国史跡 岐阜城跡の概要と関連計画
史跡名称 岐阜城跡(ぎふじょうあと)
所有者 国ほか
所在地 金華山国有林ほか
指定年月日 平成23年2月7日
管理団体 岐阜市(平成23年6月28日)
概要
岐阜城跡は、金華山(稲葉山)に築かれた山城で、稲葉山城、井ノ口城とも呼ばれていました。戦国時代に美濃国を治めた斎藤氏の居城であるとともに、織田信長公が天下統一の拠点とした城としてもよく知られています。
岐阜城跡は岐阜市史跡(昭和32年指定)でしたが、近年の調査によりその歴史的価値が見直されるようになってきました。その成果を受けて国の文化審議会で審議が行われた結果、平成23年2月に国史跡に指定されたのです。これは日本の歴史・文化を考える上で岐阜城跡が高く評価された結果といえるでしょう。
岐阜城の城域は分布調査や絵図・文献史料の検討の結果、現在の金華山国有林の範囲に相当することが分かりました。つまり戦国時代の城域が江戸時代には尾張藩、近代には宮内省の御料林へと受け継がれ、現在の国有林となったのです。今回の指定は山麓の織田信長公居館跡を含めた金華山一帯で、面積は約209ヘクタールとなります。これまで岐阜城跡といえば山頂の天守閣だけが注目されがちでしたが、今回、山麓の居館跡や自然地形も含めて城として機能した山全体が指定対象となりました。
岐阜城跡の歴史的価値
岐阜城跡は山上の城郭部分と山麓の居館部分を中心とした城であり、その間を結ぶ登城路や山中の要所に配された砦、そして何より山そのものが天然の要害として機能していました。岐阜城跡の歴史的価値をまとめると、次の3点に集約されると考えられます。
織田信長公が天下統一の拠点とした城であること。
信長公が岐阜城の後に築城した安土城は近世城郭の出発点ともいわれていますが、岐阜城跡には石垣のほか巨石列を用いるなど、その構築技術に近世の先駆けともいえるさまざまな要素が窺えます。岐阜城跡は中世から近世への転換期にあたる日本史上重要な城といえるでしょう。
ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスらの詳細な記録が残されていること。
岐阜城跡にはルイス・フロイスや山科言継(やましなときつぐ)等が訪れており、その際の記録から城の構造の一端が分かります。文献の記述と遺跡の対比ができる点でも稀有な遺跡といえます。
日本庭園史の中でも貴重な庭園跡が見つかっていること。
山麓の織田信長公居館跡では巨石列だけでなく周囲の岩盤など自然地形を巧みに利用して、全体的に「見せる」ことを意識した造りとなっています。また庭園遺構のうち、最奥部で確認された園池遺構は、池の構造や立地などから京都の東山殿(ひがしやまどの)(現在の銀閣寺)との類似性が指摘されており、将軍の伝統や権威を継承しようとした一面がうかがえます。
史跡岐阜城跡保存活用計画
斎藤道三公による築城以前の金華山(稲葉山)は、和歌に詠まれる景勝地や伊奈波神社と密接に関係する信仰の山として知られており、この地に城が築かれる素地となったと考えられます。つまり、豊かな自然をベースに形成された古来よりの信仰対象や景勝地等の特別な山であったからこそ、戦国時代に至って城郭に利用されたと考えられるのです。また廃城後も尾張藩主の御成(おなり)や鹿狩等の場として、さらに近代以降には岐阜公園と一体でレクリエーションを楽しむ憩いの山となるなど、城跡である金華山はさまざまな利用がされてきました。このように金華山には城跡だけでなく、自然、信仰、景観、公園としての価値があるのです。
岐阜市では、このような金華山の歴史的変遷と価値の重層性を踏まえたうえで、将来にわたり守り伝えるための『史跡岐阜城跡保存活用計画』を令和3年12月に策定しました。今後も大切な地域の宝である岐阜城跡(金華山)の保存活用について、市民の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
『史跡岐阜城跡保存活用計画』は以下からダウンロードできます。
- 史跡岐阜城跡保存活用計画 巻頭、目次、第1章、第2章 (PDF 5.2MB)
- 史跡岐阜城跡保存活用計画 第3章~第5章 (PDF 7.1MB)
- 史跡岐阜城跡保存活用計画 第6章~第7章 (PDF 527.0KB)
- 史跡岐阜城跡保存活用計画 第8章~第12章 (PDF 1.4MB)
史跡岐阜城跡整備基本計画2021-2031
令和3年12月に『史跡岐阜城跡整備基本計画』を策定しました。
戦国時代、織田信長公を訪ねてきた来訪者は、巨石や石垣造りの城に驚き、山上からの壮観な眺めに言葉を失ったと、当時の記録に記されています。平成30 年度から始まった山上部の発掘調査により、今まさに当時の石垣や城郭の姿が判明しつつあり、そのルーツは、信長公の義父、斎藤道三公にさかのぼることも明らかになってきました。
本計画は、斎藤道三公、織田信長公の居城であり、日本遺産の主要な構成文化財でもある国史跡岐阜城跡(平成23 年指定)を保存・活用するための具体的な計画を示したものです。これを新たなスタートとして、官民が連携して岐阜城跡の魅力を全国に発信するとともに、本物志向の観光まちづくりに取り組んでまいります。
『史跡岐阜城跡整備基本計画2021-2031』は以下からダウンロードできます。
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 第1・2章 (PDF 6.7MB)
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 第3・4章 (PDF 7.0MB)
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 第5・6・7章 (PDF 5.8MB)
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 A3資料 (PDF 836.5KB)
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 資料編 (PDF 1.0MB)
- 史跡岐阜城跡整備基本計画 概要版 (PDF 3.1MB)
史跡岐阜城跡整備基本構想
岐阜市では、史跡岐阜城跡の価値と魅力を適切に保存したうえで最大限活用するため、将来にわたっての基本的な整備方針などを示した、「史跡岐阜城跡整備基本構想」を平成25年3月に策定しました。本構想のテーマである、戦国時代の岐阜城跡を追体験できるような史跡となることを目指して、市民の皆様とともに整備活用に取り組んでまいりたいと考えます。
『史跡岐阜城跡整備基本構想』は以下からダウンロードできます。
- 基本構想および概要版がダウンロードできます。
- 概要版は横開き小冊子形式(A3用紙、左綴じの両面刷りで印刷)で作成しています。
- 史跡岐阜城跡整備基本構想 巻頭、目次、第1章、第2章 (PDF 5.6MB)
- 史跡岐阜城跡整備基本構想 第3章、第4章、第5章 (PDF 1.0MB)
- 岐阜城跡関連資料(地形測量図等、A3) (PDF 23.1MB)
- 基本構想 概要版 (PDF 5.8MB)
史跡岐阜城跡サイン計画
岐阜市では、史跡岐阜城跡のサイン類(案内板・解説板等)について、歴史的価値や景観に配慮してそのありかたを検討し、基本的な整備方針や規格・色彩等の統一的なガイドラインを示すため、平成26年3月にサイン計画を策定しました。
『史跡岐阜城跡サイン計画』は以下からダウンロードできます。
- 史跡岐阜城跡サイン計画 巻頭、目次、第1章、第2章 (PDF 5.3MB)
- 史跡岐阜城跡サイン計画 第3章、第4章、第5章 (PDF 7.2MB)
- 史跡岐阜城跡サイン計画 第6章 (PDF 3.0MB)
- 関係資料 (PDF 4.9MB)
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