WLB vol.11
WLB SPECIAL Career Support
社員1人ひとりのキャリア実現を応援! 企業に求められるキャリア支援
少子高齢化が進み、労働人口が減少する中、新たな人材の確保や既存の人材の定着率向上は、企業にとって喫緊の課題となっています。そこで注目されているのが、社員1人ひとりの成長を支援する「キャリア支援」の取り組みです。今回は、企業がキャリア支援に取り組むべき理由やポイントとともに、岐阜市内の企業における取り組み事例を紹介します。
キャリア支援とは?

「キャリア支援」とは、社員1人ひとりが自らの適正や価値観に合わせて、将来に向けたキャリアビジョンを描きながら成長していけるよう、企業が支援する取り組みです。取り組みを通じて社員の自己成長を目指し、ひいては組織の発展へとつなげることを目的としています。
なぜ企業にキャリア支援が必要?
キャリア支援の重要性が高まっている背景には、近年、働き方やキャリア形成における価値観が多様化していることが挙げられます。終身雇用や年功序列など、これまで一般的だった雇用の考え方が変化する中で、働く側にとってもキャリア形成への関心が高まっています。また、女性の社会進出や多様な働き方が進められるに伴い、自分の価値観やライフステージを踏まえて、1人ひとりに合ったキャリアを実現することが求められています。そのため、人材に選ばれる企業を目指すには、キャリア支援が大切な取り組みの1つとなっています。
企業がキャリア支援に取り組むメリットは?

キャリア支援への取り組みは、企業にとってもさまざまなメリットをもたらします。社員が自分自身の長期的なキャリアプランを具体的に描くことは、仕事へのモチベーションを高め、離職率の低下にもつながります。少子高齢化で若手人材の確保が困難になる中で、既存の社員に意欲的に長く働いてもらえる環境を整えることが、結果として企業の組織力や競争力を高め、持続的な価値向上を実現します。また、こうした取り組みをしていることが、企業のイメージアップの要因となり、ブランド力を高めることにもなります。
キャリア支援にはどんな取り組みがある?
キャリア支援には、大きく3つの取り組みがあります。
それは、キャリアプランを描く支援、学びを深める支援、そして実際のキャリアを築く支援です。
キャリアプランを描く支援
- 上司や経営者との定期的な面談
- キャリアプランの策定支援
- 専門家によるキャリアコンサルティング
- キャリアに関する相談窓口の設置
学びを深める支援
- スキル習得のための研修
- 資格取得や自己啓発に対する支援
- スキルアップに対する手当や報奨金制度
キャリアを築く支援
- 希望する部署や職域へのキャリアチェンジ支援
- ジョブローテーション制度
- 先輩社員が指導や助言を行うメンター制度
Career Support 01
たんぽぽ薬局株式会社

事務職キャリアアップの可能性を広げる新たなロールモデルに
未経験から医療事務に挑戦 経験を積んで管理職に
サポートする「センター入力室」
全国で保険調剤薬局を経営するたんぽぽ薬局株式会社で、店舗の医療事務従事者に対するサポートを行う医事運営課の課長を務める萱原知映さんは、2002年に中途採用で入社しました。医療事務の経験がなかったことから、働きながら資格を取得し、関西圏の店舗に配属。在庫管理や発注業務など、薬剤師のサポート業務を経験後、2016年にエリアごとの店舗をまとめるMSリーダーに昇格して、8年間、現場の管理や指導にあたりました。
その実績が評価され、萱原さんは2024年に本社内にある薬局事業本部業務サポート部の医事運営課課長に抜擢。萱原さんは関西在住のため、ウェブ会議を活用し、週に数回、本社のある岐阜に通う働き方で、課長職を務めています。実は、それまでたんぽぽ薬局株式会社では、薬局に勤める事務職の到達点となるキャリアがMSリーダーでした。各地域の店舗に勤務する従業員は、本社勤務が難しい場合も多く、その先のキャリアパスが課題となっていたといいます。そんな中での萱原さんの昇進は、事務職におけるキャリアアップの可能性を広げ、新たなロールモデルになると期待されています。
個々の希望や興味を実現できる環境を整備
薬剤師や医療事務など、専門性の高い職種が多いたんぽぽ薬局株式会社では、年に1回、自分のキャリアや資格取得などの希望を聞く「自己申告制度」が設けられています。たとえば、接客を評価するサービス接遇検定の合格者から、各店舗での研修を担う講師にステップアップしたり、管理栄養士の資格をいかして、店舗で栄養相談を行ったりと、個々の意欲を実現できる環境が整えられています。萱原さんも、薬局を訪れた患者さんの質問にすぐ返答ができるようになりたいと、一般用医薬品販売の登録販売者資格を取得したといいます。
現在、萱原さんは医事運営課だけでなく、本部で各店舗の処方せんデータの入力をサポートする「センター入力室」の室長を兼務。このセンターは、店舗の人手不足解消に向けた、たんぽぽ薬局株式会社の新たな試みでもあります。萱原さんは「店舗の従業員が対人業務や自己研鑽に集中できるよう、店舗業務を支えるのが目標です。そのために、私自身もさらにステップアップしていきたいと思います」と、熱意を持って日々の業務に取り組んでいます。

総務人事本部 人事部 川口秀人 部長
(メッセージ)
2024年から人事制度が改定され、職域を問わず本社の総合職を目指せる新たな選択肢ができました。こうしたキャリア支援の情報を積極的に発信し、多くの従業員に活躍の幅を広げてほしいと思います。
Career Support 02
社会福祉法人豊寿会

働き方も学びも自主性を重視 1人ひとりの志を支えるステップアップ支援
意欲や家庭状況に合わせて徐々に働き方をチェンジ
新たな企画も提案
高齢者や障がい者、児童と幅広い福祉事業に携わり、地域福祉の向上に取り組んでいる社会福祉法人豊寿会。その中で、入職16年目を迎える光村美香さんは、さまざまな事情を抱えた母親の自立支援や子どもの教育援助を行う母子生活支援施設「きーとす岐阜」で、子どもたちに寄り添う個別対応職員として働いています。
人と接することが好きで、以前は接客業をしていた光村さんは、転職を考えた際、子どもとふれ合う仕事に興味を持ち、2009年に同施設に入職しました。最初はパート勤務でしたが、個々に異なる特性を持つ子どもたちと向き合うこの仕事に魅力を感じ、自身の家庭状況に合わせて、契約職員、そして正職員へとキャリアチェンジ。その間に、実務経験を積み重ねて、通信教育で保育士の資格も取得しました。
社会福祉法人豊寿会では、未経験でも入職後に資格取得できるよう、受験費用の半額補助や取得時のお祝い金支給などの支援制度が設けられており、職員は保育士や社会福祉主事、介護福祉士など、多様な資格にチャレンジしています。また、生活全般にわたって母子を支援するためには、虐待やDVなどで傷ついた子の心理的援助や発達障がいの対応、性教育など幅広い知識が必要になります。そのため社会福祉法人豊寿会では、職員の希望に合わせて、勤務時間内に外部研修を受講できるようにしたり、他施設の職員と交流を持ち、情報交換ができる機会を創出したりと、自主的な学びを積極的に後押ししています。
サブリーダーの立場で新たな試みにも挑戦
光村さんは、2025年4月から施設内でサブリーダーの役割を担い、職員の仕事の割り振りや行事の企画などに取り組んでいます。毎年、地域住民も参加して行われている夏祭りでは、退所した子どもたちも招待することを提案し、実現に至りました。招待を受けて参加した子どもたちからは、「実家に帰ってきたようで安心する」という声も聞かれ、成長した姿で地域の方々とふれ合う機会も持つことができました。「子どもたちが、徐々に学校へ行けるようになったり笑顔が増えたりするのを見ることが、一番のやりがい。施設にいる子はもちろん、退所後もつながりを持ち、いつでも頼ってもらえる場所になればと思っています」と、笑顔で子どもたちと向き合っています。

玉木ひとみ 施設長
(メッセージ)
福祉の仕事において、職員1人ひとりがモチベーションを持ち続けることは、非常に重要です。自分の考えや対処法を見直すためにも、他施設との交流や外部研修に参加する機会を大切にし、学びへの意欲を支援しています。
Career Support 03
丸成林建設株式会社

得意なことや興味のあることを積極的に応援し、活躍できる環境を整備
女性を積極的に採用して幅広い学びを後押し
土木工事や災害復旧工事などを手がける丸成林建設株式会社は、近年、女性を積極的に採用しています。8年前からは、女性社員による「女性活躍推進プロジェクト会議」を年2回実施。女性目線で意見を出し合い、働きやすい環境づくりにつなげています。
総務部の松久美菜子さんは、2016年に同社に入社。当初は事務職として勤務していましたが、現場の仕事にも興味を持ち、現場監督のサポートにも従事。さらに、資格取得にかかる費用を支援する制度を活用して、建設業経理士や土木施工管理技士、社会基盤メンテナンスエキスパートなどの資格に次々とチャレンジしました。また、前職でデザインに携わっていたことから、ホームページ制作の知識を学び直し、現在はサイトやSNSを運営して、採用活動につながる情報発信を担当。その結果、若手女性社員の入社にもつながりました。「やってみたいと思ったことは、どんなことも後押ししてくれる雰囲気があり、働きながら多くのことを学ぶことができました。これからファイナンシャルプランナーや社労士などの知識も学び、仕事の幅を広げていきたいです」と、松久さんは働きがいを伝えます。
活躍の場を拡大し現場のICT化を推進
2019年に入社した武内江美さんは、体を動かす仕事がしたいと建設現場で働くことを希望し、土木部に配属。入社後は、すぐに建設機械の免許を取得し、現場で活躍しています。また、近年は建設現場でもICT化が進み、パソコンで作成された図面データを建設機械で読み込み、機械を自動で制御して作業を行うICT建機の活用も進められています。パソコンでの作業に長けていた武内さんは、そうした作業でもスキルを発揮しています。
今後、丸成林建設株式会社では、武内さんを中心に現場のICT化をサポートする部署も新設される予定。自身の得意分野をいかせる環境に、武内さんは「前の職場では、女性がなかなかキャリアアップできない環境で、やりたい仕事を諦めたこともありました。その点、ここでは新しいことにも挑戦できるので、仕事へのモチベーションにつながっています。早くスキルアップして、会社に貢献していきたいです」と、前向きな姿勢を見せています。丸成林建設株式会社では、これからも女性の職域や活躍の場を広げていきます。

林茂樹 代表取締役
(メッセージ)
キャリア支援は、会社から勧めるのではなく、あくまで個々のやる気に任せています。意欲ある女性社員の力を最大限にいかせる環境をつくり、活躍の場を広げることで、建設産業のイメージを改革していければと思っています。
令和7年度 岐阜市男女共同参画優良事業者を表彰!
岐阜市では、性別にかかわらず1人ひとりが個性と能力を発揮できる男女共同参画の推進に、顕著な功績があった事業者を岐阜市男女共同参画優良事業者として表彰しています。令和7年度は2者が表彰されました。
岐阜市男女共同参画優良事業者表彰式が行われました

令和8年2月6日、みんなの森 ぎふメディアコスモスで、令和7年度岐阜市男女共同参画優良事業者表彰式が開催されました。令和7年度は、ケーブルテレビ事業を中心とした情報通信業を行うシーシーエヌ株式会社と、保険総合コンサルティングや損害保険代理業を行う株式会社アルファ・パートナーが受賞されました。表彰式では、伊藤英明代表取締役社長と大西秀樹代表取締役が登壇し、柴橋市長より表彰楯が授与されました。
その後、両者はそれぞれが実施している取り組みを紹介。シーシーエヌ株式会社の伊藤氏は「今後も、従業員のライフステージに応じたニーズに寄り添い、安心して能力を発揮できる働き方の実現を目指したい」と熱意を伝え、株式会社アルファ・パートナーの大西氏も「できることを1つずつ実行して、元気に住みたいと思える岐阜市のまちづくりに貢献したい」と、今後の目標を語りました。
柴橋市長は「さまざまな取り組みを実践している企業の思いや事例が伝わることで、働きがいや働きやすさがあふれる岐阜市になる。今後もこうした企業の輪が広がってほしい」と、岐阜市男女共同参画優良事業者の活躍に期待を寄せました。

シーシーエヌ株式会社
代表取締役社長 伊藤英明 氏
従業員で結成したワーキンググループの活動により、結婚・出産後も働き続けられるよう育児休業の延長、育児・介護短時間勤務における選択できる勤務時間の拡充、ファミリーサポート休暇の新設などの制度を整えました。また、従業員のライフスタイルの変化に配慮し、年次有給休暇の請求時効を3年に延長、家族の転勤などやむを得ない事由で退職した従業員を再雇用できるジョブリターン制度を導入しました。さらに、性別特有の健康課題に関する研修も積極的に開催しています。

株式会社アルファ・パートナー
代表取締役 大西秀樹 氏
コロナ禍前から子連れ出勤を導入し、子育て中の従業員が安心して働ける体制を整備しています。また、中学生の子どもを育てている女性の希望を踏まえ、短時間正社員として採用するなど、個々のライフスタイルや要望が尊重され、柔軟に対応する環境が整っています。さらに、毎月の美化活動のほか、小中学校での防災授業・SDGs講話・職業講話や、社会福祉法人との防災運動会、地元神社への鈴の奉納等、社会貢献活動も積極的に行っています。

教えて!今さら聞けない注目ワード
時代に即した取り組みを進めるために、社内のWLB推進に役立つキーワードをご紹介します。
健康経営
従業員の健康サポートを企業価値向上への経営戦略に

健康経営とは、従業員の健康を保持・増進するための取り組みです。将来的に収益性や生産性など、企業の価値を高める投資であるという考えのもと、従業員の健康管理を経営的視点から捉え、戦略的に実践することを指します。人手不足が深刻化する中、従業員が心身の不調によって欠勤することになれば、企業にとっても大きな損失となります。反対に、心身が健康であれば、高いパフォーマンスを発揮することができ、活力や生産性の向上、組織の活性化などにつながって、企業全体の業績がアップすることも期待できます。
健康経営は人材確保やブランド力向上にも貢献

近年は、就職活動を行う若い世代の間でも、就職先を決める際に健康経営を行っている企業に注目する動きも出ており、人材の確保につながるイメージアップになります。さらに、健康で安心して働ける環境を提供することで、離職率を抑えることもできます。健康経営に取り組んでいることを発信することで、消費者や取引先、金融機関や投資家にも選ばれる企業になります。
アンコンシャス・バイアス
無意識に抱いている思い込みに気づくことが大切!
私たちの中には、これまでの経験や見聞きしたことなどから、自分では気づかないうちに抱いている「思い込み」があります。これを「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)」といいます。アンコンシャス・バイアス自体は、誰もが抱くものなので、けっして悪いことではありません。しかし、自分自身がそうした思い込みを持っていることに気づかないままでいると、周りの人を傷つけたり、可能性を狭めてしまう場合があります。意図せず誰かを傷つけてしまうことがないように、まずは自分が抱くアンコンシャス・バイアスに気づくことが大切です。
性別に対する固定観念が差別につながることも
アンコンシャス・バイアスの中でも、ジェンダーに関わるものを「ジェンダー・バイアス」といいます。ジェンダーとは、社会や文化の中でつくられた「女らしさ」「男らしさ」のイメージで、無意識のうちに「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」という思い込みが生まれてしまうことがあります。ジェンダー・バイアスは、性別による差別にもつながるため、男女共同参画に取り組む際には、特に気をつけておきたいポイントです。
※ここでは学術的な用語として用いていません。

岐阜労働局からのお知らせ
すべての企業でカスハラ・就活セクハラ対策が義務化
令和7年6月に労働施策総合推進法等の一部改正法が公布され、カスタマーハラスメントや、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります!(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
カスタマーハラスメント対策の義務化
カスタマーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。
- 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、
- 社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
- 労働者の就業環境を害すること。
求職者等に対するセクハラ対策の義務化
求職者等(就職活動中の学生やインターンシップ生等)に対しても、セクシュアルハラスメントを防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務となります。(いわゆる「就活セクハラ」)
※事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針において示す予定です。
令和7年10月18日 岐阜県最低賃金 時間額1,065円 改正
岐阜市男女共同参画優良事業者 表彰事業者一覧
令和7年度までの表彰事業者は下記リンクからご覧いただけます。
ワタシらしく、はたらこ。
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ワーク・ライフ・バランス
vol.11 2026年2月発行
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