令和5年度 第1回生物多様性シンポジウムを開催しました

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ページ番号1022402  更新日 令和6年3月4日

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イベントカテゴリ: 講座・講演・教室 生活・環境

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7月22日(土曜日)、みんなの森 ぎふメディアコスモスで、令和5年度 第1回岐阜市生物多様性シンポジウムを開催しました。

本シンポジウムは、生物多様性の保全などについて市民の皆さんと一緒に考えるイベントとして開催しています。今回は、「レッドリスト・ブルーリストの生きものたち(爬虫類、両生類)」と題し、レッドリストやブルーリストの生きものの紹介や、レッドリストに指定された理由や保全活動などについて、2人の先生方に講演していただきました。

開催日

令和5年7月22日(土曜日)

開催時間

午後2時 から 午後4時 まで

開催場所

かんがえるスタジオ

対象

市民

内容

講演1「岐阜市のニホンイシガメの 危機と保全」
 岐阜大学応用生物科学部 楠田哲士 氏

講演2「レッドリスト・ブルーリスト の生きものたち ~両生類~」
 岐阜県立大垣北高等学校 高木雅紀 氏

トークセッション

 岐阜大学応用生物科学部 楠田哲士 氏

 岐阜県立大垣北高等学校 高木雅紀 氏

 岐阜市版レッドリスト等改訂検討委員長 大塚之稔 氏

講演

講演1「岐阜市のニホンイシガメの 危機と保全」
岐阜大学 応用生物科学部 教授 楠田哲士 氏

レッドリストとブルーリストに選定された爬虫類を紹介した後に、ニホンイシガメが乱獲や生息地の減少等により、数が大きく減っている現状を教えていただきました。また、外来種のミシシッピアカミミガメが増加傾向にあり、ワニガメやカミツキガメ等も岐阜市内で見つかっている現状を説明いただきました。

参加者の方々からは、「ニホンイシガメの絶滅が心配です」、「外来種のカメを捨てる人が減ってくれるといい」などの意見をいただきました。

楠田先生の講義の写真です。

休憩時間には、カメの標本を観察させてもらいました。

カメの標本観察

講演2「レッドリスト・ブルーリストの生きものたち 両生類」
岐阜県立大垣北高等学校 教諭 高木 雅紀 氏

2023年のレッドリスト改訂により、両生類の絶滅危惧種(絶滅危惧1類・絶滅危惧2類)の種数が増加している事や、絶滅危惧種の保護活動の内容を紹介いただきました。保護活動を行う中で、死んだ卵のうが多く、卵を産む場所に水が少なかったことから、産卵パターンと降水パターンに関係性があるのではとの研究内容や、両生類が生息するための水辺エコトーンの重要性や、それが道路開発などで失われることで、どのような影響を受けるのかを説明いただきました。

参加者の方々からは、「降水量の変化ではなく、降り方の変化が両生類に影響しているという話が興味深かった。講演を通じて、生きものの繁殖地を守ることはとても大切であると実感しました。」などの意見をいただきました。

高木講師の講演

トークセッション
岐阜大学応用生物科学部 楠田哲士 氏
岐阜県立大垣北高等学校 高木雅紀 氏
岐阜市版レッドリスト等改訂検討委員長 大塚之稔 氏

トークセッションにおいては、2人の講師に、参加者の方々からいただいた質問にお答えいただきました。
 

<トークセッションの質問内容>

Q1 アライグマはニホンイシガメの前足は食べるのに、ミシシッピアカミミガメは食べないのは何故ですか。

A1 アライグマは、ミシシッピアカミミガメの現地での捕食者なので、逃げるのに長けています。ミシシッピアカミミガメは水棲傾向が強く、逃げるのも早いです。ニホンイシガメは時期や時間帯によっては水場から離れた陸上にいることも多いため、アライグマに発見されやすい可能性が高いと考えられます。

Q2 ヤマトサンショウウオの保全でたまり水が減っているとありましたが、原因として雨の降り方も関係していると思いますが、周辺の環境変化はないですか。

A2 岐阜市では、周りの植生などの環境はあまり変わっていないです。岐阜市外では、竹林がなくなったり、山の中に道路ができて繁殖場所の水辺と親の生活場所が分断されたり、周辺の環境変化でも水の出方が変わったりということはあると考えられます。地球温暖化による気温の上昇や雨の降り方も大きく影響している可能性があります。

Q3 梅林公園のヒキガエルで、コイが卵を食べないようにしたら上手くいったとの事例がありましたが、達目洞などコイと関係ない場所もあるので、他の要素としては何がありますか。

A3 イノシシなどの捕食者が増えてしまうなど、生態系のバランスが崩れるとダメになることはよくあります。池へ来る通り道が道路や建物、側溝などの建設でダメになったり、池は大丈夫でも親の生活場所の森林や竹林がダメになったりすると生息できなくなるので、そういった影響があったかもしれません。

Q4 ニホンイシガメが沢山輸出されているようですが、中国に沢山輸出される理由があるのでしょうか。

A4 中国の著しい経済成長に伴うペットブームが背景にあるようです。また、ニホンイシガメは背甲が黄色いため、金運が上がると思われることもあり、ペットとして人気が高いようです。

Q5 カミツキガメやワニガメ、オオサンショウウオがいたら、連絡してほしいとありましたが、どこに連絡したらいいでしょうか。

A5 外来種のカメを発見したり、もし捕獲した場合は、その場ですぐに警察か自治体に連絡いただくといいと思います。岐阜県であれば、県警、県庁、岐阜市から、楠田講師まで連絡してもらえるようにお願いしており、全て引き取ることにしています。オオサンショウウオは天然記念物になるので、文化財保護課に連絡いただけるといいです。

Q6 何故、在来種を守らないといけないのでしょうか。

A6 私たちの生活は、自然の恵みによって支えられています。地球全体、地域全体でどれくらいの生き物がいて生活が成り立っているか分からないので、気候変動などで、色々な種がいなくなって生態系が崩れても生きていけると思いますが、そのうち限界が来ると思います。生き物を減らしてきた原因は私たちなので、守っていけるのも私たちだと思います。

オオクチバスなど、在来の生き物を食べてしまうものもいれば、ニホンイシガメや、オオサンショウウオが、外来のカメやサンショウウオと交雑して元いた在来の遺伝子が失われてしまうということもあります。少し難しい話になりますが、同じ種類でも別の生息地のものは遺伝子情報(DNAの塩基配列)に違いがあります。その違いは生き物の長い歴史を反映しているもので、例えば、ホームセンターなどで買ってきたメダカを自然の川に逃がしたりすると(こういうのを国内外来種と言います)、その地域のメダカにはないDNAが混ざってしまって、生き物の長い歴史を人間の身勝手な行為で、一瞬にして変えてしまうことになります。
私たち一人一人が、変化を起こしていると理解し、解決を考えていくことが大事だと考えます。

トークセッション(大塚先生)

トークセッション(楠田氏、高木氏)

質問回答

質問カードやアンケートにご記入いただいた質問で、トークセッション中に回答しきれなかったものについて、先生方から回答をいただきましたのでご紹介します。

共通質問については、両先生からの回答を合わせたものを掲載してあります。

アンケート

当日、参加者の方々には、アンケートを記入していただきました。今後のシンポジウムの内容について大変参考になるご意見を多数いただきました。アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。

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