令和3年度岐阜市生物多様性シンポジウムを開催しました

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ページ番号1014457  更新日 令和4年1月20日

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去る11月13日(土曜日)、みんなの森 ぎふメディアコスモスで、令和3年度岐阜市生物多様性シンポジウムを開催しました。

本シンポジウムは、生物多様性の保全などについて市民の皆さんと一緒に考えるイベントとして開催しています。今回は、「ミツバチが育む生物多様性」と題し、2人の先生方に講演して頂きました。

開催概要

開催日時
令和3年11月13日(土曜日)14時~15時30分
開場
みんなの森 ぎふメディアコスモス かんがえるスタジオ
内容

講演1「ミツバチが育む生物多様性〜蜂との時間が教えてくれたこと〜」
 特定非営利活動法人 さとはち 副理事長 安藤美咲氏

講演2「ミツバチが育む生物多様性」
 公益財団法人みつばちの家 理事長 中村源次郎氏

トークセッション 中村源次郎氏、安藤美咲氏
コーディネーター 野村典博氏

講演

講演1「ミツバチが育む生物多様性〜蜂との時間が教えてくれたこと〜」
特定非営利活動法人 さとはち 副理事長 安藤美咲氏

ミツバチが農業や自然環境の生物多様性保全に大きく貢献していることや、ミツバチが暮らす環境の課題、安藤講師が行ってきた活動と、活動や養蜂を通して気が付いたことなどについて、話を聞きました。

参加者の方々からは、「ミツバチが他の植物に貢献しており、共生の重要性を理解できた」、「自身の体験を元に、ミツバチと環境に対する意見を持つことが良いと思った」などの意見を頂きました。

写真:安藤氏講演

講演2「ミツバチが育む生物多様性」
公益財団法人みつばちの家 理事長 中村源次郎氏

養蜂・ミツバチの世界・ミツバチの生産物についての説明や、ミツバチが花粉の媒介者となり、植物を生育・繁栄させる「みどりの源」として重要であり、受粉によって植物は実り、「食料」となって人々の「命」を支える、大切な役割を担っていることなどについて、話を聞きました。

参加者の方々からは、「ミツバチの現状や、働きバチ・女王バチの一生がよくわかった」、「岐阜が近代養蜂の発祥の地とのこと、認識を新たにしました」などの意見を頂きました。

写真:中村氏講演


講演の様子は、岐阜市公式YouTubeにて見ることもできます。

トークセッション

トークセッションにおいては、2人の講師に、参加者の方々から頂いた質問にお答えいただきました。
参加者の方々からは、「知らないことが沢山あり、興味深い話が聞けて面白かった」、「トークセッションで、少し養蜂に興味が持てた。まだ明らかに知識が不足しているので、勉強してみようと思えた」などの意見を頂きました。

<トークセッションの質問内容>
Q1 もしも女王バチが死んでしまったら、そのミツバチたちはどうなるのか。
A1 女王バチが死んだ場合、そのままでは、群は消滅してしまいます。従って、最優先で女王バチを育てます。
分化前の幼虫がいれば、ローヤルゼリーを与えて、最優先で女王バチを育てます。分化前の幼虫がいなければ、働きバチが産卵をしますが、無精卵なので卵は孵化できず、その群れは消滅してしまいます。

Q2 女王バチが死ぬ原因は何か。
A2 ウイルスや細菌などの影響もありますが、一番の原因は、天敵のスズメバチやクマに襲われてしまう事です。

Q3 女王バチを海外から運んできているのか。
A3 産業としての養蜂では、近親交配にならないように、海外の色々なところから多産系、耐寒性の優良な女王バチを輸入して掛け合わせています。

Q4 ハチミツは花によってレンゲハチミツ、アカシアハチミツ等ありますが、ミツバチはどのように分けるのか。混ざらないのか。
A4 ミツバチは巣箱の周りに咲いている花や、蜜の多くとれる花を好んだりします。厳密に、何の蜜がどれだけ入っているのかは分りません。
日本では転地養蜂を行い、単花蜜を収穫できるように、ミツバチの行動範囲2~3kmくらいの範囲で目的の花の蜜がとれるように巣箱を設置します。海外は、主に定置養蜂なので、色々な花の蜜がブレンドされています。

Q5 なぜセイヨウミツバチなのか。ニホンミツバチとの違いは何か。
A5 セイヨウミツバチは、ニホンミツバチと比べて採蜜する力が強く、5~6倍の蜜をとることができるからです。また、家畜として飼育しやすいこともあります。

Q6 ニホンミツバチは今どうなっているのか。
A6 可愛いとのことで、ペットとして飼育する人もいます。山間部で飼育が増えています。

Q7 個人でミツバチを飼えるか。
A7 個人でも飼えますが、養蜂振興法という法律があるので、都道府県知事に届け出を行う必要があります。ドイツでは70%が趣味の養蜂を行っているので、これから日本でも自産自消のため個人で養蜂してもいいと思います。ただし、念のため飼う人がハチのアレルギー検査をしておくといいです。また、従来から養蜂している人との縄張りがあるので、沢山巣箱を置くのであれば、組合に入って調整を行うと良いと思います。

Q8 養蜂をしていて、近所迷惑になるような事はないか。もし、人がハチに刺された場合の問題点はあるか。
A8 趣味で5群以上飼うと、ミツバチの糞害が出る可能性が高いです。ハチはきれい好きなので、巣の中で糞をしないで、外に出た際に糞をします。
住宅地が密集している所より、そうでない所の方がいいと思います。
人がミツバチにイタズラや悪さをしない限り、めったに刺されることはな
く、刺された場合でも、ミツバチの毒は蜂針療法があるくらいで、そんなに心配はなく、適切な処置をすれば特に問題はないと思います。
スズメバチ等は肉食のため、毒針の威力が強く、リスクが大きいため、すぐに病院に駆け付けた方がよいです。
※「群(蜂群・ほうぐん)」は、1匹の女王バチを中心とし、働きバチと雄バチが一緒に暮らしています。1群の数は様々で、働きバチの数によって、強群(20,000~30,000匹)や、弱群(4,000~5,000匹)と呼ばれることもあります。

Q9 家庭菜園の実の付きが悪い。実際、ミツバチやマルハナバチは飛んでいるのか。
A9 どれくらいの自然のミツバチがいるかは分かりません。ただ、ハチと言っても様々な種類がいて、野生のミツバチやマメコバチ、クマンバチ等多くの種類があるので、人が見ていないところで受粉している可能性があります。

Q10 ミツバチだけでなく、自然界にも受粉を手伝っている生きものがいる。それが途絶えないようにしないと、悪い影響が出てしまう。かつては、生物多様性の危機というと開発による環境の悪化があったが、今は自然と人の関わりが少なくなることでも影響が出ている。ミツバチも一緒だと感じる。人と自然の中で成立してきた自然との関係を維持しなければいけない。
A10 土地開発などは、環境の事を考えないと生きものが少なくなっていってしまう。開発を止めることはできなくても、一人一人、ミツバチが大切な存在であると認識して、行動を起こすことはできる。例えば、ミツバチの事を考えて花を植える等小さなことを積み重ねて、人と環境の関わり方を見直すきっかけになると良いです。

写真:トークセッション
トークセッションの様子

会場の皆さんからは沢山の意見を頂きましたが、全ての質問に答えることができなかったため、こちらで紹介させて頂きます。

質問

Q11 箱にミツバチを集めるにはどうするのか。
A11 箱にミツバチを集めるには、まず女王バチを箱(巣箱)に入れてやることです。代表的な方法として分蜂群の捕獲があります。ミツバチは、群の勢いが増し巣内の蜂の数が増えると分蜂(巣分かれ)し、旧女王バチが半分くらいの働きバチや雄バチを引き連れて巣を出ていきます。分蜂した群は新居が見つかるまでの間、木の幹や枝に蜂球をつくり固まります。その状態の蜂を見つけ、新しい巣箱の中に女王バチを入れてやれば、働きバチも入ってきます。
また、ニホンミツバチの場合は、空の巣箱の横に「キンリョウヘン(蘭の仲間)」という植物を置いておくと、キンリョウヘンが出すフェロモンによりミツバチが誘引され、巣箱に入りやすいと言われています。

Q12 田畑や山林を持たない個人が、養蜂を行うとするとき、どのような場所でできますか。
A12 家の庭、建物の屋上、マンションのベランダなど、自己所有の土地又は借りた土地があれば、飼育可能です。ただし、飼育する場合は周辺の方の理解を得られるよう努める必要があると思われます。

Q13 ハチが誰かを刺した時の保障などは、何か制度ができていますか。
A13 特別、定まった制度はありません。

Q14 ミツバチが非常に沢山の種類の花から花粉を集め、受粉に役立っている話でしたが、ミツバチは花の選り好みはしているのでしょうか。しているなら、花の何に誘われて蜜を見つけるのでしょうか。
A14 ミツバチが訪花するのは、風媒花(ふうばいか)、虫媒花(ちゅうばいか)のうち、虫媒花のみです。虫媒花であって、蜜が採れる花であれば訪れます。蜜のある花であれば、ミツバチに好みの差異はありません。

Q15 花粉から見ると、花粉は大きさや形状が様々ですが、どんな花粉がミツバチにくっつきやすいのでしょうか。
A15 ミツバチは、どんな花粉でも虫媒花であれば、持ち帰ります。
まず、ミツバチは、虫媒花の花粉に限りますが、大きさや形状ではなく、花粉を、手足を使って、ダンゴ状にして後ろ足に抱えて巣に持ち帰ります。
ミツバチは全身が毛で覆われており、花粉を集めるのに適したからだになっています。また、表面がイガのようになっている花粉はミツバチにくっつきやすいです。

Q16 同じように、ハチと言われながら、アシナガバチ、スズメバチと獰猛さが違う種類がありますが、1度刺されると2度目はアナフィラキシー症候群を発すると言われることについて、ミツバチ1回目、スズメバチ2回目という場合も危険でしょうか。
A16 一概にハチといっても多くのハチが存在し、ミツバチはその一種です。ミツバチは食物として、植物の花蜜と花粉を摂取していますが、スズメバチやアシナガバチは肉食のため(アシナガバチは花蜜を吸うこともありますが、原則肉食)、針は大きく、毒性が強く、威力が大きいので、アナフィラキシーを起こす危険性があります。症状の発現については、人により異なります。

Q17 ミツバチは、赤と黒はよく見えないと聞きますが、スズメバチは黒いものに攻撃的と聞きます。スズメバチも赤と黒の区別ができないとすると、赤いものに攻撃的でしょうか。
A17 ミツバチが見える範囲の光の波長は、ヒトとは少しずれていて、赤色である610~780nm の範囲は見ることができず、赤色は、黒やグレーといった無彩色に置き換えて見えているようです。また、ヒトには見えない紫外線を色として見ることができ、蜜を出す花の中央部が紫外線を多く吸収しており、ミツバチにとって蜜を探し出す目印になっているようです。
 スズメバチはミツバチと違って白黒のコントラスト(濃淡)で見ており、赤は黒に近い色のように見えているようです。従って、赤色など濃い色は避けた方がいいと思われます。

Q18 ミツバチの栄養となる、ハチミツや花粉を人間が採蜜してしまうことで、栄養が取れなくなり、ミツバチが困ってしまうことはありますか。
A18 蜂蜜が多く溜まる時期でも、一度に人間が採蜜するとミツバチたちが活動するために必要な餌が不足してしまいます。そのため採蜜する際には、ミツバチに必要な分は残した上で採蜜しています。
また、はちみつを採取すると、越冬のエサとなるはちみつは、減ってしまいます。従って、給餌として、砂糖水や糖液、さらに保存してあった花粉、それに相当するタンパク源をエサとして与えます。

Q19 ミツバチを養蜂によって増やすことで、多くの植物の受粉や採蜜量が増えるといった多くの利点がありますが、考えられるデメリットがあれば教えて欲しいです。(増やすと、生態系の中の生物間のバランスが崩れる等)
A19 特にデメリットはありません。生態系のバランスがくずれるまでの影響は現実的にはありません。

Q20 受粉を進めるのにどれくらい自然界で効果があるのか。
A20 ミツバチをはじめ、ポリネーター(送粉昆虫)がいなければ、植物は育生しないです。 虫媒花はミツバチはじめ昆虫を必要とするので、自然界の浄化(CO2 → O2)に大きく寄与しています。


当日、参加者の方々には、アンケートをご記入していただきました。今後のシンポジウムの内容について大変参考になるご意見を多数いただきました。アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。

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