文化的景観保存調査事業
国重要文化的景観 長良川中流域における岐阜の文化的景観
文化的景観は、文化財保護法に「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」と定義されています。つまり、地域の自然と人々の日々の生活によって形成された「身近な景観」ということができます。
日本各地において、棚田などの農村、海沿いの漁村、都市の町並みなどが選定されています。
文化的景観の詳細については、文化庁のWebサイトもしくは奈良文化財研究所景観研究室のWebサイトをご覧ください。
岐阜市の文化的景観の概要
- 選定の名称 長良川中流域における岐阜の文化的景観
- 選定日 平成26年3月18日
- 面積 331.9 ha
- 地区 長良川地区、金華山地区、鵜飼屋地区、川原町地区、旧城下町地区
- 重要な構成要素 長良川、金華山、歴史的な道路・水路、建造物など
※ 重要な構成要素とは、文化的景観を形成し、文化的景観の価値をよく示すものを指します。

地形
長良川は、日本でも屈指の水量と水質を誇る清流です。県下の多くの支流を束ねながら南流し伊勢湾に注ぎます。市域においては、美濃山地と濃尾平野の境界部分に長良川扇状地を形成しました。
金華山は美濃山地の南西端に位置します。標高は329mですが、北側は長良川に接し、南側は大岩壁によって平野部に接していることから、標高以上に高い山に見えます。
岐阜市の文化的景観は長良川扇状地に立地し、鵜飼屋地区と川原町地区は長良川の堤外地に、旧城下町地区は金華山西麓に形成された町です。


歴史
岐阜の町並みの形成は、戦国時代に斎藤道三公や織田信長公によって城下町がつくられ、政治的拠点となったことに端を発します。関ヶ原合戦の前哨戦で岐阜城は落城しますが、町は、江戸時代以降も長良川に形成された川湊を中心とし、商業地として発展し続けました。
明治24年10月28日、町は濃尾地震により壊滅的なダメージを受けますが、人々は道路網などの基盤をほぼ変えることなく復興させ、戦国時代の面影を残す姿を現代に継承しています。


(岐阜市歴史博物館所蔵)
岐阜市の文化的景観の魅力
長良川と人々のつながり
長良川は、戦国時代には合戦の舞台となり、多くの川湊には、材木・和紙・生糸・薪炭・石などが運ばれました。川では現在でも伝統的な川漁が行われ、中でも1300年以上の歴史を誇る鵜飼は6名の鵜匠により継承されています。
その他、祭りや花火大会など、憩いの場として人々の生活の中心になっています。


金華山と人々のつながり
斎藤道三公は金華山の稲葉山城を拠点とし、山麓に居館を建設しました。1567年、織田信長公は稲葉山城を攻め、この地を天下統一の足掛かりとしました。関ヶ原の合戦の前哨戦により岐阜城は落城し、政治の拠点は加納に移りました。江戸時代、金華山は一般の入山が禁止され、尾張藩主の鹿狩りの場となりましたが、明治時代以降には一般に開放され、岐阜城復興天守や三重塔が建設されるなど、金華山は岐阜のランドマークとしてその魅力を増していきます。
現在でも毎日多くの市民が山に登り、山頂からの眺望を楽しんでいます。


町並みと人々の生活・生業
道三公や信長公は、物流の中心となる長良川と防衛機能に優れた金華山に着目し、金華山の西側に町を整備しました。江戸時代以降、この地は商業都市「岐阜町」として経済の中心を担います。川湊に運ばれる材木・和紙・竹などを扱う問屋業が発展し、またそれらを利用した提灯・団扇・傘などの生産も盛んに行われました。
そのような生業を支えた岐阜の町家は、店と敷地の奥にある土蔵の頻繁な通行を可能にするため、土間を広めに作るなどの工夫がなされています。
明治43年、金華山山頂に岐阜城復興天守が建設されると、人々は敷地の中で、山や城が見える位置に本座敷や茶室をつくるようになります。おそらくそこからの眺めにより、大事な客人をもてなしたのでしょう。
また、いつごろから始まったかは不明ですが、地域の人々は通りに面した家屋の木部を、年に数回水やお湯で洗います。こうした習慣により、白木の格子が続く町並みが形成されました。


資料
文化的景観の全覧図(奈良文化財研究所景観研究室作成)
保存計画書
「長良川中流域における岐阜の文化的景観」パンフレット
重要な構成要素個別パンフレット
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このページに関するお問い合わせ
文化財保護課
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電話番号:058-214-2365 ファクス番号:058-263-6631