鵜舟の造船・舟大工育成
鵜匠と船頭が乗り込む鵜舟(うぶね)は、川を下りながら漁をする長良川の鵜飼漁にとって無くてはならない存在です。岐阜長良川鵜飼保存会は、令和3年度から鵜舟の造船・舟大工育成に取り組んでいます。鵜匠6名が現在使用している老朽化した鵜舟を新調することと、造船作業を通じて舟大工の後継者を育成することが目的です。
事業の背景
鵜舟の老朽化
鵜舟の耐用年数は、通常5~8年と言われています。しかし、鵜匠6名が現在使用している鵜舟は、多くが10年近く経過しており、老朽化が進んでいます。このまま使用し続けていくのは困難ですので、数年間かけて全ての鵜匠の鵜舟を新調する必要があります。
舟大工の減少
鵜舟をつくることのできる舟大工は、岐阜県内に2名しかいないのが現状です。平成29年度(2017)に岐阜県立森林文化アカデミーや東京文化財研究所が鵜舟の造船過程を詳細に記録したり、令和2年度(2020)に岐阜市が鵜飼観覧船造船所で鵜舟の造船に初挑戦したりするなど、これまでにも鵜舟の造船技術や舟大工の継承に向けた取り組みが行われてきました。保存会も、国重要無形民俗文化財「長良川の鵜飼漁の技術」の保護団体として、舟大工の確保に積極的に取り組んでいきます。
鵜舟の構造と造船工程
- 鵜舟のどの部位にどの板材を用いるかを決める(板揃え)
- 板材を垂直に立てて鵜舟の底にあたるシキを接合
- 接合したシキを平置きし、重石を乗せて反りをつける
- 鵜舟の側面にあたるハラのドウヅケ(一番下の部分)を接合
- 舳(船首側)と艫(船尾側)の立板を接合(最初は仮止め)
- ハラの二枚目(一番下から二枚目の部分)を接合
- ハラの三枚目(一番下から三枚目の部分)を接合
- ハラのコベリ(一番上の部分、舳と艫の両側にウデ)を接合
- 平板(舳と艫の両側の平坦な部分、舳にダチザン・ウケザン)を取り付ける
- 中梁(船体中央付近の梁)を取り付ける
- 仕上げを行い、完成
鵜舟の材料
板材
船体には、水に強くて軽い高野槙を使用します。良質な板材を見極めて適切な部位に使用し、無駄が出ないように寸法を決めます。
舟釘
船体の部位ごとに、3種類の舟釘を使い分けます。使用する前に塩水に浸して錆をつけることで、舟釘の表面を荒くします。
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