スポーツ科学応用実証事業
目的
アスリートを対象とした次世代スポーツ科学の知見を市民に応用し、慢性的なストレスを見える化することで、運動・スポーツの習慣化へと導く。
具体的には
- 心理状態、睡眠・身体活動状況、集中力を調査・測定
- 頭皮から1cm分の毛髪に含まれるストレスホルモン量を測定し、過去1か月のストレスを数値化
これにより
- ストレス低減につながる最適なスポーツの行い方、運動・スポーツの習慣化を導き出す。
岐阜市の現状と課題
1.運動の習慣化
- 本市の平均寿命は男女ともに80歳を超え、今後も延伸が見込まれる中、県内にあっては健康寿命との差(H28)が男性で8.11歳、女性で11.17歳と約10年の乖離がある。また死因には、心疾患や脳血管疾患があり、メタボリックシンドロームなどによってその罹患リスクが高まる。そのことから、運動の習慣化を図り、生活習慣病を予防する取組が求められる。
2.意識の向上
- 本市のスポーツに関する状況は「普段スポーツ(運動)を全くしない人」の割合が6割(平成29年調査)に及ぶなど運動無関心層が多い。その理由として、男女ともに「時間がない」と回答した人が最も多く、時間がなくても運動ができる環境づくりが課題である。
- 今後やってみたいスポーツとしては「ウォーキング」が上位を占めるなど、誰でも気軽に取り組めるスポーツに関心があることから、スポーツを特別なものではなく広義にとらえ、身近なところから始められる意識づけや環境づくりが課題である。
- 子どもたちの体力低下が全国的傾向として示唆されており、長期的な目で見ると本市においても同様の傾向がある。運動離れが進むとともに、次世代を担う子どもたちを取り巻く環境によって、将来的な運動無関心層へとつながることが予想される。潜在的な運動無関心層予備群を増やさないよう、学校だけでなく地域全体を運動環境としてとらえ、気軽に身体を動かせる機会の創出が課題である。
3.身近なところからスポーツを始める環境づくり
- 公園や体育館、運動場などのスペースや長良川や金華山など自然豊かな本市のリソースを有効に活用し、運動の習慣化に向けた施策の展開が求められる。
測定・検査の概要
毛髪ストレス検査+生活習慣アンケート(市民65名を対象に8月と11月の2回調査)
1.身長、体重、血圧
2.心理状態、睡眠、身体活動アンケート
3.認知機能テスト
集中力を測定(タブレット使用)
4.毛髪採取によるストレス程度の検査
毛髪に含まれる毛髪コルチゾール(HCC)から慢性ストレスレベルを評価
5.健康指導
検査の際、映像による健康指導を実施
「人間は身体活動を伴う脳の活性化を繰り返しながら発達してきた」という進化論の視点を入り口にして、現代社会における運動・スポーツの有効性や必要性を提唱
調査結果の概要(POMS活気Tスコアと座位時間の関係)
POMS活気Tスコアを示す数値と座位時間それぞれの8月から11月の変化を示した数値を縦軸(座位時間)と横軸(活気)としてプロット。
右下に向かって伸びる直線は回帰直線(※注2)を表しており、8月時よりも11月時の座位時間が短くなった参加者は活気を表す数値が増加する傾向があります。(赤線枠内)
逆に座位時間が長くなった参加者は、活気も低下する傾向があります。(青線枠内)
座位時間を減らしながら、日常的に身体活動を取り入れ、快適な生活を心がけることが大切です。
※POMSとは、世界共通で使用されている心理テスト
注1:検査結果の平均値が50になるように換算した値
注2:プロットから予測される関係性を示す直線
調査結果の概要(運動とストレスの関係)
Aさんの場合、8月から11月にかけてストレスホルモンが2倍以上増加するとともに、POMS疲労Tスコアも増加しました。それに対して身体活動量は減少していることが分かります。
Bさんの場合、8月から11月にかけてストレスホルモンが多く検出されています。POMS疲労Tスコアも増加傾向となっています。身体活動量は全体的に少なく、11月測定時にはほぼ運動ができていませんでした。
Cさんの場合、8月から11月にかけてストレスホルモンが減少しています。それに伴って、POMS疲労Tスコアも減少しています。身体活動量は増加し、生活習慣の見直しがなされたことが分かります。
測定結果のフィードバック
フィードバックシート「ストレスコンディショニング結果」配布
2回の検査を終えて、その結果と数値を分析したフィードバックシートを一人一人に作成し、「身体活動」、「心の状態」、「認知機能」の関係から、ストレスの見える化を図りました。
自身の身体活動を振り返り、生活習慣を見直す貴重な材料となりました。
本事業の成果発表として、市民講座を開催
日時 令和3年2月13日(土曜)午後1時00分~
講師 筑波大学 ヒューマン・ハイ・パフォーマンスセンター長 征矢 英昭 教授
演題 脳フィットネスで快適・健康な生活を!
まとめ
現代の日常において人々はストレスと直面しつつ、そのストレスを克服し快適な生活を送ることが重要です。ストレスに負けない、元気で活力ある脳の状態を脳フィットネスと言います。
脳フィットネスを高める方法として、身近な身体活動が注目されています。
ストレスをコントロールする身体活動としては、激しいスポーツ・運動である必要はありません。
楽しく体を動かせるリズミカルなダンスや自分のペースで行うことができるウォーキングなど、軽度の運動から取り組むことが大切です。
- 毛髪コルチゾール(HCC)は、アスリートだけでなく一般市民の慢性ストレス及び心理状態の評価指標として有用
- 身体活動やアクティブライフが慢性ストレスの低下や心身の健康のために重要
岐阜市の施策に展開
歩く健康づくりの推進
ウォーキング機会の充実
- クアオルト健康ウオーキング
- オクトーバー・ラン&ウォーク 等
ウォーキング環境の整備
- 柳ケ瀬健康ステーション
- 長良川健康ステーション
- ながら川ふれあいの森 等
スポーツ・レクリエーション活動の推進
身近で参加しやすいスポーツ機会の提供
- 新春ぎふシティマラソン
- スポーツ・レクリエーション祭
- 体育館スポーツ教室 等
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このページに関するお問い合わせ
市民スポーツ課
〒500-8701 岐阜市司町40番地1 市庁舎10階
- 電話番号
- スポーツ施設係:058-214-2371
- スポーツ支援係:058-214-2134
- スポーツ振興係:058-214-2370