#4 女性の活躍を目指して活動するNPO 代表 島田貴子さん 「女性が生き生きと活躍することで地域社会全体を元気に」(2022年3月掲載)

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ページ番号1015797  更新日 令和4年3月30日

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第4回は、女性の活躍を目指し、岐阜市を拠点に活動するNPOの代表・島田貴子さんです。

インタビュー内容

島田さん

-これまでの取組を紹介していただけますか。

島田さん 2010年にNPO法人を設立し、子育て中の主婦をメインターゲットとして活動してきました。この10年間で社会を少しずつですが変えることができたなと思っています。

 活動を始めた当初は、本巣市のショッピングモール内に拠点を置いていましたが、そこのトイレ近くに授乳室がなかったので造りましょうという提案や、授乳室と同じ空間にあったおむつ替えスペースを別の場所に移動させようという働きかけをしました。おむつ替えを女性の役割と認識してしまうと、そのスペースの設置場所は女性トイレになりますが、本来は女性だけでなく男性の役割でもあります。そうしたことも踏まえて、授乳室とは別の場所に移動しようと思ったのです。

 また、幼い子どもを乗せるキャラクターカートをどこに置けば親御さんの使い勝手がよくなるかなども考えて提案しました。

-SDGsのゴール5は「ジェンダー平等を実現しよう」ですが、まさしく利用者及びジェンダー平等目線でのご提案ですね。

島田さん 当時はSNSの活用事例がまだそれほど多くありませんでしたが、それらを活用して岐阜の女性会員を対象とする独自サイトを作り、オンラインで交流したり、そのつながりを基にイベントを行ったりしました。行政に事業に関する申請をする際、なぜインターネットサイトにお金をかけるのかと云われたこともありますが、私たちは会員数を示して、この取組にどのような効果が期待できるかを説明しました。

 その後、時代は進み、女性の就業に関するM字カーブ(就業者など女性の労働力人口の割合が結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇すること)が徐々に解消され、産休・育休制度が整備される中で、私たちは今後何をしていこうかなと考え、女性の活躍を目指した起業のサポートに取り組むことにしました。これは、5年ほど前のことです。

 当時、起業支援は既に商工会議所などがやっていましたので、それらと異なることをしないと私たちの取組の意義がないなと考えました。そこで、「何かをしたいけれども、何をしてよいかがわからない」とモヤモヤ感を抱く女性を対象として、「これなら仕事化できるよ」と提案して何かを創り出すサポートをする、「女性のゼロイチ」-0を1にするように支援する取組を始めました。

-その時どきの社会のニーズを見据えながら取組の方針と内容を変えてきたのですね。

島田さん そのとおりです。基本は女性をターゲットとすること、SNSやメルマガを活用した情報発信も変わっていませんが、その時どきでメインとなる事業を変えてきたのです。今後は女性のスタートアップ支援とウェルビーイング・健康に力を入れたいと思っています。

-SDGsのゴール17は「パートナーシップ」です。活動の主なパートナーは女性・企業・自治体と伺っていますが、事業に占める割合は女性が一番大きいのですか。

島田さん 自治体が2割程度で、企業と女性が各4割程度ですね。企業さんは一緒に組んでいるという感じです。私たちは女性の様々な声を拾うことができるので、それをショッピングモールに届け、提案する形ですね。特に企業と女性は切り離さないよう心掛けています。

-会員さん・スタッフさんの人数を教えてください。

島田さん 現在メルマガを届けている会員は3,000人ほどです。アンケートをお願いすると、懸賞なしでも150~200人ほど回答が集まります。岐阜市近郊の女性が多いですね。それと賛助会員で会費をくださる方は100人ほどで、何か手作りをしたい人などが登録しています。あと、スタッフは主に3人ですね。この他に、業務を受託して請け負ってくださる方もたくさんいます。

ハンドメイドマーケットの様子

-SDGsとの具体的な関わりを教えていただけますか。

島田さん 私たちの活動をSDGsに落とし込んで紹介します。まず、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関しては、ママ・主婦といった括りでなく、1人の女性として楽しんでいただくために、自分のやりたいことが実現できる場所を提供するイベントを開催しています。

 具体的には、ウィメンズフェスタやハンドメイドマーケットですね。後者については、月1回、市内2か所、市外3か所のショッピングモールで開催しています。一番長く続けているのは13年前からですね。市内の2か所は施設のリニューアルのタイミングでお声かけいただいて開催するようになりました。

 私は新しいことにチャレンジするのが好きですし、自分の提案を採用してもらって様々なことを変えてきました。他の皆さんも、アイデアや意見をたくさん持っているはずですよね。ですから、女性に関して、当事者の意見をお届けすれば、企業や自治体も変わっていくにちがいない、そう思って活動しています。今はイベントの出店者を女性に限定していますが、今後は、ママや主婦といった括りでなく1人の「ひと」として、ということを大切にしていきたいので、そこをブラッシュアップしていきたいですね。

スタートアップノートの活用の様子

-他にはどうですか。

島田さん 目標8「働きがいも経済成長も」に関しては、先の目標5の話と重複する部分がありますが、女性の活躍が社会を元気にするということで、働くことにフォーカスしています。例えば、オリジナルのスタートアップノートは、自分の頭の中のモヤモヤしたものを書き込んで整理してもらい、起業につなげるものです。これから派生して、岐阜大学の学生さんと連携してガイドブックも作りました。そこでの経験を就職に結びつけた学生さんもいますよ。企業からも協賛をいただいています。私たちと学生さんだけでなく、地域の企業にも関わっていただくことが大切ですね。

 女性が生き生きと活躍すると、女性から派生して、家族、親、子どもなど女性の様々なネットワークのリソースが集約され、地域が活性化します。これはゴール17「パートナーシップ」にもつながりますね。

 「ヒトコトプロジェクト」もやっています。2021年度から岐阜県の信用保証協会と連携して、私たちのモニターを活用しながら、カフェでのフルーツを使った商品などの開発のお手伝いをしていますね。

-まさに「自分らしい暮らし方・働き方・楽しみ方」ですね。

島田さん そうですね。次に紹介する目標12「つくる責任 つかう責任」の取組は、持続可能な生産と消費ということで、私たちの一番の売りのハンドメイドマーケットです。自分が手作りしたものを大事に使ってもらい、壊れたら、また直して使ってもらいます。ものを通じて人をつなげるということです。

 出店数は、現在コロナ禍のため2割程度減らしていますが、市内のショッピングモール2か所でそれぞれ60店・30店程度、市外の3か所で50店・40店・18店程度です。それだけ出店したい女性と買いたいお客さんが多くいて、だからこそ長く続けることができているのだと思います。出店者は常連さんが大半ですが、最近は新規の方も入ってくるようになりました。定期開催をしているのが強みですね。いつやるかを決めているのでお客さんも来店しやすいです。

 このように、様々な活動をしていますが、全体に共通しているのは、普通の女性の意見をカタチにする、伝えるということです。

SDGsマガジン(コレカラー

-SDGsマガジンも出版していらっしゃるそうですね。

島田さん 「CoReColor(コレカラー)」ですね。2020年度から作成し、ショッピングモールで配架しているフリーペーパーです。

 Coは一緒に、Reはもう一度、Colorは彩りを、という意味で、“これから未来に向けて”、これからをもっと楽しみたい女性たちを応援するSDGsマガジンです。

 SDGsは、地球を持続可能なものとするために、世界中の人が取り組むべき目標です。食品や洋服などを買う消費行動は、女性が行う家庭が多いと云われています。女性がSDGsを意識すれば、世界を変えることができると思います。しかし、女性に向けてSDGsを分かりやすく伝えるものが少なく、「SDGsってよく分からないし難しそう」と思っている女性が多いのではないか。私たちはそう思ってこの情報誌を作ることにしました。

-ショッピングモールで「CoReColor」の記事を展示しているのを見かけたことがあります。

島田さん ショッピングモールでのSDGs普及啓発イベントの際に、「CoReColor」の記事のパネルを貸してほしいという要望をたくさんいただき、好評だなと実感しています。それは、「CoReColor」が消費者目線でSDGsの取組を紹介しているからだと思います。主婦の社会貢献の1つは消費することだという視点がショッピングモールで受け入れられやすいから活用されているのでしょうね。

 実際、こうした取組をショッピングモールで行うと広がりやすいと感じます。来客層が幅広いので、女性だけでなく女性に関わるたくさんの方に広げることができます。岐阜市のメディアコスモスでも同じだと思いますよ。「ママズフェスタ」、「ウィメンズフェスタ」という名称でも開催する場所がよければ男性も来てくれます。

 また、「CoReColor」の第2号では、女性活躍にはまず健康が重要だという理解から、自分の体力づくりやメンテナンスの大切さを啓発する健康分野の特集記事などを掲載しています。具体的には、検診を受ける日を、仕事や家事を休んで自分自身の健康を見つめる日「検診ホリデー」にしようという運動を紹介していて、今後は、こうした運動を企業に広めていきたいと思います。

-課題があると感じる分野に取組を広げていくのですね。

島田さん そうですね。現在のメインは目標3「健康」ということになります。この目標3は、今後もテーマとして維持していきたいですね。いつの時代も普遍的で変わらないものですから。

-今後の取組の方向性などを教えてください。

島田さん さらに健康分野に取り組むことですね。それから、女性への周知をもっと広げたいと思っていて、様々な場所で自分たちの企画を展開したいですね。常に広げていくことを意識しています。

 健康分野の取組を進めるとなると、今関わりを持っている人たちだけでは難しく、病院や医療関係の人たちとの関わりが必要ではないかと感じています。新しいパートナーシップですね。新しくパートナーシップを構築すれば、取組を広げやすいですよね。

 テーマを健康とする場合、対象を女性に特化するわけにはいかないですから、どうアプローチしていくかが今後の検討事項です。

-取組を10年間続けてきて、社会が変わったなと実感することはありますか。

島田さん かなり変わってきたなと思います。意見が言いやすく、挑戦しやすくなってきていると感じますね。私の子ども2人はいずれも大学生ですが、子どもたちにとっても住みやすい社会になってきているのではないかなと思います。

-社会の変化を実感しながら取組ができるなんてすばらしいですね。最後に、地域の方たちに向けてですが、どうSDGsの取組に関わってほしいですか。

島田さん SDGsを難しいことだと思わないで、自分自身に何ができるかを、身近なところから、興味のあるところから考えてみてほしいですね。かつての私たちもそうでしたが、「実は既にやっていたんだ!」という発見があると思いますよ。

 私たちも様々な情報発信を続けていきます。ぜひ注目してくださると嬉しいですね。

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