岐阜の伝統工芸品
国から指定された「伝統的工芸品」のうち、岐阜市が製造地となっている工芸品は次の2つです。
- 岐阜提灯
- 岐阜和傘
岐阜県が指定する「岐阜県郷土工芸品」のうち、岐阜市が製造地となっている工芸品は次の3つです。
- 岐阜渋うちわ
- 花合羽、のぼり鯉
- 美濃筒引き本染め 手刷り捺染
岐阜県が指定する「岐阜県郷土工芸品」のうち、かつて岐阜市が製造地となっていた工芸品は次のとおりです。
- 岐阜長良川花火
岐阜提灯
岐阜提灯協同組合
〒500-8061 岐阜市小熊町1丁目18
電話058-263-0111
岐阜和傘
一般社団法人岐阜和傘協会
〒500-8009 岐阜市湊町45
電話058-215-8656
岐阜渋うちわ
住井冨次郎商店
〒500-8009 岐阜市湊町46
電話058-264-4318
花合羽・のぼり鯉
小原屋商店
〒500-8029 岐阜市東材木町32
電話058-263-9894
美濃筒引き本染め 手刷り捺染
岐阜県旗染業組合
〒500-8881 岐阜市青柳町6丁目5
電話058-251-1852
岐阜長良川花火
株式会社村瀬煙火
本社 〒502-0813 岐阜市福光東3丁目8番2号
製造地 〒501-2259 岐阜県山県市岩佐字尾之洞1840-2
電話058-231-5020
岐阜提灯
昔から美濃地方は、優れた和紙の産地であり、この薄くて丈夫な和紙や良質の竹材を用いて提灯が作られてきました。
岐阜提灯のおこりは、諸説あるものの、宝暦年間(1751年~1763年)に岐阜の提灯屋十蔵が提灯を製作し、これを尾張藩に上納してからといわれています。文化文政年間(1804年~1829年)になると、草花を描いた提灯が普及し、天保年間(1830年~1843年)には薄紙張り絵提灯が岐阜提灯といわれるようになりました。その後明治になって、形状・絵模様・色彩等改良を重ねて今日のような精巧優雅なものになりました。
岐阜提灯の特色は、細いヒゴを巻き、薄い和紙を張って秋の七草・花鳥・風景模様などの絵を描いたものです。現在では、卵型の御所提灯の他に一般に大内行灯・回転行灯・変形提灯・装飾用提灯なども含め、岐阜で生産されるものを総称して岐阜提灯と呼び、日本有数の産地を誇っています。
素材を生かした職人の技により作り出される岐阜提灯は、その季節感と灯明に写し出される優美さで、人々の心に潤いとやすらぎを与えてくれるものです。
提灯のできるまで
- 提灯の型組み
提灯の張り型を組み立て、提灯の原型を作る。 - ヒゴ巻き
張り型に刻んである溝に沿って、らせん状にヒゴを巻く。 - 絵の張りつけ
骨に糊をつけ、一と間置きに張る。 - 継ぎ目切り
張った紙のいらない部分をカミソリで切り落とす。 - 提灯の型抜き
1.の型を抜き取る。 - 仕上げ
上下の輪を組み込んだ後、ひも・房等の付属品をつけて仕上げる
提灯の絵付けには
- 輪郭を木版で摺り、木版を元に作った型紙で和紙に絵を摺り込む方法
- 一筆一筆丹精こめた手描きによる方法の2種類があります。
岐阜和傘
岐阜市加納は、和傘の町。和傘作りは、寛永16年(1639年)松平丹波守光重が加納藩主になった折、明石(兵庫県)から傘職人を連れて来たことに始まるといわれています。
地場産業として和傘の基礎を確立したのは、宝暦6年(1756年)加納藩主となった永井伊賀守尚陳が、下級武士の生活を救うため、内職として和傘作りを奨励したことによるといわれています。
伝統の技術は、製造工程において細かく分業化され、身近に入手できる美濃和紙と真竹の出会いの妙が、こまやかな手作業によるいくつもの工程を経て、見る人、使う人を和ませる繊細で暮らしに生きる手工芸品を作り出しています。
現在では、生活様式の変化により生産本数は減少したものの、日本一の産地として、そこに伝わる伝統の技は大切に受け継がれ、傘を広げた干し場の光景に、今も和傘作りの町並みの華やぎを見ることができます。
和傘のできるまで
- 骨削り
竹を割って外側になる親骨と、内側になる小骨を作る。 - 骨染め
削った親骨、小骨を染める。 - ためかけ
染められた親骨を火にあぶり、クセを取る。 - ろくろ作り
チシャの木で、頭ろくろと手元ろくろを作る。 - 繰り込み
柄竹にハジキを入れ、ろくろを取り付ける。 - 繋ぎ
繰り込みの済んだ柄骨と、ためかけの済んだ親骨と小骨を糸で繋ぐ。 - 張り
親骨に紙を張る。 - 仕上げ
油を引き、天日で乾燥させ、小骨を糸でかがり、漆を塗って仕上げる。
岐阜渋うちわ
古くからうちわは、納涼や日よけに使用されるとともに、貴族の装飾用として、また儀礼的なもの(軍扇など)に用いられてきました。江戸時代に入ると、紙の製造技術が発展するとともに、うちわの製造技術も進歩して、一般にも使われるようになりました。
岐阜でも美濃地方の手漉き和紙や良質の竹を用いて江戸時代からうちわ作りがおこなわれ、幕末には漆を塗った塗りうちわが作り出されました。これは漆を塗ることで美しいツヤと深い色合いを引き出すとともに、耐久性を高めたもので、岐阜うちわの大きな特徴となっています。また、岐阜の渋うちわは、柿渋をハケ引きして塗るのが特徴となっています。
明治時代には雁皮紙にニスを塗った水うちわが登場し、その涼しげな透明感で好評を博しています。
現在でも岐阜うちわは、全工程が手作業で丁寧に作られています。
うちわのできるまで
- 骨づくり
竹を細かく割き、糸で編む。 - 柄塗り
柄の部分に刷毛で着色する。 - 紙張り
絵を描いた紙をはる。 - 型打ち抜き
うちわの型をしたタガネで打ち抜く。
これにより骨の先端が切り捨てられ完成品の形になる。 - 縁取り
うちわの縁に細い紙をはる。 - 山張り
補強と飾りのために、絵の根元に紙をはる。 - ドウサ引き
染料、塗料が染み込むのを防ぐため、ニカワミョウバン水の溶液を表面に塗る。 - 下地塗り
染料と糊で2回行う。 - 仕上げ
漆を塗って仕上げる。
花合羽・のぼり鯉
油紙は、慶長の頃より、美濃地方の手漉き和紙を原料として、食物油等で仕上げた物で、雨具として重宝され、伝統ある技法を今日まで受け継いで製造しています。
花合羽は、そのうちの一品で、通気性がよいので、生花用の油紙として多くの人びとに愛用されています。
のぼり鯉は、徳川吉宗が行った享保の改革(1720年頃)で、布の鯉のぼりは贅沢故、紙を使用せよとのお触れが出され、和紙の鯉のぼりが作られるようになりました。美濃特産の手漉き和紙を使用し、絵は手描きです。
子どもの健やかな成長、出世を願って、中国の故事にならい、のぼり鯉と名付けられました。
のぼり鯉のできるまで
- 強度をつける
手漉き和紙を全体に手でもみ丈夫にする。 - 形を切る
鯉や人形の形を切り取る。 - 絵つけ
絵の具で手描きし、色彩をほどこす。 - 張り付け
鯉形の端と端を合わせ、糊付けをする。 - 仕上げ
鯉の形に整え口がねを付けて仕上げる。
花合羽(油紙)のできるまで
- 花を描く
手漉き和紙に絵の具で、花などの植物を手描きする。 - 縁取り
和紙に四方を細く折り曲げ、綿糸を折り込み、糊張りをする。 - 皺(しわ)つけ
全体に手でもみ、皺をつける。 - 油引き
混合した荏(え)・亜麻仁(あまに)・桐などの油をハケで塗る。 - 仕上げ
天日で表裏を交互に干し、乾燥させて仕上げる。
美濃筒引き本染め・手刷り捺染
美濃筒引き本染め(みのつつびきほんぞめ)・手刷り捺染(てずりなっせん)とは染色の技法で、相撲のぼり、歌舞伎・寄席のぼり、武者絵のぼりなどののぼり旗、寺社装飾品、獅子舞・半纏などの祭用品、大漁旗、のれん・日除け幕などがこの技法で染付けられます。 日本の染物の歴史は古くに染色の技術が大陸から伝来したことから始まります。室町時代中期(1400年代後半)頃にのぼりが現在の形になったと伝えられています。その後、江戸時代初頭(1600年代前半)には染物業が現在のような形で各地に成立したようです。
美濃地方に染物業者が集まったのは、享保の改革(1720年頃)での倹約令後も尾張徳川家が伝統文化を保護したためと伝えられています。この頃から美濃地方の染物業は長良川の豊富で清らかな水を背景に栄えました。現在でも、県内には比較的多くの業者が残り、いずれも古来の技術・技法を守っています。
筒引き本染めの工程(相撲のぼりなど)
- 下絵書き
文字・図柄を直接生地に書き込む。 - 筒引き(糊置き)
下絵に沿って糊を置く。 - 染色
はけで文字・図柄に色差しする。 - 色止め
はけで色止め剤を引く。 - 水洗
筒引きした糊を落とす。 - 縫製
乾燥した生地を縫製する。
手刷り捺染の工程(大漁旗など)
- 下絵書き
紙に実物大の版下を書き込む。 - 型彫り
ニス紙または渋柿紙を下絵に沿って彫る。 - 型張り
型彫りしたものを絹紗の型枠に貼り付け刷型を作る。 - 手刷り
へらで刷型に沿って染料・顔料・糊材を生地に手刷りする。 - 熱処理又は 色止め
手刷りしたものを熱処理又は色止め処理する。 - 縫製
乾燥した生地を縫製する。
岐阜長良川花火
岐阜長良川花火は、炸裂により色星を飛散させる割り薬、色星で円形を描く技法、玉を上げる推進薬、音を出す発音材、美しい色を出す色火付など、花火製造技術に優れています。平成4年に岐阜県の郷土工芸品に指定されました。現在は山県市で製造されていますが、昭和27年までは岐阜市内で製造され、夏の風物詩として親しまれてきました。
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