性化の取り組みを引き続き推進してまいります。
また、本市の観光の柱である鵜飼観覧船事業につきましては、昨年7月の豪雨に伴い、航路に大量の土砂が流入したことなどにより、過去最多となる42日間の中止を余儀なくされる、大変残念なシーズンとなりました。
シーズン終了後、国土交通省などの関係機関の協力や専門家の調査なども踏まえ、航路の浚渫などの対策を進めてきており、新年度には万全の態勢で観覧客をお迎えできるよう、一層のサービス向上に努めてまいります。
さらに、観覧船の有効活用として、従来、ゴールデンウイークにのみ運航しておりました遊覧船事業を拡充し、来年3月に花見船として運航するとともに、オフシーズンの観覧船活用を民間事業者に促す取り組みを行ってまいります。
一方、国史跡岐阜城跡におきましては、本年度から「石垣」という“本物”に光を当て、山城としての岐阜城全体の価値を高める取り組みを進めております。
昨年5月に金華山の中腹で巨大な石垣群が発見されたのに続き、10月からは山上部では初めてとなる本格的な発掘調査を行った結果、織田信長公が城主であった時代に築かれた石垣や、岐阜城跡では初めてとなる「鉄製の矢じり」が発見されるなど、全国から大きな注目を集めました。
新年度は調査箇所を拡大し、斎藤家三代、織田家三代の城であった岐阜城の実態解明に取り組むとともに、調査の過程も観光資源としてPRすることで、岐阜城の魅力を全国に発信してまいります。

多くの人々が集まりにぎわう、活気に満ちたまち

次に、「多くの人々が集まりにぎわう、活気に満ちたまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

中心市街地の活性化

まず、中心市街地の活性化についてであります。
中心市街地を形成する岐阜駅周辺から柳ケ瀬、ぎふメディアコスモス周辺に至る区域につきましては、昨年3月に国の認定を受けた中心市街地活性化基本計画に基づき、様々な取り組みを進めてまいります。
新年度は、民間が主体になったリノベーションによるまちづくりをさらに加速させるため、柳ケ瀬エリアにおいて、新たに「リノベーションスクール」を開催し、遊休不動産の利活用と新たな担い手創出につなげるとともに、引き続き「ぎふ信長楽市」を開催するなど、中心市街地エリアの価値向上を図ってまいります。
さらに、子育て世帯や、市外からの移住に重点を置いた新築住宅取得に対する支援や、はじめて就職する若者の市内へのUターンや定住に対する支援を継続し、日常の消費の下支えや地域コミュニティの維持に資する居住者の流入を促進してまいります。
また、柳ケ瀬活性化の起爆剤としての期待が高まる高島屋南地区の市街地再開発事業につきましては、本年度、既存建物の除却に着手し、新年度には建設工事が本格化してまいります。
さらに、岐阜駅周辺につきましては、本年1月に完成した「岐阜イーストライジング24」を弾みとして、今後、岐阜駅周辺の市街地再開発事業が進展することを大いに期待しております。
本市といたしましては、リニア中央新幹線開業を見据え、本年度実施しました土地の高度利用方策にかかる検討結果を活用し、市街地再開発事業の実現を目指す準備組合の活動を支援してまいります。
加えて、新年度は、岐阜市制130周年とあわせ、岐阜駅北口駅前広場の完成10周年を迎えることから、岐阜駅北口を中心とした記念イベントを実施するとともに、金公園の丸窓電車を駅前広場に移設し、さらなるにぎわいを創出してまいります。
そのほか、「都市の顔」ともいうべき本市の中心部の目指すべき姿をわかりやすい形で「見える化」し、市民や事業者の皆様と共有することで、民間活力や投資を促進してまいります。
一方、「知・絆・文化」の拠点である「みんなの森 ぎふメディアコスモス」につきましては、岐阜都市圏の中心部に位置するにぎわいの拠点として、大きな役割を担っております。
新年度におきましても、まちの魅力向上やにぎわい創出に寄与する様々な事業を展開するとともに、施設を利用する“人”や“活動”にフォーカスした情報発信に取り組むことで、施設の魅力をさらなる高みへ押し上げてまいります。

市民参画と市民協働によるまちづくりの推進

次に、市民参画と市民協働によるまちづくりの推進について申し上げます。
人口減少・少子高齢化の進展、さらには人々の価値観の多様化による人と人のつながりの希薄化などに伴い、地域コミュニティを取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした中、活力ある持続可能なまちづくりを進めていくためには、まちづくり協議会や自治会をはじめ、NPO、企業など、地域社会を構成する多様な主体と行政が、地域コミュニティの役割を認識し、それぞれの立場に応じた協働の取り組みを進めていくことが重要になります。
こうした観点から、今議会に改正案を提案しております「岐阜市住民自治基本条例」の主旨を踏まえ、さらなる住民自治の充実に向けた様々な取り組みを推進してまいります。
新年度は、まちづくり協議会に対する支援を充実し、その機能強化を図るため、地域住民が主体となり、まちづくりの方向性を示す「地域まちづくりビジョン」の策定に対する支援に加え、策定したビジョンの実現に向けた取り組みに対しても支援を行い、地域の力を高めてまいります。
また、「市民活動支援事業」につきましては、子どもの健全育成にかかる活動を促進するため、「こどもファースト支援メニュー」を新たに設けるなど、市民の主体的な活動を支援してまいります。

多文化共生と国際交流の推進

次に、多文化共生と国際交流の推進について申し上げます。
いわゆる「入管難民法」の改正に伴い、本年4月から始まる新たな在留資格による外国人材の受け入れに向け、現在、国におきまして、適正・円滑な受け入れ促進に向けた取り組みと、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備が進められております。
こうした中、現在、本市には約9,400人の外国人住民が暮らしており、新制度の導入に伴い増加が見込まれることから、岐阜県をはじめとする関係機関と連携して、社会生活上の支援などの多文化共生施策の拡充が必要となってまいります。
このため、これまでの取り組みに加え、行政窓口への翻訳アプリの導入、生活・行政情報の多言語化のほか、今後さらなる増加が見込まれるベトナム人を対象とした相談窓口を開設し、外国人住民の暮らしを支えてまいります。
さらに、新年度策定する「次期多文化共生推進基本計画」におきましても、まちづくりの重要なパートナーである外国人住民との共生社会の実現に向け、幅広い施策を検討してまいります。
また、新年度は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、ホストタウン交流が本格化する年となります。
本市におきましては、既に交流を進めているスロバキア共和国に加え、昨年12月、新たにカナダとコートジボワール共和国を相手国としたホストタウンに登録されたことを受け、新年度は、ホストタウン相手国からの事前合宿の受け入れや、選手団との交流事業を実施してまいります。
これらのホストタウン相手国の特色を活かした交流を官民協働により推進することで、子どもたちをはじめ、多くの市民の皆様が多様な文化に触れる機会を創出してまいります。

暮らしを守り支える、安全・安心なまち

次に、「暮らしを守り支える、安全・安心なまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

防災・消防の充実

まず、防災・消防の充実についてであります。
本年度は、6月に発生した大阪北部地震、西日本を中心に大きな被害をもたらした7月豪雨に加え、相次ぐ大型台風の上陸、北海道胆振東部地震など、全国各地で大規模災害が頻発しました。
本市におきましても、14年ぶりとなる長良・大宮陸閘の閉鎖や、市内全域への「避難準備・高齢者等避難開始」の発令などの対応が必要となりました。
また、市内の一部で床上・床下浸水をはじめ、強風による住宅や農業施設等の破損などの被害も発生したところであり、災害の恐ろしさ、防災対策の重要性を再認識した1年となりました。
今後も過去の災害を教訓として、将来発生が危惧される南海トラフ巨大地震のほか、風水害や土砂災害などのあらゆる災害の発生を念頭に置き、市民の皆様とともに、「自助」「共助」「公助」が一体となった防災・減災対策を進めてまいります。
新年度は、「自助」による減災対策として、あらゆる機会を捉え、「自分の命は自分で守る」という意識啓発に力を入れるとともに、高齢者や障がい者などのいわゆる避難行動要支援者を対象とした家具固定支援のほか、耐震シェルターの設置や、民間建築物の耐震化に対する助成を継続するなど、市民一人ひとりの自助力の向上を図ってまいります。
あわせて、通学路・避難路に面するブロック塀の撤去につきましても、新年度までの緊急措置として補助率の引き上げを継続し、安全・安心な環境整備を推進してまいります。
さらに、各地域における自主防災組織の核となる人材を育成する「防災士」資格の取得支援を行うなど、「共助」に欠かせない地域住民の防災活動を引き続き支援してまいります。
また、「公助」の対策として、災害対応の拠点となる新庁舎につきましては、常設の災害対策本部室をはじめ、あらゆる災害を想定した整備を図るとともに、隣接する立体駐車場につきましても、備蓄倉庫、大型車両の駐留スペースなど、新庁舎の拠点機能をサポートする防災施設として、引き続き整備を進めてまいります。
同時に、大規模災害が発生した際の司令塔としての機能を強化するため、防災情報システムの再構築に着手してまいります。
また、消防の充実といたしましては、瑞穂市、山県市、本巣市及び北方町の4市1町による広域消防運営をより強固なものとするため、各市町の派遣職員を本市職員に身分統一するなど、都市間連携による消防力のさらなる強化を図ってまいります。
一方、災害発生時の交通確保に重要となる橋梁につきましても、着実に耐震化を図るとともに、法に基づく定期点検を行い、計画的な補修・更新を進めてまいります。
内水対策といたしましては、これまでの浸水被害状況を踏まえ、引き続き、水路改修などを推進するとともに、特に近年、浸水被害がたびたび発生している境川流域におきまして、公園内への雨水貯留施設の整備を計画的に進めてまいります。
さらに、市内各所にある排水機場の設備を計画的に更新するほか、アンダーパスの冠水表示装置の改修など、水害に対する多面的な対策を進めてまいります。

防犯・交通安全の充実

次に、防犯・交通安全の充実について申し上げます。
近年、犯罪の認知件数は減少傾向にありますが、市民の皆様が日常をより安全・安心に暮らせるよう、防犯灯や防犯カメラの設置を促進するとともに、地域のパトロール活動など、市民の自主的な防犯活動を支援してまいります。
一方で、不幸にも犯罪の被害に遭われた方やその御家族が、その後も平穏な生活を営んでいくためには、経済面や精神面への支援体制が必要となってまいります。
このため、新年度は、「犯罪被害者等支援条例」の制定に向け検討を行うなど、総合的な支援制度の構築に取り組んでまいります。
一方、交通安全につきましては、高齢化の進展に伴い、高齢者が当事者となる交通事故の増加が見込まれることから、出前講座などによる交通安全指導を推進するとともに、運転免許証の自主返納者への支援を行うなど、引き続き、高齢者の交通事故防止に注力してまいります。

快適な都市環境のある、住みやすいまち

次に、「快適な都市環境のある、住みやすいまちづくり」にかかる施策について申し上げます。

良好な都市空間と持続可能な都市基盤づくり

まず、良好な都市空間と持続可能な都市基盤づくりについてであります。
人口減少・少子高齢化の急速な進展に伴い、若者や子育て世帯、高齢者などが安心して暮らすことができる住環境の整備や、空き家を含めた住宅ストックの有効活用が求められております。
こうした状況を踏まえ、本市におきましては、本年度5月に策定しました空家等対策計画に基づき、空き家総合窓口を設置するなど、管理不全な空き家に対し適切に対応する体制を整備してまいりました。
新年度は、空き家の適正管理や流通・活用を促進するため、新たに空き家の所有者と利用希望者とのマッチングを行う「空き家バンク」を活用したモデル事業を実施するほか、市外からの転入者等が取得した空き家の改修費用にかかる助成制度を創設してまいります。
また、本年度整備に着手しました、旧加納町役場跡地における景観まちづくり活動の拠点施設につきましては、加納町と岐阜市の合併80周年となる2020年の開設に向け、着実に進捗を図ってまいります。
一方、都市の活力を維持し、持続的な成長を実現するためには、成長の礎となる都市基盤を構築することが重要であり、その根幹となるのが道路等の社会インフラであります。
とりわけ、新年度には、本市への様々な経済効果が期待される、東海環状自動車道の(仮称)岐阜三輪スマートインターチェンジの開通が予定されており、さらに、2024年度には、(仮称)岐阜インターチェンジの開通が予定されていることから、引き続き、事業進捗に合わせ、アクセス道路の整備を進めてまいります。
また、本市の中心市街地から各務原市へのアクセス性が向上する金町那加岩地線ほか1路線の整備に着手するなど、周辺市町との連携や交流促進を図るため、広域ネットワークを形成する道路等の整備に着実に取り組んでまいります。
岐阜ファミリーパークにつきましては、(仮称)岐阜三輪スマートインターチェンジの開通に伴い、広域圏からの来園者の増加が見込まれることから、引き続き、公園としての魅力を高める再整備とあわせ、総合スポーツ公園化に向けた検討に取り組んでまいります。
また、岐阜公園につきましては、信長公居館跡等の歴史的価値を活かした「歴史文化市民公園」として再整備するため、引き続き用地取得等の進捗を図るほか、国内外からの来園者の増加に備え、案内表示等の多言語化、公衆トイレの洋式化などの環境整備とともに、三重塔周辺の修景整備を行い、観光地としての魅力を高めてまいります。
加えて、豚コレラの発生が確認された畜産センター公園につきましては、今後の公園のあり方等について検討を行ってまいります。
一方、水道事業につきましては、市民の皆様に安全で安心な水道水を安定的に給水していくため、災害及び老朽化への対策として、配水管布設替を計画的に推進するとともに、築45年以上が経過した鏡岩水源地管理棟の改築に着手してまいります。
また、下水道事業につきましては、管渠整備や、昨年2月に策定したストックマネジメント計画に基づく施設の設備更新を行い、快適な生活を享受できる環境づくりに努めてまいります。

自然・地球環境保全の推進

次に、自然・地球環境保全の推進について申し上げます。
昨年12月に地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」の運用ルールが採択され、温室効果ガスの排出抑制に向けた行動がより一層強く求められております。
こうした状況を踏まえ、岐阜市地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガス削減対策を推進するため、ゼロエネルギー住宅、家庭用燃料電池などの省エネ整備にかかる助成を継続し、地球温暖化対策に資する市民の取り組みを支援してまいります。
また、美しい住環境や都市景観を次世代に継承していくためには、ごみの発生抑制、資源の循環的利用を図り、地球環境への負荷を減らし、資源を有効利用する循環型社会を構築することが重要であります。
本市におきましては、「ごみ減量・資源化指針」に基づき、「ごみ1/3減量大作戦」市民運動を展開しております。
新年度も引き続き、雑がみの回収や、手軽に生ごみの堆肥化が実践できるダンボールコンポストの普及促進に取り組み、紙ごみ、生ごみのさらなる排出抑制と資源化を推進してまいります。
加えて、「プラスチック製容器包装」の資源化につきましては、新リサイクルセンター整備にあわせた実施に向け、分別への理解を深める啓発や体験事業を行ってまいります。
さらに、市民の衛生的で快適な生活環境を維持向上していくため、廃棄物の適正処理を着実に推進してまいります。
新年度は、引き続き、地元をはじめ市民の皆様の御理解を賜りながら、効率的かつ安定的なごみ・し尿の処理に努める一方で、将来にわたり持続可能な一般廃棄物処理体制を確保するため、カン、ビンなど資源ごみの中間処理を行う新リサイクルセンター及び火災により焼損した東部クリーンセンター粗大ごみ処理施設について、着実に建設工事の進捗を図ってまいります。
また、岐阜羽島衛生センター次期ごみ処理施設整備につきましても、引き続き、組合構成市町と連携しながら着実に事業を推進し、ごみの広域処理体制の再構築に努めてまいります。

交通環境づくりの推進

次に、交通環境づくりの推進について申し上げます。
交通政策につきましては、本年度中に策定いたします「第3次岐阜市総合交通戦略」に基づき、「公共交通を軸にコンパクトにまとまった、いつまでも住み続けられるまち」の実現に向け、諸施策を推進してまいります。
新年度は、より利便性の高い路線バスの利用環境を実現するため、バス事業者が行うJR岐阜駅の総合的なバスロケーションシステムの設置に対し支援を行ってまいります。
また、地域の日常生活の足となるコミュニティバスにつきましては、市内20地区目となる岩野田・岩野田北地区での試行運行を開始するとともに、新たに小型車両を活用して、これまで道路事情などで走行できなかったエリアを補完する「サポート便」を導入してまいります。
トランジットモールにつきましては、将来的な中心市街地の道路空間のあり方を見据え、これまでに得たノウハウを活かし、新年度は、本市の都市の軸となる金華橋通りで実施してまいります。
加えて、地域公共交通における自動運転技術の活用に向け、道路管理者や警察等の関係機関のほか、交通事業者などで構成する研究会を立ち上げ、近い将来の実装に向けた連携体制を確立してまいります。
本市におきましては、急速な人口減少や、深刻化する運転手不足の中にあっても、持続可能な地域公共交通の構築を目指してまいります。
一方、名鉄高架事業につきましては、慢性的な踏切渋滞や市街地の分断などの諸問題を解消するとともに、鉄道沿線の一体的なまちづくりに資するものとして、早期事業化への期待が年々高まっております。
新年度は引き続き、県、名鉄と連携し、早期事業化に向けて進捗を図るとともに、高架化や加納・茶所統合駅周辺土地区画整理事業などに要する財源として、鉄道高架事業基金に所要の積立を行ってまいります。

都市づくりを支え推進する行財政運営

最後に、「都市づくりを支え推進する行財政運営」について申し上げます。

組織機構、業務の効率化、行政サービスの充実

職員定数及び組織機構につきましては、先に申しましたように、岐阜市民病院の医療体制の充実や、消防広域化に伴う派遣職員の身分統一など、市民目線に立った施策を機動的に実行できる体制強化を図る一方で、嘱託化などにより、一層のスリム化を進めてまいります。
あわせて、障がいのある方を対象に、在宅で勤務ができる「テレワーク」を導入し、障がいの特性や程度に応じた働き方の可能性を広げ、障がい者雇用を促進してまいります。
さらに、より一層の業務の効率化を図るため、新たに市税の賦課徴収業務において、定型的な業務をロボット技術により自動化する、いわゆる「RPA」の導入に向けた実証実験を行ってまいります。
次に、行政サービスの充実でありますが、現在、建設を進めております新庁舎におきまして、各種届出や証明書交付の窓口を集約し、ワンストップでサービスを提供する「総合窓口」の設置に向け、引き続きシステム構築などを進めてまいります。
さらに、2021年春の開庁に向け、新庁舎の運用や活用策を包括的・体系的にまとめた「新庁舎運用計画」を策定するとともに、移転準備に着手してまいります。
一方、現庁舎の市民課窓口におきましては、ICTの活用により待ち時間の短縮が可能となる証明書申請受付システムや、行政用語に対応した翻訳アプリを導入し、窓口の混雑緩和を図るとともに、今後増加が見込まれる外国人住民に対応してまいります。

公共施設等の最適な管理及び運営

また、公共施設等の最適な管理及び運営につきましては、今後見込まれる公共施設等の更新等にかかる膨大な財政需要や、人口減少など社会環境の変化に伴う利用動向に対応し、市民の皆様に将来にわたりよりよい公共サービスが提供できるよう、引き続き公共施設等マネジメントに取り組んでまいります。
新年度は、建物の健全性を調査する公共施設劣化度調査を継続し、計画的な維持・更新を行うための保全計画の策定に向けた状況把握に努めてまいります。

行政連携の推進

一方、少子高齢化と東京圏への一極集中による人口減少が地方自治体にとって最大の課題となる中、基礎自治体同士が連携して人口流出に歯止めをかけ、地域全体の活力と持続性を高める取り組みが重要であります。
こうした中、本市におきましては、近隣3市3町と「岐阜連携都市圏」を形成し、昨年3月に策定した「岐阜連携都市圏ビジョン」に基づき、様々な連携事業を展開しております。
新年度におきましても、連携事業のさらなる拡大を図り、未来を見据えた広域連携を推進してまいります。

シティプロモーションの推進

さらに、岐阜市が市内外の人々から選ばれる都市となるため、市内外へのシティプロモーションを強化してまいります。
とりわけ、本市からの転出が最も多い名古屋都市圏に向けて、テレビ、ラジオ、フリーペーパーなど、多様な媒体を活用し、それぞれの特性を活かした効果的なプロモーションを展開することで、本市の認知度向上を図り、住む人・来る人・働く人の増加につなげてまいります。
さらに、最新技術を活用して、本市の魅力をストーリー性のある映像により紹介するプロモーション映像を制作し、首都圏のほか、駅、イベント会場などのPR効果の高い場所で活用してまいります。
あわせて、目的に応じた効果的な情報発信を行うための具体的方策を示す「シティプロモーション戦略」を新たに策定し、全庁一丸となって取り組んでまいります。

おわりに

以上をもちまして、市政に対する所信の一端と平成31年度の主な施策の大要を申し述べました。
冒頭でも申しましたように、「住む人・来る人・働く人を増やす成長都市」の実現に向け、岐阜が大きく“躍動”していくよう全力を尽くしてまいる覚悟でありますので、議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、予算に関係いたします条例なども提案いたしておりますが、それぞれ提案理由が付記してありますので、よろしく御審議の上、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

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