平成29年度第2回生物多様性シンポジウムを開催しました
去る10月28日(土曜日)、みんなの森 ぎふメディアコスモスにて、平成29年度第2回生物多様性シンポジウム「恵みか?迷惑者か? 野生動物とあたりまえに暮らすためには」を開催しました。
本シンポジウムは、「岐阜市生物多様性プラン」について周知をはかるとともに、今後の生物多様性の保全などについて市民の皆さんと一緒に考えるイベントとして開催しました。当日は高校生を中心として幅広い年代の方々にご参加いただきました。

開催概要
- 日時
- 平成29年10月28日(土曜日) 午後1時~午後4時30分
- 場所
- みんなの森 ぎふメディアコスモス かんがえるスタジオ(岐阜市司町40番地5)
- 主催
- 岐阜市まるごと環境フェア実行委員会
- 共催
- 岐阜市
内容
- 活動発表
-
- 「守れ!ふるさとのヒダサンショウウオ」
山県市立高富中学校生物部 - 「守れ!ふるさとのカスミサンショウウオIX GISと環境DNAを用いた生息地の未来予想」
岐阜県立岐阜高等学校自然科学部生物班 - 「岐阜市近郊の河川におけるプラナリアの外来種調査」
岐阜県立岐阜北高等学校自然科学部プラナリア班 - 「論田川に生息する琵琶湖系カワニナのルーツを探る」
岐阜県立岐山高等学校生物部
- 「守れ!ふるさとのヒダサンショウウオ」
- 基調講演
- 「資源としての野生動物」
森部 絢嗣 氏
岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター
寄付研究部門「鳥獣管理の教育と普及」准教授 - 講演・体験活動
- 「鹿角の魅力」
原口 句美 氏
岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター
寄付研究部門「鳥獣管理の教育と普及」研究支援員
活動発表
地域の中学生や高校生による、日ごろの研究や環境保全活動に関する発表がありました。
「守れ!ふるさとのヒダサンショウウオ」 山県市立高富中学校生物部
校区内に生息するヒダサンショウウオを対象とし、越冬幼生が現れる要因について、昨年度に引き続くテーマで発表しました。今年は越冬幼生が現れる要因を「餌」と仮定し、餌の量を変えての比較実験を行った研究成果を発表しました。また、高富中学校生物部では、世界で初めてヒダサンショウウオの産卵行動の撮影に成功し、その映像についても解説をしました。参加者の方からは「適切に比較実験をして越冬幼生の発生原因をつきとめていった流れがよくわかりました。こまめに粘り強く調べたからこそ分かることで、素晴らしい研究成果・発表だと思いました。」という声がありました。
そして、生物部顧問の先生の退職をもって生物部の活動が今年度で終了することについても非常に残念だという声が多く寄せられました。
活動発表の様子(高富中学校生物部)
「守れ!ふるさとのカスミサンショウウオIX GISと環境DNAを用いた生息地の未来予想」 岐阜県立岐阜高等学校自然科学部生物班
岐阜県立岐阜高等学校自然科学部生物班は、2016年度まで岐阜県で3か所しか生息が確認されていないカスミサンショウウオの生息地をGISと環境DNAを用いて、迅速かつ効率的に行う調査方法の確立を目指した研究成果について発表しました。この新しい手法により今年3月にカスミサンショウウオの4か所目の新規生息地を発見できたこと、また、生息適地モデルを作成して、気温上昇することによる未来の生息地予測が紹介され、この手法による展望の可能性を説明しました。参加者の方からは「GISと環境DNAを使う新しい手法で見事に成果を挙げられたことが素晴らしいと思います。生息適地に関するデータを丁寧に調べられた結果だと思います。」「レベルの高い内容で感心しました。」という声がありました。
活動発表の様子(岐阜高校自然科学部生物班)
「岐阜市近郊の河川におけるプラナリアの外来種調査」 岐阜県立岐阜北高等学校自然科学部プラナリア班
岐阜県立岐阜北高等学校自然科学部プラナリア班は、外来種のプラナリアを岐阜市内で発見してから、岐阜市内でもすでに外来種のプラナリアが広く分布しているのではないかという仮説から在来種と外来種のプラナリアの分布と割合の調査結果を発表しました。プラナリアである在来種のナミウズムシ、外来種のアメリカナミウズムシ、アメリカツノウズムシのそれぞれの特徴を説明し、岐阜市近郊の河川の地点別における在来種と外来種の分布と割合を示しました。参加者の方からは「プラナリアには外来種もいて、その外来種が増えているということを知り驚いた。プラナリアを捕まえる方法もびっくりしたし、プラナリアからわかる環境の状況などについても興味を持ったので、なぜ増えたかなどもっと詳しく知りたいと思った。」という声がありました。
活動発表の様子(岐阜北高校自然科学部プラナリア班)
「論田川に生息する琵琶湖系カワニナのルーツを探る」 岐阜県立岐山高等学校生物部
岐阜県立岐山高等学校生物部は琵琶湖固有種であるタテヒダカワニナに似たカワニナを論田川で発見したことから、論田川に生息する特徴が異なる4種類のカワニナについて同定研究した結果を発表しました。種の同定には一般的に成貝を用いて判定しますが、環境要因を受けていない稚貝で判定を実施したことを説明しました。
また、同校生物部では生物多様性の認識を広めるために小学校へ出前授業を実施しており、研究だけでなく地域に向けての活動も活発に行っていることの紹介もありました。参加者の方からは「様々な視点からの研究を用いて、種の分類をしており、よくわかった。」「カワニナについての正しい知識を広めるために放流を止めようとしたり、学校に授業をしに行っているのはすごく積極的で、素晴らしいと思いました。」という声がありました。
活動発表の様子(岐山高校生物部)
基調講演
トガリネズミ、モグラからシカ、イノシシまで、哺乳類を専門とされ、生態・分布に関する基礎的な研究以外にも、くくりわななどを使用した野生動物の捕獲技術の開発や、捕獲から資源化に向けた体制づくりなどについても、研究と普及に力を入れている岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター寄付研究部門「鳥獣管理の教育と普及」准教授の森部絢嗣氏をお招きし、基調講演をしていただきました。
「資源としての野生動物」 森部 絢嗣 氏
野生動物の迷惑者の一面である「獣害被害」について、シカやイノシシなどによる農作物への被害や身近な自然資源の減少、生物多様性の減少が起きていることや恵みの一面である「野生動物の価値」について、漢方や毛皮、食肉への利用を解説していただきました。
近年、日本では「ジビエ」への関心が高まっていますが、現在、シカ肉の供給量は地域で異なり、安定供給することが課題になっています。シカ肉などの野生動物の食肉資源量は牛豚鶏よりも圧倒的に少なく、言い換えるととても貴重な資源であり、地域の宝となりうる資源でもあります。
野生動物による被害は、対策を行えば防ぐことができます。野生動物への対策を「あたりまえ」に行い、野生動物が増えてしまったら「あたりまえ」に資源として利用する。これが「文化」として確立されれば、野生動物とあたりまえに暮らせるのではないかとまとめていただきました。参加者の方からは「野生動物を資源としていることを初めて知った。このようなものに対する理解をこれから深めていくべきだし、多くの人が理解すべきことなのだと思う。」「ジビエ×町おこしという新しい文化、考え方に触れられて良かった。」という声がありました。
基調講演の様子
講演・体験活動
大学の鳥獣管理に関する研究の補助、講演会、シンポジウムなどの企画、準備に携わる一方、岐阜県哺乳動物研究会に所属され、小学校などに出向き、子ども達に哺乳類に関する授業をされている岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター寄付研究部門「鳥獣管理の教育と普及」研究支援員の原口句美氏をお招きし、講演及び体験活動をしていただきました。また、原口氏の補助として、大垣養老高校の高校生のみなさんにも来ていただきました。
「鹿角の魅力」 原口 句美 氏
鹿角の特徴を、他の動物たちのいわゆる「角」と呼ばれているものとの違いについてクイズをまじえながら分かりやすく解説していただきました。
体験活動では、本物の鹿角を使ったストラップ作りを大垣養老高校の高校生のみなさんに教えてもらいながら作成しました。参加者の方からは「シカという種類にもさまざまあってツノのつくりも違うということがわかった。」「角のつくりや種類、年齢、季節のちがいによる角の変化などが分かりやすかった。鹿角のストラップという良い思い出ができた。」という声がありました。
講演・体験活動の様子
当日、参加者の方々には、アンケートをご記入していただきました。今後のシンポジウムの内容について大変参考になるご意見を多数いただきました。アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
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このページに関するお問い合わせ
環境保全課
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