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(2012年2月1日更新)

市長の元気¢配便 No.191〜

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(191)『薬師寺』と美濃の誇り

10月2日㈰まで岐阜市歴史博物館で「国宝薬師寺展」が開催されています。国宝6点を含む貴重な薬師寺の宝物が28点展示されており、毎日薬師寺のお坊さんたちがユーモアを交えてわかりやすく解説をしておられます。今回の展覧会では世界遺産の薬師寺に行っても見られないような貴重な宝物も一堂に会しており、まだ見ていない方は是非ご覧になることをお勧めします。岐阜でこんな素晴らしい機会が得られたのは、実は薬師寺と岐阜(美濃)の切っても切れない縁があったからです。

 

672年大海人皇子(おおあまのおうじ)は美濃の豪族の協力を得て兵を挙げ壬申の乱に勝利、翌年天皇(天武天皇)に即位されました。その後、天皇の妻(のちの持統天皇)が病に倒れられ、その病気回復を祈って天武天皇が建立されたのが薬師寺なのです。長良川鵜飼の歴史と同じ約1,300年前の出来事でした。時は移り、現在の薬師寺の三大要職を占めておられるのが、すべて岐阜にゆかりの方々だというのは歴史の偶然というべきでしょうか?

 

前管主で岐阜市生まれの安田暎胤(えいいん)長老、旧根尾村出身の山田法胤(ほういん)管主、各務原市出身の村上太胤(たいいん)執事長、この3人の方々の格別のお骨折りがあったからこそ今回の貴重な展覧会が開催できました。このように1,300年前から現代につながる薬師寺と美濃の切っても切れない関係ゆえに開催できた今回の「国宝薬師寺展」。岐阜市民としては絶対に見逃せません。

 

教科書でもおなじみの、麻の布に描かれた日本最古の彩色画といわれる国宝吉祥天女像(きちじょうてんにょぞう)や薬師寺でも見られない、光背(こうはい…仏像の後ろに付いている光をあらわす板状の飾り)を外し背中も見られる国宝聖観世音菩薩像(しょうかんぜおんぼさつぞう)などなど、本物の文化財、芸術作品だからこそ実感できる心の豊かさや充実感を味わうとともに、郷土の誇りを再認識できる絶好の機会です。まだご覧になっていない方はこの機会を逃さず、今すぐ岐阜市歴史博物館へ行きましょう!

(広報ぎふ23年9月15日号掲載)

 

(192)メタボ・ジャパン(日本)!?

早いもので3月11日の東日本大震災から既に半年が経ちました。いまだ多くの方々が避難生活を強いられておられます。心からお見舞い申し上げます。被災者の皆さんが元の生活に戻ることができるよう一刻も早い被災地の復旧・復興が望まれます。復興のためには10兆円とも20兆円とも言われる莫大な資金が必要で、その財源をどこに求めるかの議論が国会で続いています。6月現在の国の借金は944兆円、国民一人当たり実に740万円です。今回の大震災もあり今年度末には1,000兆円を突破するのは確実とも言われています。

 

8月には米国で国の借金残高が議会の決めた上限に近づき“あの超大国アメリカ合衆国があわや倒産か!”と大きく報道されました。日本では国の借金である国債の発行可能残高を国会が事前に決めておくシステムになっていないため、政府がよほど強い決意で財政規律を守らないかぎり借金が青天井にふくらんでいくことが危惧(きぐ)されます。年間約40兆円の国の税収では1,000兆円を返済するのに25年もかかるという計算になります。

 

長引く不況による生活保護費や高齢化の進展による医療費・介護費などの社会保障費は着実に増大していきます。このままでは借金という内臓脂肪によって、日本がメタボになっていきます。メタボはいろいろな問題を引き起こします。一刻も早く国の財政を立て直さないと将来世代に大きな借金を残すことになるばかりか、欧州で大問題になっているように国の存亡にもかかわってきます。財政再建のためには先ず国や自治体が率先して無駄を省き、徹底的な行財政改革に取り組むことが必要です。

 

10年前の岐阜市の一般会計の借金(普通債)は約1,300億円でした。しかし市民の皆さんのご理解と市の職員の血のにじむような行財政改革努力によって、10年連続でこの借金を減らすことができました。そして昨年度末にはとうとうその借金残高が約800億円となり、実に約500億円(約38%)の借金を削減することができました。今後も厳しい経済状況が予想されますが、岐阜市では引き続き健全財政を保ち、市民の皆さんに心から満足していただける最高の行政サービスを提供できるよう努力してまいります。

(広報ぎふ23年10月1日号掲載)

 

(193)三楽(さんらく)

江戸時代の中期に貝原益軒(かいばらえきけん)が養生訓(ようじょうくん)という本を書きました。この本の中では“身を動かし、気をめぐらす”ことが大切で“食後には必ず数百歩を歩き、気をめぐらし、食を消すべし(消化)、ねぶり臥(ふ)すべからず”(直ぐに寝てはいけない)と強調しています。病(やまい)は気からと言われます。気をしっかりめぐらせ、身体を動かせば健康で長生きできる。また健康で長生きすれば、新しいことを知ったり、経験したり、いろいろ楽しみがふえる、と言っているのです。

 

また益軒は人間には三つの楽しみ(三楽)がある。一つには(人の)道を行い、善を楽しむこと、二つには病気が無く快く楽しむこと、三つには長生きをして久しく楽しむこと、と記しています。短命であってはこの三楽を得られないし、またいくらお金持ちでもこの三楽が無くては本当に楽しむことはできない、とも言っています。日本は世界一の長寿を誇ります。長生きするなら、健康で自立した長生きをし、この三楽を大いに満喫したいものです。

 

そこで岐阜市では皆さんにぜひこの三楽を楽しんでいただけるように健幸(健康で幸福)長寿社会を目指す“スマート・ウェルネス・シティ岐阜”構想に取り組んでいます。健康づくりに関心のある人だけではなく、市民の皆さん誰もが健康で幸福になれるよういろいろな取り組みをしているのです。かつては自動車優先の思想で作られていた道路空間に歩道、自転車道を広く取り、木陰をつくる緑地帯やベンチなどを設け、歩く人、自転車に乗る人、公共交通を利用する人に優しい道路を作り、皆さんがつい歩きたくなるような環境を整えていきます。

 

先月、柳ケ瀬の空き店舗を利用して“柳ケ瀬健康ステーション”を開設しました。健康測定機器、シャワールーム、ロッカー、談話室などがありますので、皆さんの健康づくりにぜひご利用ください。また、10月16日(日)には“みんなで歩こう!市長と歩こう!健幸ウォーク”が実施されます。朝10時半過ぎに市民健康まつり会場の金神社・岐阜市文化センターを出発し、岐阜市農業まつり会場の岐阜駅北口駅前広場を経由して柳ケ瀬に戻ってくるコース約3.4kmです。途中スタンプラリーやくじ引きなどもあります。私もミナモと一緒に歩きます。ぜひ皆さんも参加してください!

(広報ぎふ23年10月15日号掲載)

 

(194)教育先進国「フィンランド」の挑戦 その1

先日、市議会議長、校長先生、PTA役員の方々と教育視察のためフィンランドを訪問しました。10月8日から15日までのこの訪問は、予想以上に大きな参考となりましたので、何回かにわたり市民の皆さんにご報告したいと思います。今でこそPISA(国際的学習到達度調査)でいつも上位を占め、世界でも有名な教育先進国と言われる同国も、そこに至る道のりは決して平坦なものではなかったようです。1990年代の初め、フィンランドは失業率が20%を超えるほどの大変な不況に襲われました。

 

時の教育大臣は弱冠29歳のヘイノネンという人です。不況克服のための景気対策と言えば、常識的には公共事業拡大や企業への直接的支援による雇用の創出ということになりますが、彼は“教育に投資して新たな産業を興す”として、大胆な教育投資・教育改革に取り組んだのです。当時のフィンランドの産業といえば森林資源に依存した林業、パルプ産業が中心でした。しかし今では、ノキアという世界的に有名な携帯電話会社もあり同国のIT製品の輸出割合は20%を超えるまでになっています。

 

彼は“企業に投資しても、その企業はいずれ他国に出て行ってしまうかもしれない。しかし人という資源に投資すれば、その人はそこに留まってくれる可能性が高い”として、不況脱出のため教育に積極的に投資したのです。日本でも幕末の戊辰(ぼしん)戦争に負け、疲弊していた長岡藩は送られてきた米百俵を売り払い、“百俵の米も食べればそれだけ、それを食べずに教育にあてれば将来千俵・万俵の米となって戻ってくる”と学校建設にまわしたという話があります。洋の東西を問わず今も昔も教育の重要性や効果を分かっている人々がいるものです。

 

日本もフィンランドも石油や石炭、鉄鉱石など地下資源に恵まれた国ではありません。しかしその日本が戦後、世界で第2位といわれるほどの経済大国に成長を遂げることができました。それは日本には“人”(人財)という素晴らしい資源があったからにほかなりません。その人という財産を掘り出し、磨きをかけるのが教育なのです。人が最大の資源である日本もフィンランドも、真っ先に取り組むべきは教育なのです。岐阜市が教育立市の旗を掲げ続けている理由はここにあるのです。(次号につづく)

(広報ぎふ23年11月1日号掲載)

 

(195)教育先進国「フィンランド」の挑戦 その2

前号では人が最大かつ唯一の資源といってもよいフィンランドや日本にとって、工業化社会から知識産業型社会への転換期にあって「教育への投資」がいかに重要かについてお話をしました。今回はフィンランドの教育環境で、日本でも参考になるのではないかと思った点についてお話したいと思います。

 

第一のキーワードは「裁量」です。フィンランドでは教育分野での、国の関与をできるだけ小さくし、地方自治体や学校、更には先生に大きな自由度を保障しています。1970年頃には約700ページもあった国の教育指導要領は2000年頃には約100ページまで簡略化され、教育における国の基本方針のみを示しています。特に先生には大きな裁量権が認められ、どの教科書を使うかも先生が決めています。このようにフィンランドの教育を支える優秀な先生は、大学院までの6年間の教育で育てられ、どの先生も教える技術ばかりではなく、高い志を持ち、大きな裁量を任された教師という職業に大きな誇りを持っています。

 

第二のキーワードは「自己責任」です。ともすると“教育とは学校でするもの”と思いがちですが、フィンランドでは教育は、「国、自治体」「学校」「家庭」「本人」が協力して行うものだとの共通認識があります。国籍や性別、貧富などに関係なく誰もが平等に学べる機会を提供することは国や自治体の責任とされていますが、教育の結果に対する責任は学校や先生だけではなく、国、自治体、家庭更には本人の連帯責任だと認識されているのです。なかでも特に本人のやる気が重要とされ、“学ぶ喜び”や“学ぶ志”つまり“みずから学ぶこと”を学ばせることに重点が置かれています。

 

第三のキーワードは「学歴社会から職業資格社会への転換」です。フィンランドでは義務教育を終えた生徒のうち、高校へ進学する生徒より職業専門学校に進む生徒のほうが多くなっています。職業専門学校(高校にあたる)、高等職業専門学校(大学にあたる)へと進み、それぞれの分野で職業資格を取得するのです。世界的に、大学は出たものの職に就けない学生が増える傾向にある中、職業資格を持った人材が重用される時代になり、EU(欧州連合)全体で職業資格を統一する動きもあるようです。いよいよ学歴偏重(へんちょう)社会の終焉(しゅうえん)の到来です!(次号につづく)

(広報ぎふ23年11月15日号掲載)

 

(196)教育先進国「フィンランド」の挑戦 その3(完)

フィンランドの首都ヘルシンキ市の人口は59万人で、人口42万人の岐阜市の1.5倍ほどの都市です。今回の訪問ではヘルシンキ市のパユネン市長とお会いする機会があり、「人」以外に特に資源を持たない両国の発展にとって、教育が最重要課題であることなど有意義な意見交換ができました。雑談の中でフィンランドは一人あたりのコーヒー消費量が世界一だというお話があり、実は岐阜市民もコーヒーが大好きで、国の調査で岐阜市の喫茶支出が日本一だったことなどコーヒーという意外な共通点に大いに話が盛り上がりました。

 

さて今回、ヘルシンキ市に対し教育分野における都市間交流の提案を用意していきました。教育行政に関する情報交換、教職員や青少年の交流、教材開発に関する情報交換など6項目からなる提案で、パユネン市長も大いに興味を持たれ、今後事務レベルで詳細を調整していこうということになりました。ヘルシンキ市のお隣のエスポー市にも同様の提案をし、こちらも今後詳細を詰めていくことになりました。

 

今回の訪問ではいろいろな教育施設を見せてもらいました。エスポー市にある生徒数1万人を誇り、企業と連携しながら若者の起業家精神を養う職業専門学校「オムニア」や、長い視点で子どもの成長を支える特色ある小中一貫校、市内各所にあり学校との連携を重視する図書館などいろいろ印象に残りました。なかでも若者自立支援施設であるユースセンターでは子どもたちの意見を取り入れてトレーニングジムや多目的ホールなどが設けられ、子どもたちのいきいきとした目がたいへん印象的でした。今後岐阜市で設立を予定している(仮称)総合教育支援センターにも子どもたちの意見を充分取り入れていきたいと思います。

 

落ちこぼれをつくらないフィンランドの教育方針はPISA(国際的学習到達度調査)などで国際的にも高い評価を受けています。一方でフィンランドのノーベル賞受賞者はわずか3人で、人口規模がほぼ同じ隣国ノルウェーの9人、デンマークの13人、スウェーデンの31人と比べ見劣りしており、今後は意欲と能力のある子どもたちの能力をどう高めていくのかが課題だと認識されています。教育先進国フィンランドの挑戦は今後も続いていくようです。

 

今回で、3回にわたったフィンランド教育視察のご報告を終わります。

(広報ぎふ23年12月1日号掲載)

 

(197)さよなら、2011年・・・原点を見つめ直す年

もうすぐ今年も終わろうとしています。皆さんにとってどんな一年でしたか?楽しいこと、悲しいこと、いろいろあったでしょう。さて今年を象徴する出来事はなんといっても3月11日の東日本大震災です。地震、津波に加え、放射能災害が重なり未曾有(みぞう)の大惨事となりました。いまだに多くの人の行方が判りません。また多くの人が今も避難生活を余儀(よぎ)なくされています。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 

人類は古来、幾多(いくた)の自然の脅威にさらされながらも、一方で自然がもたらす多くの恵みを享受(きょうじゅ)し、自然と仲良く共生してきました。日本の八百万(やおよろず)の神々に水の神、山の神、農業の神、海の神など自然に関係したものが多いのは日本人が昔から自然を崇拝してきた証拠です。しかし近年の科学技術の発展に伴い、地震や洪水などの事前予測や、建物の耐震化、免震化などで、人類は自然の脅威を克服できるようになったと勘違いをしはじめたのではないでしょうか?

 

今回の災害は、こうして自然に対してややもすると傲慢(ごうまん)になりかけた人類に対する貴重な警鐘(けいしょう)だったのかもしれません。もう一度原点に立ち戻って私たちの生活を見直す必要があるようです。岐阜市ではスローライフを提唱していますが、今こそ合理性や効率だけを追求する社会から脱却し、自然と共生し、自然に溶け込んだ生活を心がけることが求められています。

 

さて、わが岐阜市においては今年2月、岐阜城跡が国の史跡に指定され、岐阜城来場者も1千300万人を超えました。高橋尚子杯ぎふ清流マラソンの初開催で健康志向が高まるとともに、健康ステーションができた柳ケ瀬には念願のドン・キホーテが進出。岐阜大学医学部等跡地の市立図書館など複合施設も実施設計に入り、35階建ての高島屋南の再開発もいよいよ都市計画決定の運びとなるなど、今年は大いに未来への躍動の兆しが感じられる年でもありました。課題を先送りせず、市民目線の政治という原点に立ち返って、今後ともしっかりと岐阜市政に取り組んで行きたいと思います。

(広報ぎふ23年12月15日号掲載)

 

(198)「原点回帰」の年 2012年

初日の出が、今年も幸(さち)多かれと輝いています。市民の皆さんもすがすがしい気持ちで、新年をお迎えのことでしょう。今年も皆さんにとって素晴らしい年であることをお祈りいたします。今年の干支(えと)は壬辰(みずのえたつ)です。壬(みずのえ)は大海原や大河の水を象徴し、また「妊」にも通じることから“草や木に新しい種子が生まれた状態”を表すようです。辰(たつ)は“陽気が動き、草木が伸びる状態”を表すとのことです。龍のように昇り調子の一年であってほしいものです。

 

さて、国民総幸福度で有名な親日国・ブータンの国旗の真ん中には龍の図柄が描かれています。辰年(たつどし)の今年、日本だけではなく世界中の人々が総幸福になる年であってほしいものです。強力な龍の鼻息で世界中にただよう閉塞感(へいそくかん)を吹き飛ばしてくれると思います。今年はロンドンでオリンピックが、またわが岐阜県ではぎふ清流国体・ぎふ清流大会が開催されます。スポーツはプレーする人はもちろん、応援する人にも勇気と感動、生きるための強い力を与えてくれます。このスポーツの祭典を地域の活性化の起爆剤とし、岐阜市民のもてなしの心を全国に発信する場としたいものです。

 

岐阜市では今年を原点回帰の年と位置づけて行政経営に当たります。自然と共生する社会を構築し、人の叡智や、人と人との絆が生み出す人間力に“原点回帰”することを目指します。また行政においても“市民目線”と“課題を将来に先送りしない”という行政の原点に立ち戻って、今の市民だけではなく未来の市民にも評価されるような市政に努めていきます。今年は「教育」「健康(幸)」「文化・芸術」「防災」「再生可能エネルギーへの転換」の5本の柱を立てました。特に防災については、先の東日本大震災を教訓に想定震度の見直しや原子力災害対応などを加味した地域防災計画に作り直していきます。

 

少子高齢化の進展、低迷する世界経済、地球温暖化による異常気象など、私たちを取り巻く環境は一層厳しいものになっていきます。しかし後ろを振り向いてばかりいるわけにはいきません。本当に岐阜市に住んでよかったと市民の皆さんに心から感じていただける街を作るため、私たちはまっすぐ前を見つめ、輝かしい未来のため全力で市政に取り組みます。本年も市民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い致します。

(広報ぎふ24年1月1日号掲載)

 

(199)“幸福”ということ

未曾有の大災害を経験した昨年、ブータン国王の来日で多くの日本国民が心を癒(いや)され、大きな勇気をもらいました。いつも周囲にニコニコと微笑みかける姿や、奥様を大切にいたわる姿は、大震災で打ちひしがれた多くの日本人に人間愛、家族愛の素晴らしさを再認識させてくれました。いつの間にか日本人を虜(とりこ)にしてしまうあの雰囲気はどこから来るのでしょうか?親日的なブータンのお国柄なのでしょうか?

 

ブータンでは世界に先駆けて国民総生産(GNP)に代えて国民総幸福(GNH)という指標を導入し国づくりに当たってきました。物質的豊かさより国民の幸福が最も大切だという視点でブータンの政治は行われています。昔からある木を避けて道路を作るなど大いに自然を愛し、国の伝統を重んじて国王夫妻が民族衣装を身に付けるなど、近代化優先で日本人が置き忘れてきたもの、昔の日本の原風景がいまだ残っている国のようです。

 

このような国の国王夫妻だからこそ日本国民の心に響くものがあったのでしょう。もちろん幸福と感じるか否かは人それぞれの主観によりますが、どうすれば幸福と感じられるか私なりに考えてみました。第一に“他人と比較しないこと”。隣の柿は赤く見えるという言い伝えがありますが他人は他人、隣の柿が赤くても青くても関係なしと達観することです。第二に“足るを知ること”。人間の欲望にはキリがありません。今あるもので十分、自分には過ぎたものだと思うことです。第三に“自分自身の価値観を持つこと”。他人の目を気にせず自分の価値観で判断すれば自分の人生に納得できるはずです。

 

さて最近ブータンにならってOECD(経済協力開発機構)や内閣府などで幸福度の指標作りが盛んで、幸福度ランキングなるものまで登場しています。しかし幸福度を客観的指標でランク付けするのはチョット考えものではないでしょうか?!大切なのは主観的な心の豊かさなのです。岐阜市は10年前から自然と共生するスローライフ社会を提唱し、2年前からは人間主義都市を目指して人間本位の行政に努めています。岐阜市に生まれて良かった、住んで良かったと心から市民の皆さんに喜んでいただける街にするため、今年も市役所一丸となって頑張っていきます!

(広報ぎふ24年1月15日号掲載)

 

(200)光陰(こういん)矢の如し

最近、時間が経つのが早くなったと感じているのは私だけでしょうか?もちろん還暦を過ぎた私自身の加齢現象のせいかもしれません。時間の長さは、本人の主観で大きく左右されます。嫌な時間は長く感じ、楽しい時や時間に追われている時などには時間が短く感じられるということはありませんか?何事も高速な現代社会では事件・事故・事象が次から次へと矢継ぎ早に起こる上に、情報革命で世界中の出来事が瞬時に手元に届き、情報過多になっていることも時間の経過を早く感じさせる一因なのでしょう。

 

さて平成15年7月に始めた“広報ぎふ”の『市長の元気宅配便』は早いもので、今回で第200号となりました。“継続は力なり≠ニ言いますが、200編にしたためた市長としてのこの10年を振り返ると、ちょっと感慨(かんがい)深いものがあります。未来に課題を先送りせず自分の生まれ育ったこのまちに昔の元気を取り戻そうとの意気込みで始めたこの『元気宅配便』では、歴史や自然など私たちのまちの宝物、まちづくり、教育、環境、医療・健康、他都市との連携、スローライフ、先人の偉業や格言など様々なテーマを取り上げました。

 

市長に就任してこの10年間いろいろありましたが、世の中の常識と言われるものが次々に覆(くつがえ)され、様々な課題への正解は決して一つだけではないと悟らされた時代ではなかったでしょうか?まさに般若心経(はんにゃしんぎょう)にいう“色即是空(しきそくぜくう)”(万物は色々形をそなえた物質的存在に見えるが、実はすべての現象の実態は“空(くう)”である)を実感させられた10年でした。

 

本稿では教育問題についても何度も取り上げました。資源小国日本にとって唯一無二の資源である人材(人財)。この資源を掘り出し、磨くのが“教育”の役目です。岐阜市政の根幹である教育立市、少年から老人まで皆が一生を通じて学び続けるまち、そんなまちを夢見ています。“少年老い易(やす)く、学(がく)成り難し”。長いようで、実は短い人生。だからこそいきいきと生き甲斐を持って有意義に暮らしていただけるようなまちづくりを目指して、これからも皆さんに元気をお届けしていきたいと思います。

(広報ぎふ24年2月1日号掲載)

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