WLB vol.10

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1031484  更新日 令和7年3月12日

印刷大きな文字で印刷

THE CHANGING OF WLB

WLBという考え方が社会に浸透し、企業がその実現に向けて取り組み始めたのは、国が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と行動指針を策定した2007年頃からといわれています。そこから今に至るまで、時代とともに私たちの働き方や価値観は大きく変化し、企業が進める取り組みも多角的に広がってきました。そこで今回は、これまで紹介してきた岐阜市内の企業の取り組み、その背景にある課題やニーズを振り返ります。

時代とともに変化してきたWLBのカタチを振り返る

TERM01 女性の社会進出・復帰を推進する取り組みが拡大

少子高齢化が進み、企業における人出不足が深刻化する中で、結婚・出産によって仕事を続けたくても続けられない女性の社会進出・復帰を後押しする制度や取り組みが増加。保育園や病児・病後児保育利用時の保育料補助や、半日や時間単位で取得できる子どもの看護休暇を設けるなど、子育てと仕事の両立を支援する制度を設ける企業が増え始めました。

アピ株式会社の取り組み

あぴっこランド

事業所内保育施設「あぴっこランド」を設置

2011年に池田町、2014年には本社周辺に保育施設を開設。パート従業員を含めた全従業員が利用可能で、生後6カ月から小学校就学前までの子どもを預けることができます。送迎や園行事など男性従業員の参加も増えています。


TERM02 女性目線で働きやすさを考えた職場環境改善が加速

結婚後も退職せず働き続ける女性が増えたことで、女性目線で職場環境を見直す取り組みが活発化しました。女性従業員主体の委員会を設立して制度整備への提案を行ったり、部署をこえて女性従業員同士が交流できる機会を設けたりと、女性の働きやすさ向上に注力。育児休暇取得後にスムーズに復職できるよう支援する動きも見られました。

株式会社市川工務店の取り組み

市川工務店

女性技術者の会「けんけんぱ」を発足

2015年2月から女性技術者を集めて意見交流や女性目線での環境改善などを行う「けんけんぱ」を発足。これまでに女性のみでの現場巡視も行い、現場への女性専用トイレ・更衣室の設置や作業服の見直し、リフレッシュルームの提案などを行っています。


TERM03 ライフステージに合わせて女性のキャリアアップを支援

女性活躍を促す取り組みの結果、結婚や出産などを経験した後の就労継続や職場復帰もできるようになり、長く働き続けられる環境が整備されました。その結果、「子どもの成長に合わせて正社員として働きたい」「資格を取得してキャリアアップしたい」という女性をサポートする取り組みも増加。ライフステージごとの柔軟な雇用形態の変更も可能になりました。

株式会社笑顔いちばんの取り組み

笑顔いちばん

働き方を柔軟に選択できる制度を充実

介護の専門学校を運営し、働きながら資格取得を目指す従業員には、自己負担ゼロで受験勉強ができる体制を整えています。子育て中はパート勤務で働き、その後は正社員に登用する制度もあり、パート勤務からスタートして、女性管理職になった従業員もいます。


TERM04 性別を問わず家庭との両立を推進し男性の育児参画を後押し

2021年に育児・介護休業法の改正、2022年には産後パパ育休制度が創設され、男性の育児休業取得を進める機運が高まりました。それに伴って、休みやすい環境をつくるため、業務の効率化や共有化などの働き方改革もさらに加速。男性従業員向けの育児講座や家族を招いた職場見学などを行い、互いの家庭環境を尊重し、思いやる風土づくりに取り組む企業も増加しました。

株式会社日本キャンパック岐阜工場の取り組み

冊子

男性が育児休暇を取得しやすい環境を整備

2020年に初の男性育休取得者が出たことを機に、男性育休の研修会を開催。取得の流れを掲示したり、休憩室に育児書籍を設置したりして取得を促しています。また、短期なら取得しやすいと考え、2週間以内の育休取得者には1週間の特別有給休暇を付与しています。


自社の課題に合ったWLBの取り組みを!

みんなで話し合いのイラスト

一言でWLBに向けた取り組みと言っても、企業の規模や業種などによって、必要な取り組みはさまざまです。自社に適した取り組みを行うためには、まず現状の働き方やその課題、従業員のニーズなどを見つめ直し、それぞれに合った制度や風土づくりに取り組むことが大切です。この冊子に紹介されているような他社の事例を参考に、独自の取り組みにチャレンジしてみてください。


さらなるWLB推進のヒントをつかもう!

株式会社 ディマンシェ

株式会社ディマンシェ

女性が活躍できる環境づくりから誰もが働きやすい職場へ

結婚・出産後も働き続けられる環境を

 オーダーメイドカーテンなどインテリア商材の製造・コーディネート・販売を行う株式会社ディマンシェは、女性社員が約8割を占めています。しかし、お客様に合わせて土日や夜に打合せが入ることもあり、家庭との両立は難しいと、結婚や出産を機に退職する社員も少なくありませんでした。そこで同社は、出産後も仕事と家庭を両立しながら働ける環境づくりに取り組み始めます。

オフィスの様子

 まず全社員にアンケートを実施し、必要な改善点を調査。その結果から、妊娠から育休取得、職場復帰までの備えを記した企業版母子手帳「ディマンシェスタイル(仕事と家庭の両立支援ハンドブック)」を作成しました。育休取得後の復帰時には、1人ひとり面談を行い、職種変更や小学校3年生まで選択できる時短勤務など、希望の働き方をしっかりと話し合いました。その結果、現在では育休取得率・職場復帰率ともに100%となりました。
 さらに、個々が目指す職種や階級、それに必要な能力や給与などを明記した「キャリアアップパスプラン」を設定。目標を明確化し、半年に1度の面談で見直しや評価をすることで、将来のキャリアを考え、モチベーションを高める機会となっています。

メンタルヘルスや男性の育児参画を推進

 「働きやすい環境整備に力を入れたことで就職希望者が増加し、採用にもいい効果が出ています」という同社では、さらに社員1人ひとりに寄り添うため、AIでメンタルの状態を把握するシステムを導入。白木希佳代表取締役社長は「早期に社員の悩みに気づいて声がけにつなげるほか、キャリアアップパスプランを活用して、適材適所での活躍を促していきたいと考えています」と今後の展望を語ります。
 また育休から復帰した社員の様子から、育児や家事における女性の負担がとても大きいと感じているという三輪里佳常務取締役は、性別を問わず育児に参加できるよう、「平等に育児に参加できる仕組みを提案・推奨していきます」と話し、さらに家庭との両立支援を行っていく姿勢です。

next step


株式会社 リーピー

株式会社リーピー

DXによる業務効率化により働きやすさの追求から働きがいの創出へ

ユニークな福利厚生や柔軟な働き方を採用

 ウェブサイトの制作や運用代行など、ITを活用した多様なサービスを展開する株式会社リーピーは、子育て世代の社員が多かったことから、設立当時から家庭と両立しやすい柔軟な働き方を採用。ライフスタイルに合わせて働ける「裁量労働制」や、年間休日130日の公休日を自由に設定できる「フリーシフト休」などを取り入れたほか、男性社員に計10日以上の育児休業取得を義務化し、育児参加を促しました。その結果、多くの社員が積極的に育児に参加し、育休取得率も100%を維持しています。
 さらに、アイディア創出につながる美術館や映画の鑑賞費用を補助する「アート感じる制度」や、パソコン用のメガネ購入費の一部や目薬を支給する制度、副業を可能とする制度など、ユニークな福利厚生を次々と創設。個々が希望する働き方を叶えられる職場づくりに努めてきました。

休日や給与の増加へ業務効率化を加速

株式会社リーピー社員

 こうした働きやすい職場環境が採用にもつながり、現在、社員は約60名に増加。それに伴って、人材紹介や採用代行など事業の幅も拡大しました。コーポレートデザイン部でマネージャーを務める金森建さんは、「会社も次のステージを目指す時期と考え、2024年に従来の福利厚生をすべて廃止しました。代わりに成果を給与として還元することや、年間休日を140日に増やすことなどを目標に掲げ、安心して永続的に働ける職場づくりを進めています」と、新たな試みを伝えます。
 その達成に向けて、同社ではさらなる業務効率化のため、専任のシステムエンジニアによる「DXデザイン部」を設立。生成AIやRPAなどの技術を活用して、書類作成や入金チェック、請求書の送付など定型業務の自動化システムを構築し、約1000時間の業務削減を実現しました。金森さんは「作業が減ることで、お客様に寄り添う時間や本業に集中できる時間が増え、顧客満足度も向上しています。これからも現状に固執することなく、常に必要な仕組みを取り入れていきます」と、働きがいのある職場への変革に意欲を見せています。

next step


令和6年度 岐阜市男女共同参画優良事業者を表彰!

今年度も岐阜市男女共同参画優良事業者が決定し、2者が表彰を受けました。ここでは、令和7年2月3日にみんなの森 ぎふメディアコスモスで行われた表彰式の様子をお伝えします。

表彰を受けた2者が取り組みを紹介

優良事業者2者

 表彰式では、岐阜市男女共同参画優良事業者に選ばれた、寺嶋建設株式会社の工務部 岩田由紀氏と社会保険労務士法人きんかの代表社員 西田真琴氏が登壇し、柴橋市長より表彰楯が授与されました。
 その後、両者はそれぞれ実施している取り組みを紹介。寺嶋建設株式会社は、子連れ出勤や長期休暇の取得推進など、ライフスタイルを考慮した取り組みに注力。また、健康診断に加えて追加受診や再検査も全額負担していることを伝えました。社会保険労務士法人きんかは、パートを含む全社員に資格取得の受験料や教材費を負担し、キャリアアップを支援。さらに、在宅勤務やリモートワークなど柔軟な働き方を選択可能としている点を紹介しました。
 柴橋市長は、「寺嶋建設株式会社では、社員主体で職場づくりの話し合いを行っており、今後の人材確保・定着につながる効果的な取り組みが実現していると感じた。社会保険労務士法人きんかが行うキャリアアップ支援は、多くの人の経済的自立や優れた人材の流出防止にも寄与する取り組みで、岐阜市の大きな力になる」と感想を述べ、今後も市内事業者のリーダーとして活躍してほしいと、エールを送りました。

表彰式の様子
それぞれの事業者の取り組みを紹介

寺嶋建設株式会社

工事現場の様子

寺嶋建設岩田氏

男性が多い職場の中で、業務に関係する資格取得の費用を全額負担するなど、女性の雇用推進、資格取得についても後押ししています。また、家庭を持つ従業員が多く、連続して休暇を取得できるよう配慮しています。フレックスタイム制、短時間勤務制を設け、子どもの送り迎えなど家庭の状況にあわせて働ける体制づくりに努めています。さらに、地域の清掃活動を行い、地域連携として中学生の職場体験の受け入れなど、地域貢献活動も積極的に行っています。


社会保険労務士法人きんか

職場の様子

代表社員西田氏

従業員の資格取得費用を全額負担し、資格手当を支給することでスキルアップに取り組めるような支援を行っています。また、子どもの行事や体調不良などに応じて、時差出勤や在宅勤務の働き方を選択できるなど、従業員が仕事と家庭を両立することができ、働き続けられるような制度の整備に努めています。さらに、女性のキャリア形成の一環として、社外の研修会にも積極的に参加できるよう配慮しています。


令和6年度までの表彰事業者は下記リンクからご覧いただけます。


今さら聞けない注目ワード「アンコンシャス・バイアス」

アンコンシャス・バイアスってなに?

疑問を持つ人のイラスト

アンコンシャス・バイアスとは、自分では気づかないうちに抱いている「思い込み・偏見」を指し、特に社会の中でつくられた「女性らしさ」「男性らしさ」のイメージに基づく思い込みや偏見を「ジェンダー・バイアス」といいます。これ自体は、これまでの経験や見聞きしてきたことなどから生み出され、誰でも抱いているものなので、悪いことではありません。しかし、気づかないままでいると、自分や周りの人の可能性を狭めてしまったり、傷つけてしまったりする場合があります。まずは、自分が抱くアンコンシャス・バイアスに気づくことが大切です。

企業がアンコンシャス・バイアスに気をつけなければいけないのはなぜ?

 近年、1人ひとりの顔や性格が違うようにさまざまな価値観や考え方があることを認め、多様な人材の活躍を促すことで新たなイノベーションや価値創造を生み出す「ダイバーシティ経営」が注目されています。しかし、年齢や性別、国籍など個々の特性に対するアンコンシャス・バイアスが、ダイバーシティの推進を阻害する場合があります。そうならないために、1人ひとりを尊重した声のかけ方や対応を考えてみましょう。

みんなでひらめくイラスト


アンコンシャス・バイアスに関する川柳の受賞者が決定!

 岐阜市では、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別に関わりなくその個性と能力を十分に発揮できる、誰もが生きやすい「男女共同参画社会」の実現を目指して、さまざまな取り組みを推進しています。令和6年度は、男女共同参画社会を身近に感じてもらうため、性別に関するアンコンシャス・バイアスの川柳を募集。多くの方から気持ちのこもった作品が寄せられました。

受賞作品は下記リンクからご覧いただけます。


岐阜労働局からお知らせ

仕事と育児・介護 もっと両立しやすく法改正!

改正法のポイント 全企業が対象

岐阜労働局イラスト

  • 所定外労働の制限(残業免除)の対象期間が小学校就学前までに拡大
  • 「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」へ見直し(事由の追加、対象期間が小学校3年生修了までに拡大)
  • 介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置の義務化
  • くるみん認定制度が令和17年3月31日まで継続
以下、令和7年10月1日施行
  • 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取や配慮を義務化
  • 労働者の柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化

改正育児・介護休業法・次世代法については、厚生労働省HPをご参照いただくか、 

岐阜労働局雇用環境・均等室へ 電話 058-245-1550


岐阜市が取り組む「ワークダイバーシティ」の推進

岐阜市では、働くことを通じて全ての人に居場所と出番をつくるワークダイバーシティを推進しています。多様で柔軟な働き方の実現により、一人ひとりが持てる力を発揮し、幸せを実感することができるまちを目指して取り組みを進めています。

WORK!DIVERSITY実証化モデル事業

公益財団法人日本財団と連携し、既存の障がい福祉制度の枠組みでは支援の対象とならない様々な働きづらさを抱える方々に対し、就労支援サービスを提供しています。
 

テレワークを活用したショートタイムワーク事業

子育てや介護などの理由で働く時間と場所に制約がある方々に、テレワークで短時間働くという新しい働き方を推進しています。
週20時間未満の短時間の雇用を検討している場合はぜひご活用ください。

超短時間雇用創出事業

障がいがあるなど、長時間働くことが難しい方々の社会参加や自立を推進するため、週20時間未満の雇用である超短時間雇用に取り組んでいます。
企業訪問も可能です。ぜひご活用ください。

関連事業の紹介

岐阜市ワークダイバーシティ&働きがい改革推進協議体

 人々から選ばれる企業を増やし、多様な働き手の活躍によって企業や地域がさらに繁栄することを目的として協議体を設置しました。協議体の理念やベストプラクティスを浸透させ「就労環境に恵まれたまち岐阜市」の認知度を高めます。

岐阜市人材確保サポート奨励金制度

国のトライアル雇用事業(※)に基づき雇用した市内在住者を、引き続き3か月以上常用雇用している市内に所在する事業所に10万円を支給します。

※就職が困難な求職者等を一定期間試行雇用した事業主に助成する制度です。詳細はハローワーク岐阜事業所サービス部門(058-247-3215)にお問い合わせください。

「ワークダイバーシティ」の推進についてのお問い合わせは
岐阜市労働雇用課まで 電話 058-214-2358

 

 

ワタシらしく、はたらこ。
WLB
ワーク・ライフ・バランス
vol.10 2025年2月発行

 



下記QRコードまたはリンクからアンケートにご協力ください。

アンケートのQRコード



より良いホームページにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの情報は役に立ちましたか?

このページに関するお問い合わせ

男女共生・生涯学習推進課
〒500-8701 岐阜市司町40番地1 市庁舎9階
電話番号:058-214-4792 ファクス番号:058-265-8665

男女共生・生涯学習推進課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。