賃貸住宅の退去時の原状回復トラブル防止
春や秋の引越しシーズンともなると、消費生活センターには「アパートの退去時、高額な補修費を請求された」など、退去時の原状回復の費用負担をめぐるトラブルに関する相談が多く寄せられます。
新年度からの就職や転勤などに伴い、賃貸住宅への入居や退去予定の方も多いかと思いますので、トラブルの未然防止のために情報提供します。
事例
アパート退去時の立会い後、預けた敷金20万円のほかに原状回復費用として22万円の請求を受けた。不動産会社からは畳の交換代やクロスの張替えなどは借主負担になっていると言われたが、支払わなければいけないのか。
相談者:40歳代 男性
アドバイス
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、民間賃貸住宅について、借主の故意・過失や手入れなど管理が悪くて生じた損耗などについては借主が負担すべき費用と定義し、経年劣化や通常の使用による損耗などの修繕費用は賃料に含まれるもの(貸主負担)としています。
(参考)国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
平成16年2月国土交通省住宅局が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(改訂版)を示しました。主な改正のポイントは下記のとおりです(平成23年8月に再改定版を公表)。
- 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化。
- 賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損については賃借人に原状回復義務がある。
- 経過年数を考慮に入れる。
- 原状回復は可能な限り毀損部分に限定し、その補修工事はできるだけ最低限度の施工単位を基本とする。
なお、これはあくまでもガイドラインで法的拘束力はありません。一方、消費者契約法では、消費者契約の解除に伴う損害賠償について、平均的な損害の額を超えるものは無効としています。上記ガイドラインを参考にしながら、請求明細と照らし合わせて、話し合いを進めてください。話し合いでも合意が得られない場合は、調停や少額訴訟を利用して解決を図る方法があります。
また、退去時のトラブルの未然防止のため、入居時や退去時の立会いの際に室内の写真を撮り、契約書の写しや重要事項説明書など証拠になりそうなものは手元に残しておきましょう。
※その他、消費生活で困ったことがありましたら、早めに市消費生活センターへご相談ください。
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